フランチャイズ本部のお客さま

契約内容の整備、情報提供の内容について、専門家に相談しましょう

契約書の整備、本部の情報提供義務

本部と加盟店間の権利および義務を規定するものがフランチャイズ契約です。複数の加盟店と締結するもので、フランチャイズビジネスの統一性や加盟店間の平等という観点から、加盟店ごとの大幅な変更や修正はできません。したがって、フランチャイズ契約は、立ち上げ段階からチェーン全体の将来像を視野に入れて作成する必要があります。

フランチャイズ契約の締結に際しては、本部によるシステムの説明が非常に重要な役割を担います。契約締結後に問題となりやすいのは、本部が、加盟店に対して十分な説明責任を果たさなかったことにより、加盟店が損失を被った場合です。万一、本部が加盟店に対して行った説明に不備がある場合、加盟店から法的な責任を追及される可能性があります。

• フランチャイズ契約は将来を見越して
• 説明に不備があれば、法的な責任を追及されるリスクがある

特に中小小売商業振興法と独占禁止法が重要です

フランチャイズ契約と法令の問題

加盟店を募集する本部は、「中小小売商業振興法」 および「独占禁止法」に留意して募集行為を進める必要があります。

「中小小売商業振興法」では、契約前に書面を交付してフランチャイズシステムの重要事項を説明することが義務づけられています（法定開示書面）。法定開示書面では、①加盟に際して徴収する加盟金・保証金その他金銭に関する事項、②加盟者に対する商品の販売条件に関する事項、③経営の指導に関する事項、④商標・商号その他の表示に関する事項、⑤契約の期間ならびに契約の更新および解除に関する事項、⑥その他経済産業省令で定める事項を正確に記載する必要があります。

独占禁止法は、事業者間における公正かつ自由な競争の保護を目的とする法律であり、所轄官庁である公正取引委員会は、フランチャイズシステムに関するガイドラインを策定しています。当該ガイドラインにおいて、加盟店の募集にあたり、以下の８項目を的確に開示することが求められています。

1. 加盟後の商品等の供給条件（仕入先の推奨制度等）
2. 事業活動上の指導の内容、方法、回数、費用負担
3. 加盟に際して徴収する金銭の性質、金額、返還の有無、返還条件
4. 加盟後のロイヤリティの額、算定方法、徴収時期、徴収方法
5. 決済方法の仕組み・条件、本部による加盟者への融資の利率等
6. 損失に対する補償の有無およびその内容、経営支援の有無およびその内容
7. 契約の期間ならびに契約の更新、解除および中途解約の条件・手続
8. 加盟者店舗の周辺地域に、同一または類似店舗を本部が営業・出店できるか否かに関する契約上の条項の有無およびその内容

• 中小小売商業振興法の定める情報提供義務に留意
• 独占禁止法の規定を具体化したガイドラインが重要

フランチャイズ契約において、知的財産の取扱い、秘密保持、競業避止に関する条項を設けたうえで、実際の運用においても知的財産・ノウハウの漏洩を防止する体制を構築しましょう

ノウハウの保護の必要性について

本部が有する知的財産や運営ノウハウの漏えいを防ぐためには、契約に知的財産の取扱いに関する条項や秘密保持条項を入れておく必要があります。また、ノウハウを学んでフランチャイズシステムから離脱しようとする加盟店への対策としては、契約終了後の競業避止義務を定める条項を入れておくことで、一定の予防的効果が期待できます。併せて、実際のフランチャイズシステムの運用においても、ノウハウの塊であるマニュアルの取扱いを厳重に行うなど、しっかりとした管理体制を構築しておく必要があります。

• 契約書で一定の予防的効果が期待できる
• ノウハウの漏えいを防止する管理体制を構築することが重要

支払代行問題では、加盟店の勝訴判決もあります

ロス・チャージ問題と支払代行問題

特殊な会計システムが多いフランチャイズビジネスでは、会計に関するトラブルが頻繁に生じています。例えば、コンビニでのロイヤリティ計算に関する紛争となっているのがロス・チャージ問題です。廃棄された商品および万引き等で無くなった商品の原価を売上原価から控除して、チャージ率を乗ずる対象を算出するという計算方法で、これが加盟店の契約時の認識内容と異なり、本部の不当利得となるのではないかというものです。

また、一般的に、フランチャイズ本部は、各加盟店が仕入れた商品の代金を加盟店から送金された売上の中から代わりに支払いをしています。その際に、本部が仕入先からの請求書や領収書を加盟店に開示しないことが多いため、加盟店側は仕入れた商品代金が分かりません。本部が支払代行した金額の妥当性に疑問をもって、訴訟に発展するケースが見られます。
これらのトラブルを未然に回避するために、採用する会計システムや契約書の内容について、積極的に専門家と相談することが大切です。

• ロス・チャージ問題を知りましょう
• トラブルを回避するため、契約書について専門家にご相談を

早く解決しないと、チェーン全体への被害が大きくなります。すぐに専門家へ相談しましょう

契約書を無視する加盟店も？

一度はチェーンに加盟したもののノウハウを習得してしまい、ロイヤリティや指導料といった継続的な金銭を支払いたくなくなって、本部から独立し新たに同種事業を営もうとする加盟店は少なくありません。これを防ぐには、契約前から専門家に相談して、契約書で競業避止義務を負わせておくことが有効です。

万が一、契約書の内容を無視して、同業種を始める加盟店が発生した場合には、専門家に相談して早めに紛争解決につながる対策をとりましょう。迅速に対処することで、チェーン全体が被る損害や風評被害を抑えることができる可能性が高くなります。

• 競業避止義務を課すことが有効な予防的措置となります
• トラブルに発展した場合、早めに専門家にご相談を