ここでは、日本人がEビザを申請して日本から渡米をする場合の初めての申請を前提として説明します。
Eビザは、米国と友好通商条約を締結している国の国民に対して発給されるビザです。Eビザには、E-1ビザ(貿易駐在員ビザ)およびE-2ビザ(投資駐在員ビザ)の2種類があります。
E-1ビザは、申請者が主に日本と米国との間で実質的かつ継続的な貿易活動を行うためのビザです。
E-2ビザは、申請者が投資家本人の場合には、相当額の投資をした、又は投資をしている過程にある米国会社を発展させ、またはその運営を指揮するためのビザであり、申請者が被用者の場合には、その投資された米国会社で働く重要な被用者のためのビザです。
このように、Eビザは米国における事業や雇用の拡大に資する日本人に発給されるビザであるため、他の就労ビザであるHビザ(特殊技能者等)のように米国人の雇用を奪うことがないビザとして、発給者数の上限枠が設けられていません。
E-1ビザとE-2ビザにおける申請者の渡米後の活動(ビザの申請目的)を図示すると以下のようなイメージになります。以下、各々の要件を説明し、次に、共通の要件及び手続について説明します。
米国において、米国と日本の貿易を促進する日本人を対象とするビザです。
以下の要件をすべて満たす必要があります。
米国で申請者が相当額の投資をした、又は投資をしている過程にある米国会社を発展させ、又はその運営を指揮する日本人を対象とするビザです。
以下の要件をすべて満たす必要があります。
投資家本人がEビザの要件を満たす投資等をしていないが同企業の経営者的な地位につかせたり(supervisory or executive capacity)、地位はそれより低いが当該人物が有する高度の専門性(special qualifications)を発揮させたりするための日本人を米国受入会社に出向させたい場合もあるでしょう。このような重要な被用者も、Eビザの発給を受けることができます。「重要な被用者」としてEビザを発給されるためには以下の要件を満たさなければなりません。
家族(配偶者及び21歳未満の子)は、家族用のEビザを取得する必要があります。このEビザにより、F-1ビザ(就学目的のビザ)を取得することなく就学することができます。
配偶者の場合には、米国においてUSCIS(U.S. Citizenship and Immigration Services, 米国市民権・移民局)から許可を受けることにより、家族用のEビザで米国受入会社以外の企業でも就労することができ、Eビザ保有者が米国受入会社でしか働くことができない点と比べ、かなり柔軟性があります。
Eビザの最長期間は60か月です。ただし、有効期間満了時に申請者の貿易・投資目的が継続している場合には、延長の申請もできます。現行制度においては、事業が継続している場合には、実質的にEビザを半永久的に更新し続けることができます。
Eビザは非移民ビザ(non-immigrant visa)ですので、初めての申請の際には、Eビザの目的である貿易・投資が終了した場合には米国を去ることの意思を表明することが必要になります。そして、Eビザの目的である貿易や投資の事業が終了した場合には米国から退去しなければなりません。ただし、Eビザで入国後、永住要件を満たすことになれば、移民ビザ(immigrant visa)を申請して認められることにより、米国に居住を継続できることもあります。
初めてEビザの申請をする場合には、米国受入会社について企業登録をする必要があります。初めてのEビザの申請の場合には、申請者のビザが認められて初めて米国受入会社も登録されることになりますので、申請者自身のEビザの申請と米国受入会社の企業登録の手続きを同時に行うことになります(在日米国大使館・総領事館のサイトをご覧ください)。
有効なEビザを有している社員が一人でも在籍する限り、当該企業の登録は有効です。しかし、いったんEビザを有している社員が一人もいなくなってしまった場合には登録も抹消されますので、再度Eビザの申請をする場合には再び企業登録からやり直す必要があります。
①申請はオンライン申請書DS-160フォームで申請書を作成していきます。細かな箇所でも指示と異なっていると申請が受け付けられませんので、十分に注意しながら申請書を作成することが必要です。
②その他、DS-156Eという名称の書式を作成する必要があります。ここでは、米国受入会社の業務に関する情報、従業員に関する情報、及び、申請者自身に関する情報を記載します。
③さらに、DS-156Eに記載した内容の裏付けとなる資料(Supporting documents)を作成して、目次をつけ、各内容ごとにタブで仕切ってバインダーに綴じた状態で提出しなければなりません。DS-156Eの冒頭では、Supporting documentsの例として、以下のような情報を要求しています(以下は一部にすぎません)。
Eビザについては、移民法、連邦行政規則、実務上の国務省審査マニュアル(FAM)等により要件がかなり詳細に規定されているうえ、企業登録といった他のビザにはない独特のプロセスもあります。
他方、法令に記載はされていないものの、当局の運用や裁量にまかされている面も多々あり、年々審査が厳格されていっているのが現状です。
提出する資料が膨大な量になることも、申請手続きについての項目でご理解いただけると思います。
Eビザの申請を個人で行うことは困難を極めます。そのため、ベリーベストの経験豊富な弁護士のサポートを受けることをおすすめいたします。
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