営業機密・競業避止

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  • 従業員に法的に有効な秘密保持義務を負わせたい
  • 従業員が競合他社に情報等を漏洩することを防ぎたい
  • 退職した従業員が競業行為を行っているので、訴えたい

秘密保持義務とは、労働者が職務中に知り得た秘密を他に漏洩してはならない義務のことをいいます。また、競業避止義務とは、競合企業への就職など企業が行っている事業と競業する行為をしてはならない義務のことをいいます。

このような秘密保持義務や競業避止義務は、企業の利益を守るために重要なものとなりますので、在籍中・退職後の労働者に対して、適切に義務を課すことが大切です。

労働者に秘密保持義務・競業避止義務を課す流れ

step1
秘密保持義務・競業避止義務の内容の策定
  • 秘密保持義務・競業避止義務の範囲を適切に定める
  • 労働者への不利益にも配慮した競業避止義務の具体化
  • 秘密保持義務・競業避止義務の有効期間に注意
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step2
在職中の労働者への対応
  • 在職中の労働者には、秘密保持義務・競業避止義務がある
  • 就業規則により規制することを推奨
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step3
退職後の労働者への対応
  • 退職後の労働者に対しては誓約書等の取り交わしが必要
  • 誓約書等を取り交わす際の注意点
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具体的な対応

1.秘密保持義務・競業避止義務の内容の策定

秘密保持義務・競業避止義務の範囲を適切に定める

労働者に対して、秘密保持義務や競業避止義務を課す場合には、公序良俗違反にならないようにするためにも、適切な範囲で制限することが大切です。
秘密保持義務であれば、秘密情報の性質・範囲、秘密情報の価値、労働者の地位などを踏まえて合理性があるかどうかで判断されます。

労働者への不利益にも配慮した競業避止義務の具体化

また、競業避止義務であれば、企業の利益、労働者の地位、地域的な限定の有無、存続期間、代償措置の有無などを踏まえて合理性が判断されます。
過度な制限になれば無効と判断されるリスクもありますので、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。

秘密保持義務・競業避止義務の有効期間に注意

企業としては、自社の利益を守るため秘密保持義務や競業避止義務を無制限に課したいと考えるかもしれません。しかし、無制限にこれらの義務を課してしまうと、公序良俗違反と判断されることもありますので、適切な範囲に限定する必要があります。

どの程度の期間が適切であるかは、秘密保持義務や競業避止義務の内容などにより異なりますので、まずは弁護士に相談するようにしましょう。

2.在職中の労働者への対応

在職中の労働者には、秘密保持義務・競業避止義務がある

在職中の従業員には、「使用者の利益に著しく反する競業行為を控える義務」があります。これは、労働契約法第3条第4項で、以下ように定められているためです。

労働契約法第3条第4項

労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない

そのため、もし就業規則に規定がなかったとしても、原則として従業員は秘密保持義務・競業避止義務の責任を負います。

就業規則により規制することを推奨

しかし、就業規則としてきちんと定めておくほうが、従業員に周知しやすくなりますし、もしも秘密保持義務・競業避止義務違反があった場合に就業規則に基づいて、適切な対処もしやすくなりますので、定めておくことをお勧めします。

3.退職後の労働者への対応

退職後の労働者に対しては誓約書等の取り交わしが必要

退職後の元従業員の競業行為については、自由が原則です。
これは、日本国憲法第22条第1項に定められている「職業選択の自由」に基づきます。
そのため、退職後にも秘密保持義務・競業避止義務を課すには、

  • 退職時に秘密保持契約書等を作成し、署名をしてもらう
  • あらかじめ就業規則に退職後についての規定も明確に定めておく

など、従業員との同意・合意が必要です。

誓約書等を取り交わす際の注意点

秘密保持契約書や競業避止の誓約書などは、インターネット上にさまざまなひな型が存在しています。それらのひな型を使う際には、そのまま流用するのではなく、あくまでも参考として利用し、企業や対象労働者に合わせて個別具体的に作成することが大切です。

特に、退職後の労働者に対しては、過度に制限をする誓約書や就業規則を作成すると、無効と判断されたり、「職業選択の自由」に反するとして逆にトラブルになる可能性もあります。

在職中の従業員・退職後、いずれの場合もどのような就業規則・誓約書を作るべきかは、弁護士のアドバイスが有効となりますので、まずは弁護士に相談することをおすすすめします。

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