企業法務コラム

2023年12月21日
  • みなし解散
  • 休眠会社
  • 登記手続き
  • 弁護士

みなし解散とは? 事業を継続できる? 制度や手続きについて詳しく解説

みなし解散とは? 事業を継続できる? 制度や手続きについて詳しく解説

12年間以上登記を怠っている会社は、「みなし解散」の対象となります。

長期にわたり登記をしないということは、活動を行っていない休眠会社とみなされて会社の信頼が損なわれるだけでなく、犯罪の温床となるリスクがあると考えられるからです。そのため、みなし解散の処理を進める休眠会社の整理作業が2014年以降毎年実施されています。

みなし解散を避けるためには、会社に関する事項の変更について、適時に変更登記手続きを行いましょう。今回は会社の「みなし解散」について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、みなし解散とは

「みなし解散」とは、登記記録が12年間以上変更されていない会社が、公告手続きを経て解散したものとみなされることをいいます。

  1. (1)みなし解散制度の目的

    活動していない休眠会社を放置することには、以下の問題点があります。

    • ① 実態を失った会社がいつまでも登記上公示されることにより、登記の信頼が失われる
    • ② 休眠会社が売買されるなどして、犯罪の手段とされかねない

    そこで会社法第472条では、12年間以上登記がなされていない会社につき、公告手続きを経て解散したものとみなす「休眠会社のみなし解散」を定めています。

    なお株式会社に加えて、最後の登記から5年を経過している一般社団法人と一般財団法人もみなし解散の対象です。

    参考:「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について」(法務省)

  2. (2)みなし解散の対象となる会社

    みなし解散の対象となるのは、最後の登記から12年を経過している株式会社です(有限会社を含みます。会社法第472条)。

    株式会社の取締役等の任期は最長10年とされているため(会社法第332条第2項)、少なくとも10年程度に1回は変更登記をする必要があります。それにもかかわらず、12年以上登記を行っていない会社は、実体がない可能性が高いため、みなし解散の対象とされています。

    これに対して、持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)にはみなし解散制度がありません。持分会社の社員には任期がなく、長期間にわたって登記が行われていないとしても、実体がないとは限らないためです。

  3. (3)みなし解散の流れ

    株式会社のみなし解散は、以下の流れで行われます。

    ① 法務大臣による官報公告
    最後の登記から12年が経過している株式会社(=休眠会社)に対して、本店の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届け出をすべき旨が官報公告されます。

    ② 登記所による通知
    休眠会社の登記がある登記所から、休眠会社に対して、①の官報公告がなされた旨の通知書が届きます(会社法第472条第2項)。

    ③ みなし解散
    ①の官報公告から2か月が経過すると、休眠会社は解散したものとみなされます。

2、みなし解散の予告通知が届いた場合の対処法・注意点

経営する会社についてみなし解散の予告通知が届いた場合は、以下の各点に十分留意した上でご対応ください。


  1. (1)みなし解散の期限を確認する

    休眠会社がみなし解散となるのは、官報公告から2か月後です。

    期限経過後も一定期間は会社を継続できますが、登記手続きなどの手間が増えてしまいます。みなし解散の期限に間に合うように、会社を継続するか否かを判断しましょう。

  2. (2)会社を閉鎖する場合は、清算手続きが必要となる

    みなし解散の予告を受けた会社を継続するには、最新の事項を反映する登記手続きが必要です。

    これに対して、みなし解散によって会社を清算する場合でも、放置すれば勝手に会社が消滅するわけではなく、清算手続きを行う必要がある点に注意が必要です。清算手続きの流れについては、後述します。

  3. (3)登記を怠ったことについて、過料の制裁を受ける可能性がある

    会社法の規定に従った登記を怠った場合、「100万円以下の過料」に処される可能性があります(会社法第976条第1号)。

    みなし解散の予告通知を受けた会社については、会社法上の登記義務違反が生じていると考えられます。実際に過料の制裁が課されるか否かは未知数ですが、その可能性があることは覚悟しておきましょう。

法人破産・民事再生の弁護士相談
何度でも相談無料
電話でのお問い合わせ
平日 9:30~21:00/土日祝 10:00〜18:30
0120-170-316
平日 9:30~21:00/土日祝 10:00〜18:30
法人破産・民事再生専門チームのご紹介

3、みなし解散を予告された会社を継続したい場合の手続き

みなし解散を予告された会社を継続したい場合、官報公告がなされてから経過した期間によって、必要な手続きが異なります。

  1. (1)公告日から2か月以内の場合の継続手続き

    官報公告がなされてから2か月以内であれば、法務局で最新の事項を登記することにより、みなし解散を回避できます(会社法第472条第1項但し書き)。登記申請は、法務局の登記官に対して申請書などを提出して行います。

