企業法務コラム
不渡りとは、会社が発行した手形や小切手が決済できないことを意味します。
不渡りには3種類があり、会社の信用に大きく関わるものは「1号不渡り」と呼ばれます。1号不渡りを起こしてしまうと、会社の信用に大きな悪影響が生じ、倒産に追い込まれてしまうおそれがあるので要注意です。
今回は不渡りの概要・種類や、不渡りが会社に与える影響、法人破産の手続きなどをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
「不渡り」とは、会社が振り出した手形や小切手が支払われないことをいいます。
不渡りには、以下の3種類があります。
単に「不渡り」という場合は、1号不渡りを指すのが通常です。本記事でも、これ以降は1号不渡りを単に「不渡り」と表記します。
不渡りが発生すると、会社の信用は大いに悪化し、最悪の場合倒産に追い込まれてしまいます。
不渡りが発生した場合、手形交換所規則に基づく「不渡り処分」が行われ、加盟金融機関に対して不渡りの旨が通知されます。
手形交換所にはほとんどすべての金融機関が加盟しているので、不渡りの事実は実質的に全金融機関の知るところとなります。
一度でも不渡りを起こした会社に対しては、金融機関は融資審査を厳格化するのが通常です。そのため、従来であれば借りられていた運転資金が借りられなくなったり、借入条件(利息など)が大幅に悪化したりする可能性が高いでしょう。
6か月以内に二度の不渡りが発生すると、「銀行取引停止処分」を受けます。
銀行取引停止処分を受けると、その後2年間、金融機関との当座預金取引(取引先への支払いの決済など)ができなくなるほか、融資も受けられなくなります。
手形取引や小切手取引を行う企業は、資金繰りのために金融機関からの融資を必要とするケースが大半です。そのため、銀行取引停止処分を受けて融資がストップすると、事業の継続は困難となり、事実上の倒産状態に陥ってしまいます。
また上場企業の場合は、銀行取引停止処分によって上場廃止事由に該当し、整理銘柄としての指定を経て上場廃止となります。
不渡りを防ぐためには、余裕を持った資金繰りを行うことがもっとも大切です。
また、万が一不渡り寸前に陥ってしまった場合には、急場しのぎの応急処置を講じることも考えられます。不渡りは会社にとって致命的ですので、あらゆる手段を用いて回避を試みましょう。
不渡りが発生してしまうのは、会社のキャッシュフローが赤字であり、運転資金が底をついてしまうためです。
不渡りを回避するためには、余裕を持った資金繰りを徹底する必要があります。
会社の収入と支出の見込みを立てた上で、好ましくない状況が続いた場合でも、運転資金が尽きないようにすることが大切です。
もし過剰な支出超過に陥っている場合には、固定費の削減によって支出の抑制を図りましょう。
運転資金が間もなく底をつく不渡り寸前の状態に陥った場合には、以下の応急処置を行うことが考えられます。
上記の応急処置を講じれば、直ちに不渡りを起こす事態は回避できるでしょう。ただし、いずれも短期的な資金繰りを改善する方法に過ぎず、中長期的には資金繰りが悪化します。
収入の増加や支出の削減など、根本的な改善がなされない限り、将来的な不渡りは回避できません。中長期的に事業を継続させる視点から、早急に資金繰りの改善へ取り組みましょう。
実際に不渡手形が発生してしまうと、融資を受けることが困難になり、事業継続は困難になってしまう可能性が高いです。そうなってしまったら、法人破産を検討しましょう。
法人破産は、会社の財産を処分して債権者へ配当した後、法人格を消滅させる手続きです。
支払いきれなかった会社の債務は、全額が免除されます。株式会社または合同会社であれば、経営者保証をしているケースなどを除いて、取締役や社員が会社の債務を支払う必要はありません。
法人破産が完了すれば、会社の債務をリセットした上で、新たに事業を起こして再出発することもできます。早い段階で弁護士にご相談いただき、法人破産を迅速に進めた上で、再起の機会を窺いましょう。
法人破産の手続きの流れは、大まかに以下のとおりです。
法人破産の手続きは、個人による自己破産よりも遥かに大規模かつ複雑です。
経営者としては、法人破産の対応に追われるのではなく、生活の立て直しや、新たな事業による再起などに注力すべきでしょう。そのためには、信頼できる弁護士に法人破産の対応を依頼することをおすすめします。
弁護士にご依頼いただければ、法人破産の準備や対応を全面的に代行いたします。支払不能や債務超過の状態をリセットし、依頼者が早期に再起を図れるように、弁護士が親身になってサポートいたします。
手形や小切手の不渡りを起こすなど、厳しい経営状況に追い込まれてしまった場合には、お早めに弁護士までご相談ください。
手形や小切手の不渡りが発生すると、会社としての事業継続は困難になってしまいます。そのため、余裕を持った資金繰りを徹底し、何としても不渡りを回避すべきです。
万が一不渡りが発生し、事業継続が困難となった場合には、弁護士にご相談の上で法人破産を検討しましょう。
ベリーベスト法律事務所は、法人破産に関するご相談を随時受け付けております。手形の不渡りを発生させてしまった場合には、お早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。
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