企業法務コラム

2023年12月12日
  • 業務委託契約書
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個人事業主と締結する業務委託契約書の記載事項・注意点は?

個人事業主と締結する業務委託契約書の記載事項・注意点は?

個人事業主と業務委託契約を締結する場合は、業務内容や報酬、知的財産権の帰属等を明確にした契約書を作成しましょう。また、偽装請負や下請法違反に当たらないように注意が必要です。

弁護士のサポートを受ければ、内容・形式ともに整った業務委託契約書を作成でき、安心してフリーランス(個人事業主)と協力体制が築けるでしょう。

本記事では、個人事業主と締結する業務委託契約書の記載事項や注意点などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、業務委託契約の法的性質と契約書の必要性

業務委託契約は、その内容によって請負契約委任契約(準委任契約)に分類されます。雇用とは異なり、受託者は委託者の指揮命令に服さず、自らの裁量で業務を行います。

業務委託契約を締結する際には、その内容を明確化して契約トラブルの予防・解決に役立てるため、必ず契約書を作成しましょう。

  1. (1)業務委託の形態|請負・委任(準委任)

    業務委託契約は、「請負」と「委任(または準委任)」に大別されます。どちらに該当するかによって、適用される民法の規定が異なります。

    請負と委任(準委任)は、委託業務の目的によって以下のとおり区別されます。

    ① 請負
    委託業務が仕事の完成を目的としている場合、業務委託契約は請負に該当します。

    たとえば、受託者が何らかの成果物を制作し、委託者に対して納品する業務委託契約は請負です。

    ② 委任(準委任)
    委託業務が仕事の完成を目的とせず、業務の遂行自体を目的としている場合、業務委託契約は委任または準委任に該当します。法律行為の遂行を目的としている場合は委任、法律行為ではない事実行為の遂行を目的としている場合は準委任です。

    たとえば、受託者が委託者のオフィスに常駐し、委託者の従業員と協力してサービスの保守などを行う業務委託契約は準委任に当たります。
  2. (2)業務委託と雇用の違い

    業務委託契約と同じく、当事者の一方が他方のために業務を行う契約として「雇用契約」があります。業務委託と雇用の違いは、当事者間における指揮命令関係の有無です。

    業務委託は、請負と委任(準委任)のいずれに当たる場合でも、受託者は委託者の指揮命令に服さず、自らの裁量で業務を行います

    これに対して雇用は、労働者が使用者の指揮命令に服して労働するのが大きな特徴です。

    業務委託と雇用では、労働基準法などの労働法が適用されるか否かが異なります。業務委託に労働法は適用されませんが、雇用には労働法が適用されます。

  3. (3)トラブル予防・解決の観点から業務委託契約書を作成すべき

    業務委託契約を締結する際には、契約書の作成が法律上義務付けられているわけではありません。

    しかし契約書には、契約内容を明確化し、トラブル発生時の解決基準を示す役割があります。業務委託契約書を締結すれば、委託者・受託者間において契約内容を巡るトラブルを予防し、さらに万が一トラブルが発生した際にも、スムーズな解決を図ることができます。

    契約トラブルを予防・解決する観点から、業務委託契約を締結する場合は、必ず契約書を作成しておきましょう

2、業務委託契約書に記載すべき主な事項

個人事業主と締結する業務委託契約書には、主に以下の事項を記載します。取引の内容に応じて、条項の内容を適切に調整しましょう。


  1. (1)委託する業務の内容

    委託の対象となる業務の内容は、明確に特定して記載しましょう。具体的には、以下の要素を記載します。

    • ① 業務の内容
    • ② 業務の提供方法
    • ③ 業務の範囲

    (例)
    • 1. 委託者は受託者のために、以下の業務を行う。
      ……(業務の内容と提供方法を記載)
    • 2. 前項の業務に、以下の業務は含まれないものとする。
      ……(業務の範囲から除外される内容を記載)
  2. (2)報酬の金額・支払方法

    業務委託報酬について、以下の内容を定めましょう。

    • ① 報酬の金額・計算方法
    • ② 報酬の支払時期
    • ③ 報酬の支払方法
    など

    (例)
    委託者は受託者に対し、○○の納品1つ当たり△万円を、納品日が属する月の翌月末日までに、受託者が別途指定する銀行口座に振り込む方法により支払う。
  3. (3)経費の取り扱い