    取締役の重任登記を行うのが一般的ですが、そのほかにも従来の登記から変更された事項があれば、変更登記手続きを行いましょう。

  2. (2)公告日から2か月経過後、3年以内の継続手続き

    官報公告がなされてから2か月が経過すると、会社は解散したものとみなされてしまいます。

    ただし、みなし解散から3年以内であれば、株主総会決議によって会社を継続することが可能です(会社法第473条)。この場合、以下の手続きが必要になります。

    ① 清算人の就任・登記
    みなし解散によっていったん「清算株式会社」となるため、清算人を選任した上で登記する必要があります(会社法第477条、第478条、第928条第1項)。

    ② 会社継続の株主総会決議
    会社を継続することについて、株主総会の特別決議を経る必要があります(会社法第473条、第309条第2項第11号)。

    ③ 取締役等の再選任
    みなし解散によって取締役等の役員は全員退任するため、改めて選任しなければなりません。
  3. (3)みなし解散から3年経過後の場合は継続不可

    みなし解散(官報公告後2か月経過)からさらに3年が経過すると、株主総会決議による会社継続はできなくなります。

    休眠会社を継続したい場合には、遅くともみなし解散から3年以内に継続の手続きを完了しましょう

4、みなし解散後、会社を清算する場合の手続き

株式会社がみなし解散となった後、休眠会社を清算する場合には、以下の清算手続きを経る必要があります。

① 清算人の就任
清算手続きを行う者として、清算人が就任した上で、その旨を登記します(会社法第477条、第478条、第928条第1項)。
清算人となるのは原則として取締役ですが、定款や株主総会決議で別段の定めがあれば、その定めに従います(会社法第478条第1項)。
清算人となる者がいない場合は、利害関係人の申し立てによって裁判所が清算人を選任します(同条第2項)。

② 財産目録・貸借対照表等の作成
清算人は就任後遅滞なく、清算株式会社の財産目録と貸借対照表を作成します(会社法第492条第1項)。作成された財産目録と貸借対照表は、株式会社に提出または提供した上で、その承認を受けなければなりません(同条第3項)。

③ 清算人による現務の結了
清算人が、取引先との契約の解約や従業員の解雇など、現務の結了を行います(会社法第481条第1号)。

④ 債権の取り立て・債務の弁済
清算人が、清算株式会社の債権の取り立ておよび債務の弁済を行います(会社法第481条第2号)。
債権の取り立ては適宜の方法によって行いますが、債務の弁済については、債権申出の公告および債権者への個別催告を行う必要があります(会社法第499条第1項)。

⑤ 残余財産の分配
最終的に残った清算株式会社の残余財産につき、清算人が株主に対する分配を行います(会社法第481条第3号)。残余財産の割り当てに関する事項は、原則として清算人の決定に従います(会社法第504条第1項)。

⑥ 決算報告の作成・株主総会による承認
清算事務の終了後、清算株式会社は決算報告を作成し、株主総会の承認を受ける必要があります(会社法第507条第1項、第3項)。

⑦ 清算結了登記
株主総会による決算報告の承認日から2週間以内に、本店所在地において清算結了登記を行います(会社法第929条)。

⑧ 帳簿資料の保存
清算人は、清算結了登記の時から10年間、清算株式会社の帳簿および事業・清算に関する重要な資料を保存しなければなりません(会社法第508条第1項)。
ただし、利害関係人の申し立てにより、裁判所が清算人に代わって帳簿資料を保存する者を選任する場合もあります(同条第2項)。

5、みなし解散を避けるには、適時の変更登記手続きが重要

会社がみなし解散となった場合、会社を継続するには煩雑な手続きを要するほか、登記手続きを怠ったことについて過料の制裁を課されるおそれもあります。

みなし解散を避けるためには、会社の登記事項が変更された際、速やかに変更登記手続きを行うことが大切です。変更登記の期限は、変更事由が生じた時から2週間以内とされているため(会社法第915条第1項)、期限に間に合うように手続きを行いましょう。

法人破産・民事再生の弁護士相談
何度でも相談無料
電話でのお問い合わせ
平日 9:30~21:00/土日祝 10:00〜18:30
0120-170-316
平日 9:30~21:00/土日祝 10:00〜18:30
法人破産・民事再生専門チームのご紹介

6、まとめ

株式会社のみなし解散を避けるためには、適宜に変更登記手続きを行うことが大切です。また、もしみなし解散の予告を受けてしまったら、速やかに方針を決定して手続きを行いましょう。

ベリーベスト法律事務所は、みなし解散に関する対応についてご相談を受け付けております。みなし解散の予告通知を受けた企業は、速やかにベリーベスト法律事務所へご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
ご希望の顧問契約・企業法務に関するご相談について伺います。お気軽にお問い合わせください。
お電話でのお問い合わせ
0120-170-316
営業時間 平日 9:30~21:00
土日祝 10:00〜18:30

同じカテゴリのコラム

テレビCM放送中

お問い合わせ・資料請求

PAGE TOP