企業法務コラム

2020年08月28日
  • 弁護士

M&Aで弁護士が果たす役割、依頼するメリットについて

M&Aで弁護士が果たす役割、依頼するメリットについて

M&Aを上手に利用すると、会社を大きく発展させるチャンスを得られます。

ただし知識や経験がないと失敗するリスクがあります。安全を期するため弁護士への依頼も検討されている方もおられるでしょう。

今回はM&Aにおいて弁護士が果たす役割や依頼するメリットについて解説します。

1、国内M&Aは増加傾向・その背景は?

M&Aとは、「Mergers(合併)」and「Acquisitions(買収)」の略で、企業の買収や合併を意味しますが、より広く複数のビジネスや事業を統合したり切り離したりすることをも含みます。株式譲渡や事業譲渡、株式交換や合併などの各種スキームもM&Aに含まれますが、これらの手法を利用して会社を統合、連結することにより、企業の更なる発展を目指します。近年では、後継者不足に悩む企業が事業承継のためにM&Aを利用する例も増えています。

  1. (1)M&Aが急激に増加している

    日本では「M&A」というと「敵対的買収」のイメージも強く、必ずしも良い印象を持たれないことから、海外ほど積極的に活用されてこなかった経緯がありますが、非常に大きなメリットがもたらされることが認識されるようになり、近年急激に利用件数が増加しています。

    2018年版 中小企業白書によると、1985年には300件にも満たなかったM&Aの件数が2017年には3,000件を超えており、30年で10倍以上となっています。翌年である2018年には3,850件にまで伸びています。
    2010年頃には景気の悪化により一時大きく件数が落ち込み1,600件ほどとなった経緯がありますが、この10年間の伸びが大きいのが目立ちます。

  2. (2)M&Aが増加している理由

    M&Aの件数が増加している理由として、企業のグローバル化や競争激化が挙げられます。
    近年ではグローバル化が進み、中小企業でも海外進出しているケースが多々あります。自社には海外展開のノウハウなどを持たない企業が他企業とM&Aを行い、海外進出へのステップに役立てています。
    またバブル崩壊後、従来の方法で営業しているだけでは収益力・競争力を維持しにくくなっている現状があります。近時は海外企業が日本へ進出する傾向も高いので、企業間の競争を生き抜くために他企業と提携・合併して生き残りを図っています。

    さらに少子高齢化や働き方の多様化によって後継者不足に悩む高齢の経営者が増えている問題もあります。これまでのように「子どもが当然に会社を継いでくれる」というステレオタイプな考え方が通用しなくなり、M&Aによる事業承継を選択する企業が増えています。

    政府も事業承継のためにM&Aを積極的に活用するよう推奨しており、全国の都道府県に「事業引継ぎ支援センター」を作ってM&Aによる事業承継の相談やサポートに対応しています。弁護士などの専門家が国の「認定」を受けて中小企業の事業承継を支援する制度も作られましたし、金融機関がM&A仲介業者と連携して取引先の企業の事業承継を支援する動きも全国で起こっています。

    今後は競争力強化やシナジー効果による飛躍的な発展、事業承継などのためにM&Aを利用する企業がますます増えてくると予想されます。

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2、M&Aにおける弁護士の役割について

M&Aにおいて弁護士がどのような役割を果たすのか、弁護士に依頼するメリットと合わせてご説明します。

  1. (1)M&Aスキームの選択と決定

    一口に「M&A」といっても、さまざまな手法(スキーム)があります。スキームとは、たとえば株式譲渡、事業譲渡、株式交換、合併、会社分割などの「法的な構成・手法」です。M&Aを行うときには、まず初めにどのようなスキームを利用するのかを決定しなければなりません。各スキームによってメリット・デメリットがあり、適用される税制や法的規制も異なります。スキーム決定には法的な要素を多く含むので、法律の専門家である弁護士が状況に応じた最適なスキームを選択します。

  2. (2)M&Aスケジュールの作成と実行

    M&Aには比較的長い時間がかかります。下準備や調査、相手企業の選定、交渉を行い、基本合意締結後にはデューデリジェンス(対象会社の調査)を実施します。その際問題があれば当初の予定を修正すべきケースもあります。
    弁護士が当初から関与し、適切なスケジュールを策定しておくことによってスムーズに進めることが可能となります。修正等必要な場合にも弁護士が即時対応すれば混乱が生じるリスクを低減できます。

  3. (3)代理交渉

    M&Aを行うときには、契約締結に向けて相手企業との交渉が必要です。確かに「M&Aはお互いに友好的な関係を築くもの」ではありますが、利害が絡む交渉事ですから譲ってばかりでは不利益を受けたり、本来得られる利益を失ったりしてしまうことが懸念されます。
    弁護士は、M&A当事者双方の利害や現状を踏まえて「最善の結果」を実現できるように交渉を進めます。妥協すべきところは妥協しますが、常に依頼企業に最大限の利益をもたらすように尽力します。

    M&Aの条件設定をM&A仲介業者のみに任せていると相手企業に有利にされて自社に不利な内容にされる可能性もありますが、弁護士が代理人となっていればそういったリスクもなく安心です。

  4. (4)契約書の作成、チェック

    M&Aでは、契約書が非常に重要です。一般的には、まず、お互いに条件交渉がまとまったところで「基本合意書(基本契約書)」を作成します。その後デューデリジェンスが済んで最終条件がまとまったときに「最終契約書(株式譲渡契約書など)」を作成します。
    どちらも非常に重要な書面であり、内容が不適切であったり、不備があったりすると後日のトラブルを招くおそれが高くなってしまいます。

