企業法務コラム

2021年10月14日
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法的整理とは? 会社の債務整理を弁護士が解説

法的整理とは? 会社の債務整理を弁護士が解説

新型コロナウイルスの影響などにより、経営状況の悪化している会社が増加しています。

特に会社が債務超過に陥っており、売り上げ改善の見込みがない場合には、会社が自力で経営を立て直すことは困難です。このような場合には、会社について法的整理を行うことがひとつの解決策になります。

この記事では、会社の法的整理の種類や私的整理との違い、手続き選択の指針などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、法的整理|4つの方法を詳しく解説

会社の法的整理とは、法律で定められた手続きに従って、会社の債務の減額・免除を行い、または返済スケジュールを猶予することをいいます。

会社の法的整理の手続きには、大きく分けて以下の4つがあります。

  • ① 民事再生
  • ② 会社更生
  • ③ 破産
  • ④ 特別清算


本章では、それぞれの法的整理手続について解説します。

  1. (1)「再生型」と「清算型」

    まず、法的倒産手続(法的整理)は「再生型」と「清算型」の2種類に大別されます。

    「再生型」とは、会社を存続させた状態で債務整理を行い会社の経営を立て直す方法です。上記の中では民事再生と会社更生が、「再生型」の法的整理手続きに該当します。

    一方「清算型」とは、債務整理の結果として、最終的に会社の法人格を消滅させる方法です。「清算型」の法的整理手続きには、破産と特別清算が該当します。

  2. (2)「再生型」の法的整理(民事再生・会社更生)

    「再生型」の法的整理手続きである民事再生と会社更生とは、どのような手続きなのでしょうか。

    ● 民事再生とは
    民事再生法に基づく民事再生手続により、債務の総額に応じて会社の債務を大幅に減額し、さらに返済スケジュールの猶予を行います。

    手続き終了後は、「民事再生計画」に従って、債権者に対して減額後の債務の計画弁済が行われます。

    民事再生は、基本的には現経営陣がそのまま経営権を持ちつつ、事業の再建を図っていくという点が特徴として挙げられるでしょう

    ● 会社更生とは
    会社更生法による手続により、会社の債務の減額・返済スケジュールの延長を行います。

    会社更生は、担保が付された債権も含めたすべての債権を債務整理の対象とする、強力な手続です。

    しかし、会社更生手続が開始すると、会社の経営に関する権限は、取締役から管財人に移動するというデメリットがあります。

  3. (3)「清算型」の法的整理(破産・特別清算)

    次に、「清算型」の法的整理手続きである、破産と特別清算について解説します。

    ● 破産とは
    破産法に基づく破産手続により、会社財産の換価・処分と債権者への配当が行われます。
    そして、最終的には会社の債務を全額免除した上で、会社を清算し、法人格を消滅させます。

    破産手続では、破産管財人が会社財産の換価・処分と債権者への配当を行います。

    ● 特別清算
    特別清算は、会社財産の換価処分・債権者への配当・会社の清算という、流れを経る点は破産と同様ですが、裁判所を通さずに会社自身で手続きを進められるため、破産よりも簡易な手続きで済むという特徴があります。

    ただし、株式会社に限られ、債権額ベースで3分の2以上を有する債権者の同意が必要、などの要件を満たすことが必要です。

2、私的整理という選択肢

債務整理の方法には、法的整理ではなく私的整理をするという選択肢もあります。

  1. (1)私的整理とは?

    私的整理とは、法律で定められた手続ではなく、債権者との直接交渉によって債務の減額や返済スケジュールの猶予を認めてもらう方法です。

    私的整理は、第三者機関などが定める自主ルール・ガイドラインに沿って行われるパターンと、完全にフリーハンドの交渉によって行われるパターンの大きく2つに分かれます。

  2. (2)ガイドラインなどに基づいた私的整理

    私的整理に関する第三者機関の自主ルール・ガイドラインを利用した私的整理手続きには、次のようなものがあります。

    • 事業再生ADR
    • 中小企業再生支援協議会による再生支援手続
    • 地域経済活性化支援機構(REVIC)の事業再生支援
    • 整理回収機構(RCC)による再生支援スキーム
    • 特定調停
    • 私的整理ガイドラインに沿った私的整理
  3. (3)完全な任意交渉により行われる私的整理

    一方、上記のような手続きによらず、債権者と債務者の間でフリーハンドの交渉が行われる場合もあります。

    債権者の側としては交渉にあたり、会社が倒産するリスクを承知で額面どおりに取り立てを行うか、それとも任意整理に応じて少しずつ債務を返してもらう方が良いか、の選択を迫られます。

    そして、後者の方がベターであると判断した場合には、債権者は任意整理による債務の減額・返済スケジュールの猶予に応じることになります。

3、どの方法を選ぶのが最適か?