    受託者が業務を遂行する過程で発生する経費につき、誰が負担するかを明確化しておきましょう。

    (例)
    ① パターンA
    受託者が本業務を遂行する過程で発生する経費は、受託者の負担とする。

    ② パターンB
    受託者が本業務を遂行する過程で発生する経費は、委託者の負担とする。委託者は、受託者から当該経費(合理的に必要なものに限る)に関する証憑(しょうひょう・証拠となる書類)の提出を受けた場合には、受託者に対し、当該経費相当額を、当該提出が行われた日が属する月の翌月末日までに、受託者が別途指定する銀行口座に振り込む方法により支払う。
  4. (4)知的財産権の帰属

    受託者が業務によって生じた成果物等につき、知的財産権が誰に帰属するかを明確化しておきましょう。

    個人事業主から成果物の納品を受ける場合には、知的財産権は委託者側である会社に帰属すると定めるのが望ましいです

    (例)
    • 1. 本業務に関連して発生した知的財産権(著作権法第27条および第28条に規定される権利を含む)は、すべて委託者に帰属する。
    • 2. 受託者は、本業務に関連して発生した著作物について、著作者人格権を行使しないものとする。
  5. (5)再委託の可否

    受託者が第三者に対して業務を再委託できるかどうかについても、業務委託契約書に明記しましょう。

    (例)
    受託者は、委託者の許可を得ない限り、本業務を第三者に再委託してはならない。
  6. (6)裁判管轄

    業務委託契約書に裁判管轄(専属的合意管轄)を定めておけば、契約トラブルに関する訴訟の提起先をあらかじめ決めることができます。会社の本店所在地を管轄する裁判所を専属的合意管轄裁判所にすれば、アクセスの観点から便利です。

    (例)
    本契約について当事者間で紛争が生じたときは、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
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3、業務委託契約書に関する注意点

個人事業主と業務委託契約書を締結する企業は、特に以下の2点に十分ご注意ください。


  1. (1)偽装請負に要注意

    前述のとおり、業務委託については労働法が適用されないのに対して、雇用には労働法が適用されるという違いがあります。

    業務委託と雇用のどちらであるかは、業務の実質から判断されます。業務委託(=指揮命令関係がない)の名目であっても、実質が雇用(=指揮命令関係がある)の場合は、雇用と評価されて労働法の適用を受けることになります

    業務委託を装いながら、実質は雇用であるものを「偽装請負」といいます。偽装請負に関与した企業は、労働法に従ったペナルティーを受けたり多額の残業代を請求されるおそれがあるので十分ご注意ください。

  2. (2)下請法違反に要注意

    資本金が1000万円を超える企業は、個人事業主との取引について「親事業者」として下請法の適用を受けます

    下請法に基づき、親事業者は下請事業者に対して以下の行為をしてはなりません。

    • 下請事業者の責に帰すべき事由がない納品物の受領拒否
    • 下請代金の支払遅延
    • 下請事業者の責に帰すべき事由がない下請代金の減額
    • 下請事業者の責に帰すべき事由がない納品物の返品
    • 買いたたき
    • 正当な理由のない自社製品等の購入および利用の強制
    • 公正取引委員会等への報告を理由とする不利益な取り扱い
    • 原材料等費用の前倒し控除
    • 支払期日までに割引困難な手形の交付
    • 不当な経済上の利益の提供の要請
    • 不当に給付内容を変更し、または給付をやり直させること

    下請法違反に当たる行為をした親事業者は、公正取引委員会による是正勧告や刑事罰の対象となる可能性があります。下請法の内容を正しく理解した上で、違反を犯さないようにしましょう。

4、業務委託契約書の作成に関するご相談は弁護士へ

個人事業主と締結する業務委託契約書の作成を含めて、契約書の作成・レビュー全般については、弁護士への相談をおすすめします

弁護士は、取引の内容について丁寧なヒアリングを行った上で、トラブルの予防・解決に役立つ契約書の作成・締結をサポートいたします。必要な事項を漏れなく盛り込むことに加えて、不利益な条項を見逃さずに修正を求め、クライアント企業を契約上のリスクから守ります。

弁護士と顧問契約を締結すれば、契約書に関していつでもスムーズにご相談いただけます。特に契約書のチェックが頻繁に発生する企業は、弁護士との顧問契約をご検討ください。

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5、まとめ

個人事業主と業務委託契約を締結する際には、トラブルの予防・解決に役立てるため、必ず契約書を作成しましょう。弁護士と顧問契約を締結すれば、業務委託契約書を含むさまざまな契約書について、作成・チェックに関するアドバイスを受けられます。

ベリーベスト法律事務所は、契約書の作成・チェックに関するご相談を随時受け付けております。取引に必要な内容を盛り込むとともに、不利益な条項を発見して修正を求め、クライアント企業を契約リスクからお守りいたします。

契約書の作成・チェックに不安がある企業や、顧問弁護士をお探しの企業は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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