企業法務コラム

2024年03月15日
  • 景品表示法
  • プレゼント
  • 金額

プレゼント(景品)の上限金額は? 景品表示法による規制を解説

プレゼント(景品)の上限金額は? 景品表示法による規制を解説

商品やサービスを販売する際に付ける景品類(プレゼント)については、景品表示法の規制が適用されます。

高額過ぎるプレゼントを付けると、景品表示法違反によって行政指導などを受けるおそれがあるのでご注意ください。

本記事では、景品表示法に基づくプレゼント金額の上限規制について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、プレゼント企画について気を付けるべき「景品表示法」とは

商品やサービスに何らかのプレゼントを付ける際には、景品表示法(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)における景品類の規制に注意する必要があります。

  1. (1)景品表示法の目的

    景品表示法は、商品やサービスについて不当な景品類や表示を防止するための規制を定めた法律です。

    一般消費者が商品やサービスを選択する際には、その品質や価格等に注目して判断するのが本来の姿です。品質や価格などによる正当な競争が行われれば、社会全体で品質やコストパフォーマンスの向上が促されます。

    しかし、高額の景品類が付けられていると、品質や価格などとは関係がない部分に注目して商品やサービスが選択されてしまいます。また、商品やサービスの品質や価格などについて、その実態に沿わない表示が行われていると、一般消費者は正しく選択を行うことができません。

    このような事態を防ぐため、景品表示法では景品類について限度額を設けるとともに、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある不当表示(優良誤認表示・有利誤認表示)を禁止しています

  2. (2)「景品類」とは

    景品表示法に基づく金額規制が適用されるのは、「景品類」に当たるものです。

    景品類とは、以下の要件をすべて満たすものをいいます(景品表示法第2条第3項、平成21年8月28日公正取引委員会告示第13号)。

    ① 顧客を誘引するための手段であること(方法を問わない)

    ② 事業者が自己の供給する商品または役務の取引に付随して、相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であること

    ③ 以下のいずれかに該当すること
    • (a)物品及び土地、建物その他の工作物
    • (b)金銭、金券、預金証書、当せん金付証票及び公社債、株券、商品券その他の有価証券
    • (c)きょう応(映画、演劇、スポーツ、旅行その他の催物等への招待または優待を含む。)
    • (d)便益、労務その他の役務

    ④ 正常な商慣習に照らして、値引きまたはアフターサービスと認められる経済上の利益に当たらないこと

    ⑤ 正常な商慣習に照らして、当該取引に係る商品または役務に付属すると認められる経済上の利益に当たらないこと

    商品やサービスに付されるプレゼントに対しては、正常な商慣習に照らしてアフターサービスや付属的な経済上の利益と認められない限り、景品類に関する金額規制が適用される点に注意が必要です。

月額3980円(税込)から契約可能
初回相談 30分無料
電話でのお問い合わせ
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く
0120-127-034
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く
顧問弁護士のサービス・費用のご案内

2、景品類の種類と上限金額

景品表示法に基づく景品類の金額規制について、その内容を詳しく解説します。

  1. (1)景品類の種類|一般懸賞・共同懸賞・総付景品

    景品類は、「一般懸賞」「共同懸賞」「総付景品」の3種類に分類されます。各種類の景品類について、それぞれ異なる金額規制が適用されます。

    ① 般懸賞
    以下のいずれかの方法によって、提供の相手方または提供する価額を決める景品類(=懸賞)のうち、共同懸賞以外のものです。
    • (a)くじその他偶然性を利用して定める方法(例:1等1000円、2等500円、3等300円……)
    • (b)特定の行為の優劣または正誤によって定める方法(例:じゃんけんで勝ったら1000円)

    ② 共同懸賞
    懸賞のうち、以下のいずれかに該当するものです。
    • (a)一定の地域における小売業者またはサービス業者の相当多数が共同して行う場合
    • (b)一の商店街に属する小売業者またはサービス業者の相当多数が共同して行う場合(中元・年末等の時期において、年3回を限度とし、かつ年間通算して70日の期間内で行う場合に限る)
    • (c)一定の地域において一定の種類の事業を行う事業者の相当多数が共同して行う場合

    ③ 総付景品
    景品類のうち、懸賞によらないで提供するものです。

    参考:「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」(消費者庁)
    参考:「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」(消費者庁)

    なお、いわゆる「カード合わせ」については、景品類の最高額や総額にかかわらず、全面的に禁止されています。
    参考:「インターネット上の取引と「カード合わせ」に関するQ&A」(消費者庁)