    弁護士に契約書の作成を任せればトラブルやリスクを予防できる内容に整備するので、問題発生を防止できます。また、M&A仲介会社や相手企業が契約書のたたき台を作成した場合でも、弁護士が契約書をチェックして契約内容が自社に不利になっていないか、きちんと合意した通りの内容となっているか確認し、後日のトラブルやリスクを防止します。

  5. (5)M&A仲介会社や相手企業選定についてのアドバイス

    M&Aを進める際には、相手企業探しのためにM&A仲介会社(M&Aアドバイザー)を利用するケースが多数です。M&A仲介会社にはいろいろな業者があるので、良心的で誠実に対応してくれるところに依頼すべきです。
    またM&Aの相手企業を選定する際には、希望条件に合致するだけではなく、相性や事業上の適合性なども考慮しなければなりません。
    弁護士は、M&A仲介業者や相手企業の選択の際にも法的な観点からアドバイスをします。不審な点があれば契約を避けるよう助言しますし、メリットが大きくなりそうであれば後押しします。このことで、リスクを避けながらM&Aの目的を実現しやすくなります。

  6. (6)法務デューデリジェンス

    M&Aでは「法務デューデリジェンス」を行うケースがあります。法務デューデリジェンスとは、対象企業の事業内容や資産・負債、権利義務の状況、知的財産権の状況、労務関係等を法的観点から監査して、リスクがないか確認する手続きです。

    たとえば株式の保有状況や株主の履歴を確認し、契約書の整備状況や内容をチェックし、事業の許認可や知的財産の登録状況、登記関係のチェックなどを行います。
    法務デューデリジェンスでリスクが発見されたら将来的にトラブルにつながる可能性があるので、M&Aを中断すべきケースもあります。リスクを避けるためにもM&Aでは法務デューデリジェンスを実施すべきです。

    法務デューデリジェンスは、法律的な知識を持った「弁護士」に委ねるべき分野です。中でも「M&Aに慣れた弁護士」に法務デューデリジェンスを依頼すると、相手企業の問題点を的確かつ迅速に洗い出すことができてリスクを低減できます。

  7. (7)他士業との連携

    M&Aを行う際には、会計士や税理士などの他士業(専門家)の協力が必要です。普段からM&Aを扱っている弁護士は、会計士や税理士と連携しているので、依頼するとワンストップでM&Aに必要な財務・税務における調査や手続きを進めていけます。ベリーベストでも提携税理士・会計士がおりますのでお気軽にご相談ください。

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3、M&Aを弁護士に依頼する費用

M&Aを弁護士に依頼すると、以下のような費用が発生します。

  1. (1)法律相談料

    M&Aについて相談するときに発生する費用です。1時間1万円や2万円などと時間単位で設定されている場合、初回は無料相談を利用できる場合など事務所によってさまざまです。
    まずは問合せをしてみましょう。

  2. (2)着手金、成功報酬金

    M&Aを依頼すると、当初に「着手金」がかかるのが一般的です。
    またM&Aが成功したときには、最終段階で「成功報酬金」が発生します。金額はM&Aの「規模」やスキーム、弁護士にかかる工数などによって変動します。着手金なしで完全成功報酬制となっている事務所もあります。各法律事務所に規定の計算方法があるので、依頼前に確認しましょう。

  3. (3)月額報酬制

    M&Aを弁護士に依頼する場合「月額」で報酬計算されるケースもあります。着手金と報酬金ではなく、案件が継続している間料金がかかり続けるパターンです。長期化すると高額となる可能性があり、失敗しても払ったお金は返ってこないのが一般的です。

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4、ベリーベストがM&Aにおいてできるサポートは?

ベリーベスト法律事務所でも、企業のM&Aへ積極的なサポートを行っています。

  1. (1)適切なアドバイスと徹底的なサポート

    M&Aを検討している企業経営者の方へ必要なアドバイスを行います。どういったことを実現できるのか、M&Aを利用することで得られるメリット、具体的な方法、避けるべき方法、リスクなどを説明し、安心してM&Aに取り組めるようお手伝いします。
    M&Aにはいろいろなスキームがありますが、各企業において、最適な手法をご提案することができます。
    M&Aに着手した後も徹底的にサポートを行います。問題が起こらないように最大限の配慮を行い少しでも気になる点があれば、即刻リスク回避のための対策をとります。

  2. (2)リスク回避のため契約書作成

    M&Aで必要な契約書作成も、ベリーベストが得意とするとことです。種々の複雑なM&Aに関する契約書を最適な内容に仕上げて、将来に起こりうるトラブルを予防します。

  3. (3)万全のデューデリジェンス

    M&Aに必要な法務デューデリジェンスにおいては、対象企業に問題がないかどうかしっかりチェックを行ってリスクを最小限にします。細かい点まで見逃さずに調査・査定し、安全を担保します。

  4. (4)近接士業との緊密な連携

    ベリーベストでは税理士や会計士と緊密な連携関係がありますので、税制面や財務面にも配慮することができ、スムーズかつ一貫性をもった対応が可能です。
    法務・税務・財務を総合的に見て、最適なお手伝いをすることができます。

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まとめ

ベリーベスト法律事務所ではM&Aをはじめとした企業法務に非常に力を入れています。
M&Aは弁護士業務の中でも高い専門性を要する分野なので、企業法務に積極的に取り組んでいる弁護士に相談しましょう。今後M&Aによって事業の発展を目指したい方、事業承継M&Aに関心を持っている方など、まずは一度お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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