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2023年08月21日
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脱毛サロンの広告担当・制作会社必見! 違法広告にならない表現とは

脱毛サロンの広告担当・制作会社必見! 違法広告にならない表現とは

脱毛サロンの広告表示には、景表法・薬機法・特定商取引法による広告規制が適用されます。違反すると罰則等の対象になるため、適切な広告審査を行いましょう。

今回は、脱毛サロンの広告を作る際に気を付けるべき法律上のポイントにつき、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

※脱毛には「医療脱毛」「美容脱毛」「セルフ脱毛」などの種類がありますが、本記事では美容脱毛に焦点を当てて解説します。

1、脱毛サロンの広告を作成する際に気を付けるべき法律

脱毛サロンの広告には、以下の法律における広告規制が適用されます。

脱毛サロンの広告担当者や、脱毛サロンから広告を依頼される制作会社の広告プランナー・コピーライターの方は、これらの法律における広告規制を正しく理解しておきましょう

なお、脱毛サロンとして医療機関ではない事業体の広告を行う以上、施術の内容が医療行為に該当してはならないのは当然の前提です。

  1. (1)景品表示法

    脱毛サロンに限らず、事業者が消費者向けに行う広告には、景品表示法の広告規制が適用されます。

    不当な表示の禁止(景品表示法第5条)
    事業者は、自己の供給する商品または役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
    • 1 商品または役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、または事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
    • 2 商品または役務の価格その他の取引条件について、実際のものまたは当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

    景品表示法において禁止されているのは、主に「優良誤認表示」と「有利誤認表示」の2つです。

    • 優良誤認表示
      商品やサービスの品質・規格等の内容に関する不当表示(同条第1号)
    • 有利誤認表示
      商品やサービスの価格等の取引条件に関する不当表示(同条第2号)

    自社の脱毛サービスについて事実に反して良さを誇張していたり、競合他社をおとしめたりする広告は当然として、キャンペーン期間や価格の有利さを強調しすぎたり、実証できない効果や実績を謡ってしまったりと景品表示法特有の規制の考え方もあるので注意が必要です

    これに加えて、医療脱毛を行う場合は医療法が適用され、同法を根拠法令とする詳細なガイドライン規制の対象になります。

  2. (2)薬機法

    医療機器に当たる脱毛機器に関しては、その広告について薬機法の広告規制が適用されます。

    物理的に毛を抜いたり切ったりするだけの脱毛機器は、「医療機器」に当たりません。
    一方、レーザー式脱毛器やフラッシュ式脱毛器のように、光の熱量を毛根部に作用させる機器などは、人の身体の構造・機能に影響を及ぼすことが目的とされるものとして、医療機器に当たる可能性があります(薬機法第2条第4項)。

    薬機法では、医療機器に関する誇大広告が禁止されています。

    誇大広告等(薬機法第66条)
    • 1 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器または再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果または性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽または誇大な記事を広告し、記述し、または流布してはならない。
    • 2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器または再生医療等製品の効能、効果または性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、または流布することは、前項に該当するものとする。
    • 3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器または再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、またはわいせつにわたる文書または図画を用いてはならない。

    脱毛サービスの広告では、実際には期待できない効果をうたったり、医師が効果を保証したかのような情報を記載したり、過度に性的な画像を用いたりすることはNGです

  3. (3)特定商取引法

    1か月を超える期間にわたって脱毛サービスを提供することは、特定商取引法に定義される「特定継続的役務提供」に当たります(同法第41条)。

    特定継続的役務提供に当たる脱毛サービスを提供する事業者には、特定商取引法に基づく広告規制が適用されます。

    誇大広告等の禁止(特定商取引法第43条)
    役務提供事業者または販売業者は、特定継続的役務提供をする場合の特定継続的役務の提供条件または特定継続的役務の提供を受ける権利の販売条件について広告をするときは、当該特定継続的役務の内容または効果その他の主務省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、または実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。
    誇大広告等の禁止(特定商取引法施行規則第103条)
    第103条 法第43条の主務省令で定める事項は、次のとおりとする。
    • 1 役務または権利の種類または内容
    • 2 役務の効果または目的
    • 3 役務若しくは権利、役務提供事業者若しくは販売業者または役務提供事業者若しくは販売業者の行う事業についての国、地方公共団体、著名な法人その他の団体または著名な個人の関与
    • 4 役務の対価または権利の販売価格
    • 5 役務の対価または権利の代金の支払の時期及び方法
    • 6 役務の提供期間
    • 7 特定継続的役務提供等契約の解除に関する事項(法第48条第1項から第7項まで及び第49条第1項から第6項までの規定に関する事項を含む。)
    • 8 役務提供事業者または販売業者の氏名または名称、住所及び電話番号
    • 9 第4号に定める金銭以外の特定継続的役務提供受領者等の負担すべき金銭があるときは、その名目及びその額

    上記の各事項については、広告において誇大な表現が用いられていないことを特に確認しましょう。

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2、法律違反となる美容脱毛広告の具体例

たとえば以下のような美容脱毛広告は、各法律に基づく広告規制に違反する可能性が高いです。

  • 誰でも必ず完全脱毛!