債務者である会社としては、さまざまな債務整理の方法から、どの方法を選択するのが最適であるかを判断しなければなりません。

以下では、債務整理の方法を選択する上で意識すべきポイントを解説していきましょう。

  1. (1)事業を継続したいかどうか

    法的整理は会社を存続させる「再生型」と、会社を消滅させる「清算型」の2つに分かれるということは、すでに解説したとおりです。

    そのため、まずは会社の事業を継続したいかどうかが、債務整理の方法を選択するうえでの大きなポイントになります。

    つまり、事業を継続したい場合は民事再生または会社更生(または任意整理)、事業を諦めて清算するのであれば、破産または特別清算を選択することになります。

  2. (2)債権者の同意を得られるかどうか

    「再生型」の手続きを選択する場合は、一定割合以上の債権者の同意により、再生計画案または更生計画案が可決されることが必須です(民事再生法第172条の3第1項、会社更生法第196条第5項)。

    よって、可決要件を満たすことができない場合には、「再生型」の手続は諦めて破産を選択するほかありません

    なお、特別清算を利用する場合は、債権額ベースで3分の2以上を有する債権者の同意が必要です(会社法第567条第1項)。
    また、任意整理の場合も、個別の債権者が任意整理の内容に同意しなければ成立しません。

    つまり、債務整理手続の中で、債権者の同意が必要ないのは破産のみということになります。
    したがって、債務整理について債権者の同意が得られない場合、最終的には破産手続を選択することになるでしょう。

  3. (3)会社更生は厳格・複雑な手続きのため、中小企業には向かない

    会社更生手続については、利害関係人が極めて多い大企業が倒産する場合を想定して、極めて厳格かつ複雑な手続が法律上定められています。

    そのため、弁護士費用・手続費用が著しく高額で中小企業には向いていません。

    中小企業が「再生型」の法的整理を行う場合は、民事再生を選択するのが良いでしょう。

  4. (4)私的整理は債務額・債権者数が少ない場合のみ

    私的整理は、債務額が小さく債権者数が少ない場合に限り、有力な選択肢です。

    任意整理は、法的整理とは異なり、債権者との個別交渉により行われるため、簡易な手続で行うことができるというメリットがあります。
    一方で、債務の大幅な減額は期待できない・債権者ひとりずつと交渉しなければならないというデメリットも存在します。

    債務額が小さく債権者が少ない場合には、手続きの簡便さというメリットが勝つ場合もあります。
    しかしそうでない場合には、法的整理で一括して債務整理を行う方が良いでしょう。

  5. (5)再建の見込みがない場合には破産やむなし

    事業の再建が見込めない場合には、破産を選択することもやむを得ません。

    この場合、「再生型」の法的整理を行うために必要な債権者の同意を得られる可能性は極めて低いでしょう。

    また、「再生型」の手続きには「清算価値保障原則」が定められています。
    清算価値保証原則とは、再生計画や更生計画は、破産をした場合よりも多くの配当を債権者が受けられる内容になっていなければならないことを意味しています。

    事業の再建見込みが立たない場合には、清算価値保障原則を満たす計画弁済を行う見込みも立ちませんので、計画案が認可されることはありません。

    以上の理由から、会社の事業を再建できる可能性が低い場合には、破産手続きを選択することになるでしょう。

4、法的整理をお考えなら早めに弁護士に相談を

会社の経営状況が悪化し、法的整理を検討している経営者の方は、お早めに弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は法律の専門家として、経営改善策・公的支援策の利用や、会社の状況に合わせてどの債務整理の方法を選択するのが最適であるかなどについてアドバイスを提供しています。

会社の傷が浅いうちに弁護士に相談をすることで、取ることのできる対応策の選択肢も広がりますので、まずはお早めに、ベリーベスト法律事務所の弁護士にご相談ください。

5、まとめ

業績悪化により会社の経営再建や清算を目指す経営者の方は、法的整理に限らず最適な対処法を選択するために、まずは弁護士にご相談ください。

ベリーベスト法律事務所は全国にオフィスを構えており、経営者の方からのご相談を随時受け付けております。

また、所属税理士が相談に同席して税務面のご相談についてもワンストップでお受けしているほか、民事再生・法人破産専門チームが会社の債務整理を専門に取り扱っております。

会社の経営悪化に悩んでいる経営者の方は、民事再生・法人破産専門チームのページもご参照の上、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所の弁護士にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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