企業法務コラム
脱毛サロンの広告表示には、景表法・薬機法・特定商取引法による広告規制が適用されます。違反すると罰則等の対象になるため、適切な広告審査を行いましょう。
今回は、脱毛サロンの広告を作る際に気を付けるべき法律上のポイントにつき、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
※脱毛には「医療脱毛」「美容脱毛」「セルフ脱毛」などの種類がありますが、本記事では美容脱毛に焦点を当てて解説します。
脱毛サロンの広告には、以下の法律における広告規制が適用されます。
脱毛サロンの広告担当者や、脱毛サロンから広告を依頼される制作会社の広告プランナー・コピーライターの方は、これらの法律における広告規制を正しく理解しておきましょう。
なお、脱毛サロンとして医療機関ではない事業体の広告を行う以上、施術の内容が医療行為に該当してはならないのは当然の前提です。
脱毛サロンに限らず、事業者が消費者向けに行う広告には、景品表示法の広告規制が適用されます。
景品表示法において禁止されているのは、主に「優良誤認表示」と「有利誤認表示」の2つです。
自社の脱毛サービスについて事実に反して良さを誇張していたり、競合他社をおとしめたりする広告は当然として、キャンペーン期間や価格の有利さを強調しすぎたり、実証できない効果や実績を謡ってしまったりと景品表示法特有の規制の考え方もあるので注意が必要です。
これに加えて、医療脱毛を行う場合は医療法が適用され、同法を根拠法令とする詳細なガイドライン規制の対象になります。
医療機器に当たる脱毛機器に関しては、その広告について薬機法の広告規制が適用されます。
物理的に毛を抜いたり切ったりするだけの脱毛機器は、「医療機器」に当たりません。
一方、レーザー式脱毛器やフラッシュ式脱毛器のように、光の熱量を毛根部に作用させる機器などは、人の身体の構造・機能に影響を及ぼすことが目的とされるものとして、医療機器に当たる可能性があります(薬機法第2条第4項)。
薬機法では、医療機器に関する誇大広告が禁止されています。
脱毛サービスの広告では、実際には期待できない効果をうたったり、医師が効果を保証したかのような情報を記載したり、過度に性的な画像を用いたりすることはNGです。
1か月を超える期間にわたって脱毛サービスを提供することは、特定商取引法に定義される「特定継続的役務提供」に当たります(同法第41条)。
特定継続的役務提供に当たる脱毛サービスを提供する事業者には、特定商取引法に基づく広告規制が適用されます。
上記の各事項については、広告において誇大な表現が用いられていないことを特に確認しましょう。
たとえば以下のような美容脱毛広告は、各法律に基づく広告規制に違反する可能性が高いです。
施術を受けたすべての人の施術部位の毛が完全になくなることはあり得ないため、景品表示法違反(優良誤認表示)に当たります。
また、1か月を超えて提供される脱毛サービスについての広告である場合は、特定商取引法違反にも該当します。
誰でも即時解約可能で、料金を全額返金するなら問題ありませんが、解約や返金に条件が付されている場合は、景品表示法違反(有利誤認表示)に当たります。
また、1か月を超えて提供される脱毛サービスについての広告である場合は、特定商取引法違反にも該当します。
医師が効果を保証したものと誤解されるおそれがある美容脱毛広告は、薬機法違反に該当します。
SNSや動画サイトにおいても、上記のような表現で美容脱毛の広告をした場合は、景品表示法・薬機法・特定商取引法の違反に当たる可能性があります。
これらの媒体は気軽に投稿できるのが特徴ですが、美容脱毛広告については、掲示広告やテレビ向け広告などと同等の社内審査を行うべきです。
美容脱毛広告が広告規制に違反した場合、該当する法律に基づきペナルティーを受ける可能性があります。
景品表示法違反(優良誤認表示・有利誤認表示)に当たる美容脱毛広告を行った場合、消費者庁による措置命令や課徴金納付命令を受ける可能性があります。
薬機法違反に当たる美容脱毛広告を行った場合、厚生労働大臣または都道府県知事による措置命令、および刑事罰の対象となります。
特定商取引法違反に当たる美容脱毛広告を行った場合、主務大臣による行政処分の対象となるほか、利用者から契約を解除される可能性があります。
違反広告によるペナルティーを受けないためには、実際に行う美容脱毛広告について、事前に慎重な広告審査を行うことが重要です。
しかし、適切に広告審査を行うためには法的な専門知識が必要であり、脱毛サロンの役員・従業員だけで対応することは困難なケースが多いでしょう。
そのため、美容脱毛広告の審査は弁護士へのご依頼をおすすめします。
弁護士に広告審査を依頼することには、脱毛サロンや広告制作会社にとって、それぞれ以下のメリットがあります。
美容脱毛広告の審査について万全を期したいときは、弁護士にご相談ください。
広告は集客を拡大する上で重要なツールですが、あまりに攻めた表現をすると広告規制違反となるリスクが生じます。
特に脱毛サロン(全身脱毛サロン・ヒゲ脱毛サロン・メンズ脱毛サロンなど)や美容サロン・エステティックサロンなどでは、景品表示法に加えて薬機法や特定商取引法も問題になり得るので、いっそう慎重に広告審査を行わなければなりません。
広告審査を適切に行うため、また今後のビジネスを安定的に展開するためにも、顧問弁護士へのご依頼がおすすめです。
ベリーベスト法律事務所では、クライアント企業のニーズに応じてご利用いただける顧問弁護士サービスをご提供しております。
広告表現に関する審査や、その他の企業法務に関するご相談は、ベリーベスト法律事務所にお任せください。
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