企業法務コラム

2021年06月17日
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法人破産の手続きの流れは? 債権者の種類や代表者の処遇などを解説

法人破産の手続きの流れは? 債権者の種類や代表者の処遇などを解説

会社の経営状態が悪化して、会社の存続が経済的に難しくなった場合には、債務の負担から解放されるために法人破産を検討しましょう。

適法に法人破産の申し立てを行うと、裁判所における破産手続きに従って、会社の清算が進行することになります。

特に会社の代表者は、破産手続きにおいて種々の制約を受けることになります。
法人破産を検討する経営者の方は、実際に申し立てを行う前に、破産手続きの流れを押さえておきましょう。

本コラムでは、法人破産の手続きの流れについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説いたします。

1、法人破産の手続きを開始すべき場合とは?

法人破産とは、経営が悪化した会社やその経営者を債務の負担から解放するための、法的清算手続きのことをいいます

法人破産手続が終了すると、会社の全財産を債務の弁済に充てられる代わりに、最終的にすべての債務が消滅します。そのため、経営者にとっては再スタートを切りやすくなるでしょう。

もし会社が以下のような状況に陥ってしまった場合には、法人破産を検討すべきといえます。

  1. (1)「支払不能」となった場合

    会社が支払能力を欠き、弁済期にある債務を一般的かつ継続的に支払えない状態は、「支払不能」と呼ばれます(破産法第2条第11項)。
    会社が支払不能であることは、破産手続きが開始する原因の一つとなります(破産法第15条第1項)。

    支払不能の状態とは、自転車操業すら成り立っておらず、もはや会社再建の見込みが全く立たない状況のことです。
    このような場合には、法人破産によりいちど会社を畳んで、整理がついた後に、改めてスタートしたほうがよいでしょう。

  2. (2)「債務超過」から回復する見込みがない場合

    会社が「債務超過」である場合にも、法人破産を行うことが可能となります(破産法第16条第1項)。
    破産法上の債務超過とは、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態のことを指します。

    経営戦略の観点から、貸借対照表の「負債の部」が「資産の部」を上回っている状態をあえて維持している会社も存在します。
    しかし、意図せずこのような状態が恒常化しており、経営状態が改善する見込みが立たない場合には、いつ資金繰りが破綻してもおかしくない状態といえるのです。
    このような場合には、法人破産を選択することも、有力な選択肢となるでしょう。

2、法人破産の手続きの流れと費用

法人破産は、会社を清算するための、大がかりな手続きです
そのため、法人破産を行うこと自体に、ある程度の費用がかかってしまうものです。

実際に法人破産を行う場合の手続きの流れと費用について、解説いたします。

  1. (1)法人破産の手続きの流れは?

    法人破産の手続きの流れの詳細は、以下のページで解説しています。

    (参考:「破産手続きの流れ」(ベリーベスト法律事務所)

    破産手続き開始の申し立てが行われた場合、まずは、「破産手続き開始の要件が揃っているか」についての審査を裁判所が行うことになります

    要件が揃っていた場合には、裁判所は破産手続開始の決定を行い、「破産管財人」を選任します。

    破産管財人は会社の代表者に代わって会社財産の管理処分を行う専門家であり、破産手続きを主導する立場にあります。
    会社の代表者としては、破産管財人と協力して、会社財産の処分・債権者集会での債権者への説明・配当を行っていくことになるのです。

    破産手続きは、会社財産を債権者にすべて配当しきった段階で終結します。破産手続終了により株式会社は消滅するので(会社法471条5号、破産法35条)、その時点で債務も消滅します

    以上が、法人破産のおおまかな流れとなります。

  2. (2)法人破産には予納金や弁護士費用などが発生する

    法人破産にかかる費用について、解説いたします。

    ① 予納金
    法人破産手続きの開始が決定されるための要件として、「予納金の納付」があります(破産法第30条第1項第1号)。
    予納金とは、破産手続きを進行させるための費用のことであり、主に破産管財人の報酬にあてられるものです。

    予納金は負債総額に応じてその金額に一定の基準が定められています。

    通常管財(特定管財)事件の予納金相場(東京地方裁判所)

    負債の総額予納金の金額
    5,000万円未満70万円
    5,000万円以上1億円未満100万円
    1億円以上5億円未満200万円
    5億円以上10億円未満300万円
    10億円以上50億円未満400万円
    50億円以上100億円未満500万円
    100億円以上250億円未満700万円
    250億円以上500億円未満800万円
    500億円以上1,000億円未満1,000万円
    1,000億円以上1,000万円以上


    ただし、弁護士を代理人として申し立てを行うなど、一定の要件を満たす法人破産については、実務上「少額管財事件」として取り扱われます
    この場合には、予納金額は「20万円」で済むことが多いのです。

    「自分が行うとしている法人破産では、少額管財は利用できるのだろうか」ということについて疑問を持たれた場合には、弁護士に確認されることをお勧めします

    ② 弁護士費用
    法人破産を弁護士に依頼する場合には、弁護士費用が発生します。

    弁護士費用の金額は、負債総額や債権者数に応じて決まります。一般的には、40万円程度が下限です。
    ただし、前述のとおり、弁護士に法人破産を依頼すると「少額管財」が利用して予納金額を抑えることが可能になりますそのため、弁護士に依頼した方が、最終的にかかる金額が低くなる場合が多いのです

