企業法務コラム
医薬品と医薬部外品は薬機法で区別されており、直接の容器等の記載事項・陳列方法・封の要否などが異なります。
企業が薬機法違反をすると、いくつかのリスクを負うことになるため、薬機法の理解を深めることは重要です。マニュアルの整備や従業員研修などを適切に行って、薬機法に従い医薬品と医薬部外品を正しく取り扱いましょう。
本記事では、医薬部外品と医薬品の違いや、薬機法違反のリスクと予防策などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
「医薬部外品」と「医薬品」はどのようなものを指しているのか、それぞれ薬機法で定義されています。
「医薬品」とは、以下のいずれかに該当するものをいいます(薬機法第2条第1項)。
医薬部外品とは、下記①から③のいずれかに該当する物のうち、人体に対する作用が緩和なものをいいます(薬機法第2条第2項)。
上記のうち、②に当たるものを「防除用医薬部外品」、③のうち薬機法第59条第7号の規定に基づいて厚生労働大臣が指定するものを「指定医薬部外品」といいます。
なお、化粧品として販売されている商品であっても、上記のいずれかに該当するものは、薬機法上は「医薬部外品」に当たります。医薬部外品に該当する化粧品は、「薬用化粧品」と呼ばれることが多いです。
医薬品と医薬部外品では、薬機法に基づく規制の内容が異なる点に注意が必要です。具体的には、直接の容器等に記載すべき情報や、陳列方法・封の要否などに違いがあります。
医薬品の直接の容器または直接の被包には、以下の事項を記載しなければなりません(薬機法第50条、薬機法施行規則第209条の2、第209条の3、第210条)。
医薬部外品の直接の容器または直接の被包には、以下の事項を記載しなければなりません(薬機法第59条、薬機法施行規則第219条の2、第220条)。
医薬品は、他の物と区別して貯蔵・陳列しなければなりません(薬機法第57条の2第1項)。
要指導医薬品および一般用医薬品(専ら動物用のものを除く)については、陳列に関する特別のルールが設けられています(同条第2項)。
一般用医薬品については、第一類医薬品・第二類医薬品・第三類医薬品の区分ごとに陳列する必要があります(同条第3項)。
さらに、医薬品の製造販売時には、原則として医薬品を納めた容器または被包に封を施さなければなりません(薬機法第58条)。
これに対して医薬部外品については、医薬品とは異なり、上記の陳列方法や封の要否に関するルールは適用されません。
薬機法違反を犯した企業は、行政処分や刑事罰のリスクを負うことになります。企業においては、薬機法違反を防ぐための適切な予防策を講じましょう。
薬機法ではさまざまな規制が設けられていますが、よく見られる事業者の違反行為としては、以下の例が挙げられます。
自社の行為が上記に当てはまるかもしれないと不安がある場合や、実際に指摘を受けているケースは、弁護士へのご相談をおすすめします。
薬機法に違反する医薬品等を販売している企業は、厚生労働大臣または都道府県知事から廃棄・回収等の命令を受けることがあります(薬機法第70条)。
違反内容が悪質な場合には、業務停止命令や製造および販売許可・登録の取り消しを受けることもあり得るため、要注意です(薬機法第72条、第75条、第75条の2)。
広告規制に違反した企業は、厚生労働大臣の課徴金納付命令を受けるおそれがあります(薬機法第75条の5の2)。課徴金額は原則として、違反期間における売り上げの4.5%です。なお、自ら違反を報告することにより課徴金を減免する制度も存在するため(リニエンシー)、違反に気づいたら、弁護士に協議の上、迅速かつ誠実に対応することも重要です。
また、薬機法違反に当たる行為の多くは刑事罰の対象とされており(薬機法第83条の6以下)、行為者に加えて企業も両罰規定により処罰されることがあります。
薬機法違反を犯さないようにするためには、医薬品等を取り扱う担当者の教育を徹底することが重要です。業務マニュアルの整備や従業員研修などを通じて、薬機法に関する理解を深めるように努めるのがよいでしょう。
さらに、自社が取り扱う商品が医薬品等に当たるかどうかをチェックし、適用される規制を正しく把握することが大切です。弁護士のアドバイスを受けながら、薬機法の規制を漏れなく遵守するようにしてください。
薬機法の遵守を徹底したい企業は、弁護士へのご相談をおすすめします。
弁護士は薬機法の遵守に関して、主に以下のサポートを行っています。
薬機法に関するコンプライアンスを強化したい企業は、クライアント企業のニーズに応じて対応できる、企業法務に詳しい弁護士にご相談ください。
医薬部外品と医薬品では、直接の容器等の記載事項・陳列方法・封の要否など、薬機法に基づく規制の内容が異なります。自社が取り扱う商品の区分を正しく把握して、薬機法の規制の遵守に努めましょう。
ベリーベスト法律事務所は、薬機法に関するご相談を随時受け付けております。医薬品等を取り扱うに当たり、適用される規制や注意点などをアドバイスし、クライアント企業のコンプライアンス強化をサポートいたします。
自社が取り扱う医薬品等の取り扱いについてわからないことがある際は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。企業法務に詳しい弁護士が、真摯に対応いたします。
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