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2024年01月18日
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会社が倒産すると経営者も自己破産? 法人破産の流れやポイントを解説

会社が倒産すると経営者も自己破産? 法人破産の流れやポイントを解説

会社の経営状態が悪化して、改善の見込みがない場合には、法人破産を検討する必要があります。

法人破産をする際、会社の債務に関しては、原則、代表者は責任を問われません。しかし、代表者が法人の債務について「連帯保証人」になっている場合は、借金返済の責任が生じるため注意が必要です。この場合、代表者は法人破産と並行して代表者個人の自己破産も進めていかなければなりません。

今回は、法人破産の手続きの流れと代表者の自己破産の必要性などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、会社の破産(法人破産)と代表の破産との関係について

会社が破産した場合、会社の代表者も自己破産をする必要があるのでしょうか。以下では、代表者による法人債務の連帯保証の有無に分けて説明します。

  1. (1)代表者が法人債務の連帯保証人ではない場合

    法人破産とは、債務超過や支払不能に陥った会社について、裁判所が選任した破産管財人の管理のもと、財産の処分や債権者への配当などを行い、会社を清算する手続きです。法人破産により、最終的には会社の法人格は消滅し、会社の債務もそれにより消滅することになります。

    会社が破産した場合には、代表者も責任をとって破産をしなければならないと考える方も多いですが、実際にはそうではありません。会社と代表者とは、法律上は別人格として扱われますので、代表者だからといって会社の債務を当然負担しなければならないわけではありません。

    そのため、代表者が法人の連帯保証人になっていない場合には、代表者個人が自己破産をする必要はありません

  2. (2)代表者が法人債務の連帯保証人になっている場合

    法人の債務に関して、原則として代表者は無関係ですが、例外もあります。それは、代表者が法人債務の連帯保証人になっている場合です。

    連帯保証人とは、主債務者が借金の返済ができなくなった場合に主債務者に代わって借金の返済をしなければならない人のことをいいます。代表者が法人債務の連帯保証人になっている場合には、法人破産により法人が消滅したとしても法人の債務を肩代わりして返済をしていかなければなりません。

    代表者個人の財産で法人債務の弁済ができればよいですが、法人の債務は個人で返済できるような金額でないことがほとんどです。そのため、代表者が法人債務の連帯保証人になっている場合には、代表者も一緒に自己破産の手続きを行わなければなりません

2、法人破産・自己破産の手続きの流れ

法人破産および代表者の自己破産は、どのような流れで行われるのでしょうか。以下では、法人破産と代表者個人の自己破産に分けて、それぞれの手続きの流れを説明します。

  1. (1)法人破産の手続きの流れ

    法人破産の手続きは、以下のような流れで進んでいきます。

    ① 弁護士との相談
    会社の経営状態が悪化して、改善の見込みがない場合には、まずは弁護士に相談しましょう。
    弁護士は債務整理の専門家ですので、法人を清算する法人破産や法人の再建を行う民事再生などの方法から最適な方法を提案してもらうことができます。

    ② 破産手続開始の申立て
    法人破産を選択する場合には、破産申立てに向けて準備を進めていきます。申立て前に必要になる準備としては、以下のものが挙げられます。

    • 取締役会の開催および決議
    • 事業および支払いの停止
    • 従業員の解雇
    • 賃貸物件の明け渡し
    • 在庫商品などの保管、管理

    法人破産の申立て準備が整ったら、裁判所に必要書類を提出し、破産手続開始の申立てを行います。その際には、裁判所に予納金の支払いが必要となります。

    ③ 債務者審尋
    債務者審尋とは、破産手続開始要件を満たしているかどうかの審査のために行われる面談です。法人代表者は、裁判所に出向いて、破産申立てを行うに至った経緯などについて裁判官に説明をしなければなりません。

    ④ 破産手続開始決定・破産管財人の選任
    裁判所は、法人に破産手続開始原因があると認めるときは、破産手続開始決定をします。そして、破産手続開始決定と同時に、破産管財人の選任を行います。

    破産管財人は、破産手続きにおいて、財産の管理および処分をする権限を有する人のことをいい、弁護士の中から選任されます。破産管財人は、主に以下のような業務を行います。

