解決事例

2020年12月23日更新 退職した社員から未払い残業代と遅延損害金を請求する内容証明が届いた事例

ご相談内容

1. 事件の発端


当社は、飲食業を営んでおり、本社は東京にありますが、大阪や神戸などにも店舗を展開しています。

先日、大阪の店舗を退職した元従業員Xさんから、当社に対して、未払い残業代として500万円(過去2年分)と遅延損害金の支払いを請求するという通知書が内容証明郵便にて届きました。
また、残業代の計算根拠を記載した書類も郵送されてきました。


2. 相談


私は、この時、当社の本社総務部に配属となり1ヵ月が過ぎたばかりでしたが、Xさんからの通知書について、Xさんの上司にあたる大阪の店舗の店長と私とで対応することになりました。

大阪の店舗の店長の話によると、店舗の社員には、毎月残業代を定額で支払っているので、残業代を支払う必要がないから、その旨を説明の上、支払いを拒否する方向で対応したいとのことでした。
そこで、私が、回答書の作成準備のため回答書の雛型などを探していたところ、残業代を定額で支払っていても、会社が残業代を支払わなければならない場合もあるという情報を目にするようになりました。
また、Xさんからの通知書には、通知書到達後1週間以内に当社が支払わない場合には、法的措置を講ずると書かれていたこともあり、一度法律の専門家に相談した方が良いのではないかと思うようになりました。

そこで、上長にも相談し、インターネットで法律事務所を検索したところ、ベリーベスト法律事務所が東京以外にもオフィス事務所があり、東京以外の労働問題にも対応しているとのことでしたので、当社のように地方に店舗がある場合にも相談しやすいのではないかと思い、同事務所に電話をすることとしました。

私が電話で相談した際、大阪の店舗に勤務していた元従業員からの請求であるとの説明をしたところ、同事務所から、必要であれば、ベリーベスト法律事務所の大阪オフィスと、同事務所の東京オフィスとで、テレビ会議の形式で打合せもできるとのお話をうかがいましたので、早速相談にうかがうこととしました。

ベリーベストの対応とその結果

3. 打合せ


東京の本社総務部の私はベリーベスト法律事務所の東京オフィスに、Xさんの上司にあたる大阪の店舗の店長はベリーベスト法律事務所の大阪オフィスに、それぞれ相談に伺い、東京オフィスと大阪オフィスとでテレビ電話会議で打合せをしました。

私は、予め言われたとおり、Xさんから送られてきた書類、当社の就業規則・賃金規程、給与明細、労働時間を管理している資料など、本件に関係する書類を持参し、事前に用意していたメモをもとに、担当弁護士にことのあらましを説明しました。

担当弁護士によれば、店舗が従業員に残業代分として支給していたはずの手当は、名目も「勤勉手当」となっていて、残業代相当分の手当かどうか不明であるばかりか、何時間分の残業代相当分かどうかも明確にわかるようになっていないことから、予め残業代を支給したと主張することは困難ではないかとのことでした。

私が、担当弁護士に、店長が主張するように、「勤勉手当」を支給しているから、残業代を支払わないとXさんに主張し、請求通りの金額を払わなかった場合にどうなるかを聞いたところ、担当弁護士は、Xさんが、残業代未払いの労働基準法違反で労働基準監督署に申告する可能性があること、Xさんから裁判を起こされて判決が出た場合に当社が支払いを命ぜられる可能性のある遅延損害金(在職中の遅延損害金は年6%、退職後の遅延損害金は年14.6%)や、未払分の残業代と同額の付加金の支払いを命ぜられるリスクがあることの説明がありました。

一方、担当弁護士が、Xさんの主張する残業代の計算根拠を確認したところ、残業代の算定基礎賃金に含まれないはずの手当(通勤手当、住宅手当、家族手当)が含まれて算定されており、同手当を除外すれば、残業代をかなり減額することができそうであるとのことでした。

また、Xさんは、タイムカードの打刻時刻を元に残業をしたとして残業時間を計算しているのですが、担当弁護士が店長に確認したところ、Xさんは、タイムカードを打刻した時間内であっても、勝手に店舗を抜けて、数時間、私用の買物やパチンコに出掛けている時間があったり、休日勤務の指示もないのに、休日に出勤してタイムカードの打刻をしていながら、店舗のパソコンでネットサーフィンをしたりしていたことなどが判明したことから、担当弁護士のアドバイスにより、そのような時間帯を洗い出すとともに、Xさんが私用のために抜け出した証拠を探すこととなりました。

従って、この日の打合せでは、Xさんの実労働時間を、タイムカードの打刻時刻から、Xさんが私用に費やした時間を洗い出すとともに証拠を探すこと、その時間を元に、正しい算定基礎賃金を元にXさんに支払うべき残業代を計算しなおすこととなりました。


4. 回答書の作成及び交渉


その後、Xさんの主張する実労働時間に関する反論と、算定基礎賃金の内容についての反論を主たる内容として、当社として支払う予定の残業代を計算しなおした内容でXさんに回答する方向で、担当弁護士に回答書を作成頂き、担当弁護士と店長と私とで、メールや電話のやり取りを繰り返し、担当弁護士より、Xさんに内容証明郵便にて回答書を送付することとしました。

Xさんのところに回答書が到着すると、Xさんから東京オフィスの担当弁護士のところに、電話での問合せがありました。
当初Xさんは、労働基準監督署にも相談しているとか法的手続きも取る覚悟はあると意気込んでおり、担当弁護士から、電話にて丁寧に算定根拠の説明をしたのですが、Xさんは、算定基礎賃金の部分については、納得したようであったものの、自分が私用で抜けたとされている時間については、業務も兼ねていたなどと主張し、その点について面談で説明したいとの要望がありました。

5. 相手方との和解


Xさんは、大阪にいるとのことでしたので、Xさんとの面談は、大阪の店舗の店長と、ベリーベスト法律事務所の大阪オフィスの担当弁護士とで対応することとなりました。

交渉の場では、担当弁護士から、大阪の店舗の店長が準備していた証拠資料を用いて、丁寧に、当社としてXさんの実労働時間とは判断していない部分について説明するとともに、この部分については、会社としてXさんの労働時間と認めることはできないから、Xさんが、労働基準監督署に相談したとしても、同じ説明をするし、裁判所で法的手続を取ったとしても、同じ説明をしていくと話をしました。

この時は、Xさんは、労働基準監督署や知り合いの弁護士と相談すると言って帰りましたが、1週間ほどたった頃、Xさんから、大阪オフィスの担当弁護士に連絡があり、当社の回答した残業代の支払を受けることを了承する旨の話もありましたので、Xさんと当社とで当社の認める残業代を支払うことと、Xさんはそれ以上の請求をしない旨の合意書を交わし、本件は円満に解決しました。

解決のポイント

もしも、Xさんからの内容証明に対し、店長の言うままに残業代を手当で支払っているとだけ回答し何も対応しないままでいたら、大変なことになっていた可能性があったと思いますので、ベリーベスト法律事務所に相談したことで、法律上当社が支払うべき金額についてアドバイスを頂けただけでなく、東京本社にいる私と大阪の店舗の店長やXさんとの間での打合せや交渉について、多額の旅費や日当をかけることなく、効率的に行うことができたことも、早期解決につながったと思います。

また、この件を契機に、ベリーベスト法律事務所のアドバイスにより、店舗の従業員をはじめとした、当社の全社員の賃金体系や労働時間管理システムの見直しを行いました。以後、同様の紛争が発生していないことも大きな収穫だと考えております。

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