施術を受けたすべての人の施術部位の毛が完全になくなることはあり得ないため、景品表示法違反(優良誤認表示)に当たります。
また、1か月を超えて提供される脱毛サービスについての広告である場合は、特定商取引法違反にも該当します。

  • 効果がなければ即時解約可能、完全返金!

誰でも即時解約可能で、料金を全額返金するなら問題ありませんが、解約や返金に条件が付されている場合は、景品表示法違反(有利誤認表示)に当たります。

また、1か月を超えて提供される脱毛サービスについての広告である場合は、特定商取引法違反にも該当します。

  • 皮膚科医が効果を保証! レーザー美容脱毛

医師が効果を保証したものと誤解されるおそれがある美容脱毛広告は、薬機法違反に該当します。
SNSや動画サイトにおいても、上記のような表現で美容脱毛の広告をした場合は、景品表示法・薬機法・特定商取引法の違反に当たる可能性があります。

これらの媒体は気軽に投稿できるのが特徴ですが、美容脱毛広告については、掲示広告やテレビ向け広告などと同等の社内審査を行うべきです。

3、美容脱毛広告に法律違反があった場合のペナルティー

美容脱毛広告が広告規制に違反した場合、該当する法律に基づきペナルティーを受ける可能性があります。

  1. (1)景品表示法違反のペナルティー

    景品表示法違反(優良誤認表示・有利誤認表示)に当たる美容脱毛広告を行った場合、消費者庁による措置命令や課徴金納付命令を受ける可能性があります。

    • ① 措置命令(同法第7条)
      違反広告の差し止めや再発防止措置が命じられます。
    • ② 課徴金納付命令(同法第8条)
      違反広告を掲出していた期間等に得た売り上げの3%に当たる課徴金の国庫納付が命じられます。
  2. (2)薬機法違反のペナルティー

    薬機法違反に当たる美容脱毛広告を行った場合、厚生労働大臣または都道府県知事による措置命令、および刑事罰の対象となります。

    • ① 措置命令(同法第72条の5)
      違反広告の差し止めや再発防止措置が命じられます。
    • ② 課徴金納付命令(同法第75条の5の2)
      違反広告を掲出していた期間等に得た売り上げの4.5%に当たる課徴金の国庫納付が命じられます。
    • ③ 刑事罰(同法第85条第4号)
      2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が科され、または併科されます。
  3. (3)特定商取引法違反のペナルティー

    特定商取引法違反に当たる美容脱毛広告を行った場合、主務大臣による行政処分の対象となるほか、利用者から契約を解除される可能性があります。

    • ① 主務大臣による行政処分(同法第47条、第47条の2)
      脱毛サロンに対する業務停止処分や、役員等に対する業務禁止処分が行われます。
    • ② 利用者による契約の解除(同法第48条)
      誇大広告と併せて、脱毛サロンが利用者に対して不実告知などをした場合には、8日間のクーリングオフ期間が進行せず、利用者はいつでもペナルティーなしで利用契約を解除できます。

4、美容脱毛広告の表現に関するご相談は顧問弁護士へ

違反広告によるペナルティーを受けないためには、実際に行う美容脱毛広告について、事前に慎重な広告審査を行うことが重要です。

しかし、適切に広告審査を行うためには法的な専門知識が必要であり、脱毛サロンの役員・従業員だけで対応することは困難なケースが多いでしょう。
そのため、美容脱毛広告の審査は弁護士へのご依頼をおすすめします

弁護士に広告審査を依頼することには、脱毛サロンや広告制作会社にとって、それぞれ以下のメリットがあります

  1. (1)脱毛サロンにとってのメリット

    • 安心して広告を出すことができる
    • 広告関連で顧客とのトラブルが起こった場合、弁護士に代理人としての対応を依頼できる
    • 広告以外のトラブル(例:従業員の不祥事や労働トラブルなど)が起こった場合でも、解決に向けて弁護士のサポートを受けられる
  2. (2)美容脱毛広告を制作する広告制作会社の場合

    • 広告表現のクオリティーの高さをアピールし、他の制作会社と差別化できる
    • 脱毛サロンに対して、安心して広告を提案できる
    • 広告表現の修正工数を削減できる
    • 広告以外のトラブル(例:従業員の不祥事や労働トラブルなど)が起こった場合でも、解決に向けて弁護士のサポートを受けられる

    美容脱毛広告の審査について万全を期したいときは、弁護士にご相談ください。

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5、まとめ

広告は集客を拡大する上で重要なツールですが、あまりに攻めた表現をすると広告規制違反となるリスクが生じます

特に脱毛サロン(全身脱毛サロン・ヒゲ脱毛サロン・メンズ脱毛サロンなど)や美容サロン・エステティックサロンなどでは、景品表示法に加えて薬機法や特定商取引法も問題になり得るので、いっそう慎重に広告審査を行わなければなりません。

広告審査を適切に行うため、また今後のビジネスを安定的に展開するためにも、顧問弁護士へのご依頼がおすすめです

ベリーベスト法律事務所では、クライアント企業のニーズに応じてご利用いただける顧問弁護士サービスをご提供しております。
広告表現に関する審査や、その他の企業法務に関するご相談は、ベリーベスト法律事務所にお任せください。

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