企業法務コラム

2016年09月14日
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人工知能について

人工知能について

今回はAIつまり人工知能がテーマです。

AIが車を運転する、AIがガンを発見する、AIが携帯電話を販売するなどなど、近頃、AIが活躍する社会の訪れを知らせるニュースが日々流れています。

法律の業界では、「AI創作物の著作権問題」の議論が賑やかです。
「AI創作物の著作権問題」とは、いったい何が問題になっているのでしょうか。

まず、一つめに、著作権法は、著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」としており、人ではないAIは「思想又は感情」を有していないのではないか、そうであればAIの創作する作品は著作物にあたらないのではないかということが問題になっています。

次に、法律上、権利の帰属主体は「人」であることが原則です。
つまり、犬やロボットは「人」ではありませんので、財産を所有したり、契約の当事者になったりすることはできないのです。
そうであれば、AI創作物の著作権を誰が有するのか、というのが二つめの問題です。

一つめの問題について、AI創作物も著作物であると認めざるを得ないことになるでしょう。人間が創作したのか、AIが創作したのかを見分けることは困難なため、これを区別する必要があるとすると、コンテンツの利用者が混乱することは必至です。
また、AI創作物といえども、AIがプログラミングされたり、AIに指令を出したりする過程で、一定の人間の関与が存在するため、「思想又は感情」の表現であると言えなくはないからです。AI創作物も情報財としての価値があるものですので、これを適切に保護することは、新たなAI創作物の創作にインセンティブを与えることになり、文化の発展に寄与するという著作権法の趣旨にも合致します。

二つめの問題はより難しい問題です。現状、提案されているのは、AIをプログラミングした情報技術者が著作権を持つ案、AIのプログラムを購入するなどして利用した(AIに指令を出した)人間が著作権を持つ案、AI創作物を流通させた人間が著作権を持つ案など様々です。
面白い案としては、AIを会社のように「法人」として、AI自体が著作権を持つとする案があります。AIが権利者ですので、著作権が侵害されたとして訴訟を起こすのもAIなのでしょう。
私はこの案がイチオシです。ただし、会社のような「法人」は、設立登記の手続が必要ですが、AIを全て法人として設立登記することは現実的ではなく、実現は難しいでしょう。

AIが音楽を作ったり、小説を書いたりする社会は既に到来しています。
AI創作物の著作権問題は、待ったなしで解決しなければならない喫緊の課題と言えます。政府も「知的財産推進計画2016」において、これを具体的な環境整備のために検討すべき課題として捉えています。
新たに法律を作って解決しなければならない事柄も含まれていますので、我々は法整備に向けた議論を見守っていく必要があります。
ところで、AIは人の仕事を奪うと言われています。
近似する事例の裁判例の検索能力で、弁護士もAIには太刀打ちできないでしょうから弁護士の仕事もAIにとって代わられる部分が出てくるでしょう。
「AI創作物の著作権問題」の解決策をAIに考えてもらうということも、あながち非現実的だとは言い切れないですね。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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