企業法務コラム

2022年11月09日
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法人・会社が破産するとき、代表者の役割・責任は? 手続きの注意点

法人・会社が破産するとき、代表者の役割・責任は? 手続きの注意点

会社の経営に行き詰まった場合には、会社の破産を検討することになります。会社の代表者となっている方の中には、「会社が破産した場合に、どのような責任が生じるのだろう」と不安に感じる方もいるかもしれません。

代表者が会社の連帯保証人になっている場合には、会社の破産と同時に代表者個人も破産手続きをしなければならないケースもありますので、法人・会社の代表者となっている方は注意が必要です。

今回は、法人・会社が破産するときの代表者の役割・責任と破産手続きをする際の注意点について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、法人・会社が破産するとき、代表者の責任

法人・会社が破産することになった場合に、法人・会社の代表者にはどのような責任が生じるのでしょうか。


  1. (1)法人・会社の代表者とは

    法人・会社の代表者とは、当該法人・会社の業務執行に関して代表権を与えられた人のことをいいます。法人であれば「理事」と呼ばれる役職の方が、会社であれば「取締役」と呼ばれる役職の方が代表権を有しています

    ただし、複数の理事や取締役がいて、そのうちから代表理事または代表取締役を選任した場合には、その代表理事または代表取締役のみが代表権を有することになります。

    法人や会社によっては、「会長」や「社長」などの肩書が与えられている方がいることがありますが、それらはあくまでも法人・会社内のルールに従って付与された肩書に過ぎず、法律上の代表権とは直接の関係性はありません。

  2. (2)法人代表者が負うべき責任

    法人代表者と法人・会社とは、法律上は、別人格として扱われますので、法人・会社が破産したとしても、そのことによって法人代表者に責任が生じることはありません。

    しかし、以下のような場合には、法人代表者に責任が生じることがあります。

    ① 破産の原因が代表者にある場合
    法人代表者は、会社に対して善管注意義務、忠実義務といった法的義務を負っています。このような法的義務を怠ったために会社に多額の損害が生じ、破産をしなければならなくなった場合には、法的義務違反を理由として、会社に対して損害賠償義務を負うことがあります(会社法423条1項)。

    ただし、法人代表者には、会社経営について広範な裁量が認められていますので、単に経営に失敗したというだけでは善管注意義務違反や忠実義務違反を問われることはありません。

    また、法人代表者が職務に関して悪意または重大な過失によって第三者に損害を与えた場合には、第三者に生じた損害を賠償する責任が生じます(会社法429条1項)。

    ② 代表者が法人の債務について連帯保証人になっている場合
    法人・会社と代表者とは、別人格ですので法人・会社が負っている債務について、代表者が返済義務を負うことはありません。

    しかし、法人・会社が金融機関などから融資を受ける際には、法人代表者が連帯保証人になることを求められることがあります。

    連帯保証人になってしまった場合には、主債務者である法人・会社と連帯して債務を負担する義務が生じますので、法人・会社が破産をした場合には、連帯保証人である代表者が返済をしていかなければなりません。

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2、代表者が法人・会社の連帯保証人である場合

代表者が法人・会社の連帯保証人になっている場合には、以下のような対応が必要になります。

  1. (1)連帯保証人として返済が必要

    法人が破産をすれば、法人の資産を売却して債権者への返済をすることになりますが、債務超過にある法人では、会社の資産を売却したとしても債権者への返済をすべて行うことはできません。この場合でも、法人の消滅とともに借入金などの返済義務が消滅しますので、法人の責任はなくなります。

    しかし、代表者が法人・会社の連帯保証人になっていた場合には、法人の破産手続きで残ってしまった債務について、連帯保証人である代表者が返済をしてかなければなりません。法人の代表者自身に資産がある場合には、資産を売却した上で、債権者への返済に充てていくことになります。

    なお、代表者が返済しなければならないのは、法人の負っていたすべての債務ではなく、代表者が連帯保証人になっている部分です。

  2. (2)返済が困難であれば代表者も債務整理を行う

    代表者の資産によって、連帯保証人としての債務をすべて返済することができるのであれば、法人・会社の破産のみで足りることになります。しかし、法人・会社の債務は、個人の債務とは異なり非常に多額の債務ですので、代表者個人の資産だけではすべて返済することが難しいケースが多いです。

    代表者個人の資産では返済することができない場合には、代表者個人も債務整理の手続きが必要になってきます

  3. (3)代表者のみが自己破産した場合の会社への影響は?

    代表者が自身の借金が原因で自己破産をすることがあります。代表者個人と法人・会社とは、別人格として扱われますので、代表者のみが自己破産するということも可能です。

    この場合には、代表者個人の借金だけでなく、代表者が会社の連帯保証人になっている保証債務についても自己破産による免責の対象になります

    ただし、法人・会社の代表者が就任中に自己破産をする場合には注意が必要な点があります。

    民法では、破産手続き開始の決定を受けたことが委任契約の終了事由のひとつとして定められていますので、代表者が自己破産をした場合には、法人・会社との委任契約が終了し、自動的に退任することになります。