    • 破産者の財産の換価、処分
    • 破産債権の認否
    • 債権者への配当
    • 裁判所および破産債権者への報告

    ⑤ 債権者集会の開催
    債権者集会とは、破産者が破産に至った経緯、財産の換価状況、今後の方針などを債権者に報告するために行われる集会です。債権者集会には、法人の代表者も出席して、債権者からの質問などへの対応が必要です。
    なお、債権者集会は、破産手続きが終了するまでの間、3か月に1回の頻度で開催されます。

    ⑥ 配当
    債権者からの債権届出をもとに法人の負債額を確定します。そして、破産管財人は、法人の財産を換価処分して得た破産財団から各債権者への配当を行います。

    ⑦ 破産手続の終了
    債権者への配当が終了すると破産手続きは終結となります。また、そもそも配当すべき財産が存在しない場合には、破産手続の廃止により破産手続きは終了します。
    そして、破産手続きの終了により、法人格が消滅して、債務もなくなります。

  2. (2)代表者個人の自己破産の手続きの流れ

    代表者個人も自己破産をする場合には、法人破産と同一の手続きで進められていきます。そのため、基本的な手続きの流れは、上記で説明した法人破産の手続きの流れと同じです。

    • ① 弁護士との相談
    • ② 破産手続開始の申立て
    • ③ 債務者審尋
    • ④ 破産手続開始決定・破産管財人の選任
    • ⑤ 債権者集会
    • ⑥ 配当
    • ⑦ 破産手続の終了
    • ⑧ 免責審尋
    • ⑨ 免責許可決定

    ただし、代表者個人の自己破産の手続きでは、⑧⑨の「免責」に関する手続きがある点が法人破産と異なります。免責とは、債務を支払う責任を免除してもらう手続きです。

    法人破産では、法人の消滅と同時に債務も消滅しますが、個人の自己破産では、裁判所による免責決定により借金が消滅することになります。

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3、自己破産後に再び会社を設立することはできるのか?

経営状態の悪化により、やむを得ず法人破産および代表者個人の自己破産を選択することになった場合、再度会社を設立して事業を行いたいという希望を有している経営者の方も少なくありません。自己破産後に再び会社を設立することはできるのでしょうか。

旧商法の規定には、破産手続開始決定を受けて復権していない人については、取締役の欠格事由になっていましたので、自己破産をしてしまうと取締役になることができませんでした。しかし、法改正により旧商法の規定は削除されましたので、現行法では、過去に自己破産をしたことがある人であっても取締役になることができますので、再び会社を設立することは可能です。

会社の経営者には、経営能力や人脈などがありますので、一度失敗したからといって諦めるのではなく、会社経営に対する熱意が残っているのであれば再度経営にチャレンジしてみるとよいでしょう。

4、法人破産・経営者の自己破産に関するご相談は弁護士へ

会社の経営状態が悪化し、法人破産を検討中の代表者の方は、まずは弁護士にご相談ください。

  1. (1)最適な手段をアドバイスしてもらえる

    会社の経営状態が悪化した場合には、法人破産を検討する経営者の方も多いですが、会社を清算する法人破産以外にも会社の再建を行う民事再生という手続きもあります。また、代表者が法人債務の連帯保証人になっている場合には、代表者個人の自己破産も検討する必要があります。

    最適な手段を選択するには、法務や債務問題の解決実績がある法律家のアドバイスが不可欠です。実績と知見のある弁護士に相談をすれば会社および経営者にとって最適な手段を提案してもらうことが可能です。

  2. (2)法人破産に関する複雑な手続きをすべて任せることができる

    法人破産をすることになった場合には、取締役会の開催および決議、事業および支払いの停止、従業員の解雇、賃貸物件の明け渡し、在庫商品などの保管・管理など複雑な手続きを進めていかなければなりません。これらの手続きでミスが生じてしまうと関係者に不安や混乱を生じさせてしまいますので、迅速かつ適切に進めていくことが求められます。

    弁護士に法人破産を依頼すれば、法人破産に関連するこれらの手続きについてもサポートを受けることができますので、大きな混乱なく破産手続きを進めていくことができるでしょう。

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5、まとめ

会社の経営が厳しい状況になった場合には、法人破産を考えることになります。また、代表者が法人債務の連帯保証人になっている場合には、法人破産と並行して代表者個人の自己破産を進めていく必要があります。どのような手続きが必要になるかは、具体的な状況によって異なってきますので、まずは弁護士に相談するのがおすすめです。

法人破産を検討中の代表者の方は、まずはベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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