    ③ その他の実費
    法人破産の申立人は、以下の実費を裁判所に納める必要があります。

    • 手数料(収入印紙)
    • 郵券
    • 官報広告費


    これらは「雑費」と呼称すべきものであり、総額は2万円程度となります。

3、法人破産における債権者と代表者の取り扱いについて

法人破産の手続きでは、債権者の間に優先順位が付けられて、上位の債権者から順番に配当を受け取ることになります
また、会社の代表者については、手続きを開始した時点で会社経営の一線から退くことになるのです。

法人破産における債権者と代表者の取り扱いについて、解説いたします。

  1. (1)債権は「破産債権」「財団債権」「別除権」に分かれる

    法人破産の手続きに関連する債権は、「破産債権」「財団債権」「別除権」という三つの債権に分類され、これらの債権を持つ者をそれぞれ「破産債権者」「財団債権者」「別除権者」といいます。

    破産債権者は、もっとも一般的なカテゴリです。大半の債権者は、「破産債権者」に分類されます。

    財団債権者には、「破産手続きの進行自体のために支払いが必要な債権」、または「政策的に優先順位が高められている債権(租税債権、3か月分の給料債権など)」を有する人などが該当します(破産法第148条第1項、第149条第1項)。
    財団債権者は、破産債権者よりも優先的に弁済を受けることが可能なのです(同法第151条)

    別除権者とは、破産者に対して「特別の先取特権、質権又は抵当権付きの債権」を有する人をいいます(同法第2条第10項)。
    別除権者は、破産手続きによらずに権利を行使することができます(同法第65条)。そのため、財団債権者よりもさらに優先的に弁済を受けられる立場にあるのです。

  2. (2)「破産債権」はさらに四種類に分かれる

    「破産債権」は、優先順位が高い順に、以下の四種類に分けられます。

    • 優先的破産債権(破産法第98条第1項)
    • 通常の破産債権
    • 劣後的破産債権(同法第99条第1項)
    • 約定劣後破産債権(同条第2項)


    優先的破産債権とは、「一般の優先権がある破産債権」です。財団債権となる3か月分の給料債権以外の給料債権などが該当します。

    劣後的破産債権には、破産手続き開始後に発生したものなどを主とする、「破産債権者に対する弁済を済ませた後に支払うべき債権」が該当します。

    約定劣後破産債権は、「破産手続き開始前に、配当順位が劣後的破産債権に後れることが特に合意された債権」のことを指します。

    そして、上記三つのいずれにも該当しない破産債権は、通常の破産債権として取り扱われるのです。

  3. (3)代表者は会社財産の管理処分権を失う

    破産手続きが開始すると、会社財産の管理処分権は、会社(代表者)から破産管財人に移されることになります。

    代表者は会社財産の管理処分権を失うため、破産手続き開始後に代表者として行った法律行為は無効になってしまうのです(破産法第47条第1項)。

  4. (4)代表者個人は法人破産の責任を負うか?

    破産手続きにおいては、破産者である会社の債務を支払う義務を、代表者個人が負うことはありません

    ただし、以下のような場合については、破産手続きとは別に、債権者から代表者個人に対して債務の履行請求が行われる可能性が高いでしょう。

    • 会社の債務を代表者個人が連帯保証している場合
    • 代表者が会社の無限責任社員の場合(合名会社、合資会社などのケース)


    代表者個人が債権者から履行請求された場合には、牽連破産(会社と同じタイミングで自己破産すること)に追い込まれてしまうおそれがあります

4、法人破産を弁護士に相談すべき理由

法人破産を検討している経営者の方は、まずは弁護士に相談することをおすすめします

  1. (1)法人破産をすべきかどうかのアドバイスを受けられる

    法人破産すると、会社は清算されます。そのため、同じ会社で事業を継続することは不可能です。

    債務整理には、法人破産のほかにも、民事再生や任意整理などの方法が存在します。本当に法人破産をするべきか、他の方法による債務整理を行うべきか否かを、弁護士に検討させ、アドバイスを受けることができます。

  2. (2)書類作成や破産手続きの準備を任せられる

    法人破産を実際に申し立てる場合には、膨大な書類の準備や、複雑な手続きが必要となります。

    弁護士に相談すれば、面倒な準備や手続きを代行させることができます。そのため、経営者側の負担は、大きく軽減されることでしょう。

  3. (3)債権者などへの対応を代行してもらえる

    法人破産をする場合、債権が毀損してしまう債権者に対する対応は困難を極めます。
    感情的な怒りをぶつけてくる債権者も少なくありません。ときには、心身が危険にさらされる場合もあるのです。

    弁護士であれば、依頼者に代わって、厳しい債権者対応の矢面に立つことができます。そのため、経営者は破産手続きや再スタートの準備に集中することができるのです。

5、まとめ

法人破産の手続きは、非常に複雑かつ困難な手続きになります。さらに、債権者への対応がうまくいかず、予期せぬトラブルが発生するリスクも存在するのです。

ベリーベスト法律事務所の弁護士であれば、経営者の方に代わって、法人破産の複雑な手続きや債権者への対応を代行することができます。また、予納金を減額し、法人破産の手続きにかかる費用を軽減することもできるのです。

また、ベリーベスト法律事務所では、税理士や公認会計士との連携によるワンストップサービスを提供いたしております。法律ではなく税金や会計の面からの相談も同時にお受けすることにより、総合的なサポートを実現することができるのです。

(参考:「破産申し立てに必要な費用」(ベリーベスト法律事務所)

(参考:ベリーベスト法律事務所 企業法務・顧問弁護専門サイト

会社の経営が立ち行かなくなり、破産手続きを検討されている方は、ベリーベスト法律事務所にまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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