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3、破産手続きを行うときの注意点

破産手続きを行う際には、以下の点に注意が必要です。

  1. (1)破産手続き開始の申し立てができる人は限られている

    法人・会社の破産手続きを行うことができるのは、以下の場合に限定されています。

    ① 自己破産申し立て
    債務者である法人・会社は、当然、破産手続きの申し立てをすることができます。法人・会社が申立人となりますが、法人・会社自体は観念的な存在ですので、実際の手続きは法人・会社の代表者がすべて行います。債務者である法人・会社が破産の申し立てを行うのが、もっとも一般的な方法といえます。

    ② 準自己破産申し立て
    準自己破産申し立てとは、債務者である法人・会社自身が申し立てをする(この場合、実際の手続きは法人・会社の代表者が行う)のではなく、準債務者が破産申し立てをすることをいいます。準債務者とは、債務者に準じる地位にある人のことをいい、法人であれば「理事」、株式会社であれば「取締役」、合名会社・合同会社・合資会社であれば「業務執行社員」が準債務者にあたります
    法人・会社の破産申し立てにあたって、取締役全員の同意または取締役会決議が得られない場合には、法人・会社自身が破産申し立てをすることはできませんが、代表権のない取締役などの役員でも準自己破産という方法によって、法人・会社の破産申し立てをすることができます。

    ③ 債権者破産申し立て
    債権者破産申し立てとは、支払不能になった債務者ではなく、支払いを受けることができなかった債権者が主体となって法人・会社の破産申し立てをする方法です。
    債権者が破産申し立てをすることによって、不良債権を損金処理することができたり、債務者による不当な財産処分を回避することができたりするというメリットがあります。しかし、破産手続きに要する高額な予納金を債権者が負担しなければならないというデメリットがあるため、利用されるケースは少ないといえます。

  2. (2)破産管財人の否認権行使対象行為をしてはいけない

    法人・会社の破産手続きにおいては、裁判所によって破産管財人が選任され、破産管財人によって破産手続きが進められていきます。

    破産管財人は、法人・会社の資産を換価処分して、債権者への配当を行うだけでなく、否認権を行使することによって、法人・会社から散逸した財産を法人・会社に戻すことが認められています。

    そのため、破産申し立てをする直前に、法人・会社名義の資産を代表者個人の名義に移す行為や懇意にしている債権者だけ優先的に返済を行うなどの行為は、いずれも否認権行使の対象になりますので、このような行為をするのは避けるようにしましょう。

  3. (3)破産手続き中の給与・役員報酬の支払いについて

    法人・会社が破産をする場合には、破産申し立て前にすべての従業員を解雇するのが一般的です。しかし、経理関係の処理、売掛金の回収などで従業員の協力が必要になることもあります。

    このような場合には、いったんすべての従業員を解雇した上で、一部の従業員だけアルバイトとして雇用するという扱いがなされることがあります。

    また、従業員に対する未払いの給料があった場合には、破産手続きにおいては財団債権または優先的破産債権として扱われますので、一般の債権者に優先して配当を受けることができます

    他方、会社の役員に対する報酬については、従業員の給料の場合とは異なり、一般的破産債権として扱われることになりますので、一般の債権者と同列で配当を受けることができるに過ぎません。役員報酬のみ優先的に支払ってしまうと否認権行使の対象となりますので、注意が必要です。

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4、法人破産や民事再生は弁護士へ相談を

法人破産や民事再生の申し立てを検討している方は、弁護士に相談をすることをおすすめします。

  1. (1)最適な債務整理の方法を提案してもらえる

    法人・会社の経営に行き詰まった場合には、会社の清算を目的とした破産手続きを検討する方が多いかと思います。しかし、債務整理の手続きには、清算型の破産手続き以外にも会社を存続させたまま債務整理を行う再建型の民事再生という手続きが存在しています。

    清算型と再建型のどちらが適切であるかは、経営者の希望、会社の資産状況・収支状況などを踏まえた専門的な判断が必要になってきます

    最適な債務整理の手段を選択するためにも、知見が豊富な弁護士へ早めに相談をするようにしましょう。

  2. (2)早期に相談することによって選択肢が広がる

    清算型の債務整理である破産手続きを選択するためには、裁判所に納める予納金や弁護士費用を準備する必要があります。しかし、会社の経営が行き詰まり、資産がほとんど枯渇した状態で弁護士に相談をしたとしても、破産の申し立てに必要となる予納金を準備することもできず、負債を抱えたまま会社を放置しなければならない状態になってしまうかもしれません。

    また、再建型の債務整理である民事再生を選択するためには、会社の再建に必要な人材や資産が備わっていなければならず、会社運営に必要となる機械や建物などを手放してしまった後では、再建をしたくても難しい場合があります。

    そのため、清算型と再建型の債務整理のいずれを選択するにしても、早めに弁護士に相談をすることが大切です。

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5、まとめ

法人・会社が破産するときには、代表者は、法人・会社を代表して手続きを行っていくことになります。代表者と法人・会社は、別人格ですので、法人・会社の債務が代表者に及ぶということはありませんが、連帯保証人になっている場合には、代表者も一緒に破産をしなければならないことがあります。

法人・会社の破産手続きは、個人の破産手続きに比べて複雑な手続きとなっていますので、債権者や従業員に対して迷惑をかけることなく手続きを進めていくためにも弁護士のサポートが不可欠といえます。

法人・会社の破産手続きを検討中の方は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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