退職した労働者から会社に未払残業代の支払を求める内容証明郵便が届いたり、解雇した労働者から、内容証明郵便で解雇無効を主張し復帰を求める内容証明郵便が届いたりすることがあります。
このような場合、初期対応を誤ると紛争が拡大化・長期化し会社の被る損害が多大なものとなるリスクがありますので、裁判手続ではないからといって独断で交渉を進めるのではなく、早期に弁護士に相談し、裁判になった場合のリスクなども見据えた対応を検討していくことが必要です。
労働者から会社への内容証明郵便等の到着
交渉準備のため弁護士と打ち合わせ
相手方との交渉で合意に至った場合は、合意書の作成
交渉がまとまらない場合、労働審判の申立てや訴訟等を提起される
退職した労働者から、未払いの残業代があるとして、内容証明郵便で未払い残業代等の支払請求がくることがあります。また、解雇した労働者から、内容証明郵便で解雇無効を主張し復帰を求める書面が届くことがあります。
この時点で、会社側の独断で交渉を進めるのではなく、早期に弁護士等を介して、迅速かつ適切な対応をすれば、紛争の拡大または長期化などのリスク等を事前に封じることができます。
まず、内容証明郵便に記載されている相手方の主張に対して、会社側保管の資料(雇用契約書、就業規則、賃金規定、賃金台帳、給与明細、これまでの経緯)を参照し、相手方の主張を確認するほか、会社側が認識している状況を確認して、会社側の主張を確認し、対応方針を決める必要があります。
会社側の主張を確認し対応方針を決めたら、相手方との交渉を進めていきます。
例えば、残業代の支払い交渉においては、①労働時間は何時間なのか、②残業代の算定の基礎になる賃金の額はいくらなのか、③既払い残業代はいくらなのか等について、お互いの主張がかみ合わず決着がつかないことが多いと思います。
そこで、会社側の主張を根拠づける客観的な資料が残っているかどうかが重要となります。仮に、客観的な資料がない場合でも相手方の主張を検討し、会社での労働者の勤務実態などを考慮して、柔軟な解決を図っていくことが重要です。
また、この時点で、万が一法的手続による場合にはどのような判断がなされるのか、訴訟費用等のリスクを考慮しながら、話合いに臨むことが肝要です。例えば、未払賃金や残業代については、労働者の退職後には14.6%もの高額の利息を付して支払わなければならないことから、特に迅速に対応する必要があります。
相手方との交渉により、合意に至った場合には、合意書面を作成します。例えば、退職に関する紛争の場合には、退職日や退職理由、退職条件に関する条項の他、社宅の引渡しに関する条項、秘密保持に関する条項、清算条項など多岐にわたる条項を双方合意の下で作成します。
交渉がうまくまとまらない場合には、労働審判の申立てや訴訟を提起される可能性があります。
この場合、専門的な手続となりますので、弁護士との打合せを重ねて、適切な対応をする必要があります。
事案によっても異なりますが、労働審判であれば平均すると約70日前後(約2~3カ月)、従来の裁判が約11カ月程度(約1年程度)の年月を解決までに必要とします。
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