企業法務コラム

2024年01月11日
  • 医薬品
  • 医薬部外品
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医薬品と医薬部外品の違いは? 薬機法上の定義や注意点について解説

医薬品と医薬部外品の違いは? 薬機法上の定義や注意点について解説

医薬品と医薬部外品は薬機法で区別されており、直接の容器等の記載事項・陳列方法・封の要否などが異なります。

企業が薬機法違反をすると、いくつかのリスクを負うことになるため、薬機法の理解を深めることは重要です。マニュアルの整備や従業員研修などを適切に行って、薬機法に従い医薬品と医薬部外品を正しく取り扱いましょう。

本記事では、医薬部外品と医薬品の違いや、薬機法違反のリスクと予防策などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、医薬品・医薬部外品とは

「医薬部外品」と「医薬品」はどのようなものを指しているのか、それぞれ薬機法で定義されています。

  1. (1)医薬品とは

    「医薬品」とは、以下のいずれかに該当するものをいいます(薬機法第2条第1項)。

    ① 日本薬局方に収められている物
    参考:「日本薬局方」ホームページ (厚生労働省)

    ② 人または動物の疾病の診断・治療・予防を使用目的とする物で、機械器具等でないもの

    ③ 人または動物の身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされている物で、機械器具等でないもの
    ※機械器具等:機械器具・歯科材料・医療用品・衛生用品・プログラム・プログラムを記録した記録媒体
  2. (2)医薬部外品とは

    医薬部外品とは、下記①から③のいずれかに該当する物のうち、人体に対する作用が緩和なものをいいます(薬機法第2条第2項)。

    ① 以下、いずれかの目的のために使用される物で、機械器具等でないもの
    • 吐き気その他の不快感、口臭、体臭の防止
    • あせも、ただれ等の防止
    • 脱毛の防止、育毛、除毛
    ※③ 記載の使用目的を併有するものを除く

    ② 人または動物の保健のためにする、ねずみ・はえ・蚊その他これらに類する生物の防除目的で使用されるもので、機械器具等でないもの
    ※③ 記載の使用目的を併有するものを除く

    ③ 以下、いずれかの目的のために使用される物のうち、厚生労働大臣が指定するもの
    • 人または動物の疾病の診断、治療、予防
    • 人または動物の身体の構造、機能に影響を及ぼすこと

    上記のうち、②に当たるものを「防除用医薬部外品」、③のうち薬機法第59条第7号の規定に基づいて厚生労働大臣が指定するものを「指定医薬部外品」といいます。

    なお、化粧品として販売されている商品であっても、上記のいずれかに該当するものは、薬機法上は「医薬部外品」に当たります。医薬部外品に該当する化粧品は、「薬用化粧品」と呼ばれることが多いです。

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2、医薬品と医薬部外品の違い①|直接の容器等の記載事項

医薬品と医薬部外品では、薬機法に基づく規制の内容が異なる点に注意が必要です。具体的には、直接の容器等に記載すべき情報や、陳列方法・封の要否などに違いがあります。

  1. (1)医薬品の直接の容器等の記載事項

    医薬品の直接の容器または直接の被包には、以下の事項を記載しなければなりません(薬機法第50条、薬機法施行規則第209条の2、第209条の3、第210条)。

    • ① 製造販売業者の氏名・名称および住所
    • ② 名称(日本薬局方に収められている医薬品は日本薬局方において定められた名称、その他の医薬品で一般的名称があるものは、その一般的名称)
    • ③ 製造番号または製造記号
    • ④ 重量・容量・個数等の内容量
    • ⑤ 日本薬局方に収められている医薬品は、「日本薬局方」の文字および日本薬局方において直接の容器または直接の被包に記載するように定められた事項
    • ⑥ 要指導医薬品は、「要指導医薬品」の文字
    • ⑦ 一般用医薬品は、区分に応じて「第1類医薬品」「第2類医薬品」「第3類医薬品」の文字
    • ⑧ 厚生労働大臣によって基準が定められた体外診断用医薬品は、その基準において直接の容器または直接の被包に記載するように定められた事項
    • ⑨ 厚生労働大臣によって保健衛生上特別の注意を要するものとして基準が定められた医薬品は、貯法、有効期間その他その基準において直接の容器または直接の被包に記載するように定められた事項
    • ⑩ 日本薬局方に収められていない医薬品は、その有効成分の名称(一般的名称があるものは、その一般的名称)・分量(有効成分が不明のものは、その本質・製造方法の要旨)
    • ⑪ 習慣性があるものとして厚生労働大臣の指定する医薬品は、「注意―習慣性あり」の文字
    • ⑫ 処方箋を受けた者以外への販売を制限する医薬品として指定されたものについては、「注意―医師等の処方箋により使用すること」の文字
    • ⑬ 厚生労働大臣が指定する医薬品は、「注意―人体に使用しないこと」の文字
    • ⑭ 厚生労働大臣の指定する医薬品は、その使用の期限
    • ⑮ 上記のほか、薬機法施行規則第210条で定める事項
  2. (2)医薬部外品の直接の容器等の記載事項

