
解決事例
Aさんは、以前勤務していた、機械設備工事やプラント工事の設計・施工を主な事業とする非上場の中小企業であるX社の約6%の株式を保有していました。しかし、将来、これらの株式を息子が相続した場合、多額の相続税が課されるおそれがあるなどの不利益が見込まれたため、X社に買い取ってもらえるよう、地元の弁護士に依頼して交渉を始めました。
Aさんは、現在自らが経営する会社の顧問税理士B先生が公認会計士の資格も有していたため、株価を算定してもらったところ、当該株式の価値は6000万円以上であるとの報告を受けました。ところが、X社は、相続税評価を基に4000万円から5000万円という低い価格を提示し、提示価格に大きな隔たりがあったため合意に至らず、交渉は打ち切りとなりました。
その直後、B先生からの紹介により、Aさんからベリーベストに対し、再交渉や裁判の可否についてご相談をいただきました。
まずは、X社の代理人の弁護士に再交渉を打診しましたが、全くの門前払いでした。そこで、X社を裁判に引き込み、裁判所の判断をもって適正な価格での買い取りを求める必要があると判断しました。
法律上、会社が株主から株式を買い取る義務は原則としてありません。しかし、株式の譲渡承認請求を通じて、会社に買い取る義務を生じさせることはできます。
非上場会社のほとんどは、株式譲渡には会社の承認が必要と定款に定めています。そして、法律では、会社に対し株式譲渡の承認を請求する際、承認しないならば会社が買い取るよう請求した場合には、会社が株式譲渡を承認しない限り、株式を買い取らなければならないと規定されています。
そこで、Aさんは、ベリーベストのアドバイスを受けて、X社からの承認が得られにくいと想定される譲渡先を探し、株式をその譲渡先に譲渡したいので承認してほしいとX社に求めるとともに、承認しない場合には買い取ることを求めるとの請求を行いました。結果、X社はAさんの譲渡承認請求を承認せず、自らが株式を買い取る道を選びました。
法律では、株式売買価格を決定する裁判の申し立てが行われなければ、会社は1株当たりの純資産額で買い取らなければなりません。X社の場合、その金額は1億2700万円以上でした。当然、X社は裁判の申し立てを行い、当方の想定通り、裁判所での戦いとなったのです。
裁判では相続税評価を基にした算定結果が認められないことを知ってか、X社はコンサルティング会社が作成した税務評価ではなくファイナンス評価に基づく株式価値算定書を証拠として提出してきました。しかし、その算定書に記載された株式価格は、以前と変わらない5000万円を下回る金額でした。
裁判では、当方とX社側との間で激しく主張が繰り広げられ、その期間は1年にも及びました。しかし、双方の主張する株価には差が大きく、お互いに譲ることがなかったため、裁判所が選定した公認会計士が鑑定人として鑑定を行うこととなりました。鑑定結果は6000万円を上回る価格を示しました。
その後、裁判所が和解勧奨を行った結果、鑑定結果の内容で和解が成立し、本件紛争は終結しました。
本件では、裁判所選定の鑑定人による鑑定結果の内容が当方に有利であり、それが最大の決め手になったことは間違いありません。しかし、それはX社を裁判に引き込むことができたから得られた結果であり、裁判に引き込めていなければ、このような結末はあり得ませんでした。
X社は法律上、Aさんから株式を買い取る義務はなく、実際、Aさんがベリーベストに相談する直前までは、交渉決裂によってX社はAさんから株式を買い取る意思はありませんでした。そこから、X社を裁判に引き込むことができ、裁判を争いの舞台にできたことが、真の決め手であったかもしれません。
さらには、交渉が決裂したにもかかわらず、諦めずにベリーベストに相談してくださったAさんのご判断と粘り強い意志もまた、不可欠な要素であったでしょう。その結果として、ベリーベストが交渉から裁判に至る戦略を立案し、専門的知識と経験で裁判を戦い、Aさんにとって少しでも満足できる結果を残すことができたと思います。