    医薬部外品の直接の容器または直接の被包には、以下の事項を記載しなければなりません(薬機法第59条、薬機法施行規則第219条の2、第220条)。

    • ① 製造販売業者の氏名・名称および住所
    • ② 「医薬部外品」の文字
    • ③ 防除用医薬部外品は「防除用医薬部外品」の文字、指定医薬部外品は「指定医薬部外品」の文字
    • ④ 名称(一般的名称があるものは、その一般的名称)
    • ⑤ 製造番号または製造記号
    • ⑥ 重量・容量・個数等の内容量
    • ⑦ 指定医薬部外品は、有効成分の名称(一般的名称があるものは、その一般的名称)・分量
    • ⑧ 厚生労働大臣の指定する成分を含有する医薬部外品は、その成分の名称
    • ⑨ 防除用医薬部外品のうち厚生労働大臣が指定するものは、「注意―人体に使用しないこと」の文字
    • ⑩ 厚生労働大臣の指定する医薬部外品は、その使用の期限
    • ⑪ 厚生労働大臣によって保健衛生上の危害を防止するために必要があるものとして基準が定められた医薬部外品は、その基準において直接の容器または直接の被包に記載するように定められた事項
    • ⑫ 外国製造医薬品等特例承認取得者の氏名・住所地の国名、選任外国製造医薬品等製造販売業者の氏名・住所

3、医薬部外品と医薬品の違い②|陳列方法・封の要否

医薬品は、他の物と区別して貯蔵・陳列しなければなりません(薬機法第57条の2第1項)。
要指導医薬品および一般用医薬品(専ら動物用のものを除く)については、陳列に関する特別のルールが設けられています(同条第2項)。

一般用医薬品については、第一類医薬品・第二類医薬品・第三類医薬品の区分ごとに陳列する必要があります(同条第3項)。

さらに、医薬品の製造販売時には、原則として医薬品を納めた容器または被包に封を施さなければなりません(薬機法第58条)。

これに対して医薬部外品については、医薬品とは異なり、上記の陳列方法や封の要否に関するルールは適用されません。

4、薬機法違反のリスクと予防策

薬機法違反を犯した企業は、行政処分や刑事罰のリスクを負うことになります。企業においては、薬機法違反を防ぐための適切な予防策を講じましょう。

  1. (1)薬機法違反に当たる主な行為

    薬機法ではさまざまな規制が設けられていますが、よく見られる事業者の違反行為としては、以下の例が挙げられます

    • 無許可営業、無登録営業
    • 広告規制違反(虚偽または誇大な広告など)
    • 薬機法に違反する医薬品等の販売
    など

    自社の行為が上記に当てはまるかもしれないと不安がある場合や、実際に指摘を受けているケースは、弁護士へのご相談をおすすめします。

  2. (2)薬機法違反を犯した企業が負うリスク

    薬機法に違反する医薬品等を販売している企業は、厚生労働大臣または都道府県知事から廃棄・回収等の命令を受けることがあります(薬機法第70条)。
    違反内容が悪質な場合には、業務停止命令や製造および販売許可・登録の取り消しを受けることもあり得るため、要注意です(薬機法第72条、第75条、第75条の2)。

    広告規制に違反した企業は、厚生労働大臣の課徴金納付命令を受けるおそれがあります(薬機法第75条の5の2)。課徴金額は原則として、違反期間における売り上げの4.5%です。なお、自ら違反を報告することにより課徴金を減免する制度も存在するため(リニエンシー)、違反に気づいたら、弁護士に協議の上、迅速かつ誠実に対応することも重要です。

    また、薬機法違反に当たる行為の多くは刑事罰の対象とされており(薬機法第83条の6以下)、行為者に加えて企業も両罰規定により処罰されることがあります。

  3. (3)薬機法違反の予防策

    薬機法違反を犯さないようにするためには、医薬品等を取り扱う担当者の教育を徹底することが重要です。業務マニュアルの整備や従業員研修などを通じて、薬機法に関する理解を深めるように努めるのがよいでしょう。

    さらに、自社が取り扱う商品が医薬品等に当たるかどうかをチェックし、適用される規制を正しく把握することが大切です。弁護士のアドバイスを受けながら、薬機法の規制を漏れなく遵守するようにしてください。

5、薬機法の遵守について弁護士ができること

薬機法の遵守を徹底したい企業は、弁護士へのご相談をおすすめします。
弁護士は薬機法の遵守に関して、主に以下のサポートを行っています。

  • パッケージ表記や広告表現のリーガルチェック(法的視点での確認)
  • 薬機法の遵守を目的とした、社内体制の整備に関するアドバイス
  • 薬機法に関する社内研修・解説セミナーの講師
など

薬機法に関するコンプライアンスを強化したい企業は、クライアント企業のニーズに応じて対応できる、企業法務に詳しい弁護士にご相談ください。

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6、まとめ

医薬部外品と医薬品では、直接の容器等の記載事項・陳列方法・封の要否など、薬機法に基づく規制の内容が異なります。自社が取り扱う商品の区分を正しく把握して、薬機法の規制の遵守に努めましょう。

ベリーベスト法律事務所は、薬機法に関するご相談を随時受け付けております。医薬品等を取り扱うに当たり、適用される規制や注意点などをアドバイスし、クライアント企業のコンプライアンス強化をサポートいたします。

自社が取り扱う医薬品等の取り扱いについてわからないことがある際は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。企業法務に詳しい弁護士が、真摯に対応いたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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