  2. (2)景品類の上限金額

    一般懸賞・共同懸賞・総付景品については、それぞれ以下の金額規制が適用されます。

    景品類の種類 懸賞の取引価格 個々の景品類の上限金額 景品類の総額の上限
    一般懸賞 5000円未満 取引の価額の20倍 取引の予定総額の100分の2以内
    5000円以上 10万円
    共同懸賞 取引価格にかかわらない 30万円 取引の予定総額の100分の3以内
    総付景品 1000円未満 200円
    1000円以上 取引の価額の10分の2
  3. (3)業種によっては、異なる景品類の規制が適用されることがある

    業界の実情等に鑑み、以下の業種については、通常とは異なる景品規制が適用されます。

  4. (4)オープン懸賞には上限が適用されない

    商品・サービスの購入や来店を条件とせず、郵便はがき・ファクシミリ・ウェブサイト・電子メールなどで申し込むことができる懸賞企画は、一般に「オープン懸賞」と呼ばれています。

    オープン懸賞については、景品表示法の金額規制が適用されないため、金額の上限はありません。

3、景品表示法に違反するプレゼントの例

たとえば、以下のプレゼントは景品類の金額規制に抵触します

① 一般懸賞
  • 商品(1個1000円)の購入者のうち、抽選で10名に10万円相当の旅行券をプレゼント
    →商品価格の20倍を超える一般懸賞に当たるため、違法
  • 商品(1個1万円)の購入者のうち、抽選で10名に20万円相当の旅行券をプレゼント
    →10万円を超える一般懸賞に当たるため、違法

② 共同懸賞
  • 商店街における商品(1個1000円)の購入者のうち、抽選で10名に10万円相当の旅行券をプレゼント
    →30万円を超える一般懸賞に当たるため、違法
  • 商店街において、商品(1個1万円)の購入者のうち、抽選で10名に20万円相当の旅行券をプレゼントするキャンペーンを1年中やっている
    →共同懸賞であればOKだが、「中元・年末等の時期において、年3回を限度とし、かつ年間通算して70日の期間内」の要件を満たさないため、10万円を超える一般懸賞に当たり違法

③ 総付景品
  • 商品(1個1000円)の購入者全員に500円分のクオカードをプレゼント
    →商品価格の10分の2を超える総付景品に当たるため、違法

4、景品表示法に違反した場合のペナルティ・違反事例

景品表示法に基づく景品類の金額規制に違反した事業者は、行政指導・消費者庁による措置命令・刑事罰の対象となります

① 行政指導
消費者庁や都道府県知事が、違法状態の是正を促す指導を行います。法的拘束力はありませんが、従わなければ措置命令が行われる可能性が高いです。

② 措置命令(景品表示法第7条)
消費者庁が行う行政処分で、事業者に対して違法状態の是正を命じます。事業者は措置命令に従って是正を行った上で、その経過を消費者庁に報告しなければなりません。

③ 刑事罰(景品表示法第36条1項、第38条第1項)
消費者庁の措置命令に違反した場合は、「2年以下の懲役または300万円以下の罰金」に処されます。また、法人に対しては「3億円以下の罰金」が科されます。

令和4年度(2022年度)の実績値では、景品事件に関する措置命令は0件ですが、消費者庁による行政指導は計9件行われました。
参考:「令和4年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組」(消費者庁)

また大阪府のように、景品類に関する金額規制違反について、行政指導を行って例を公表している自治体もあります。

<大阪府における行政指導事例>
  • 新聞販売店が、顧客との購読契約の締結に当たり、上限額を超える過大な景品類を提供していたため、文書指導を行った(令和4年度)。
  • 新聞販売店が、顧客との購読契約の締結に当たり、景品として1万円分のギフトカードを提供していたため、上限額を超える過大な景品類の提供として口頭指導を行った(令和3年度)。

参考:「事業者に対する指導事例」(大阪府)

5、適法なプレゼントキャンペーンを行うためには弁護士に相談を

本稿では、プレゼントキャンペーンでも特に「過大な景品類の提供」に関する内容を解説していました。これとは別に、キャンペーン期間に関する表示について、不当表示とならないよう注意すべき点も存在します

景品表示法を順守し、プレゼントキャンペーンを適切な形で実施するためには、あらかじめ弁護士に相談すると安心です。

弁護士は、景品表示法に関する規制を踏まえた上で、提供し得る景品類の内容や金額、キャンペーンの宣伝方法など全体的な広告の方法に関して、具体的にアドバイスいたします。その結果、消費者庁や都道府県知事から行政指導・行政処分を受けるリスクを防げるでしょう。

特に弁護士と顧問契約を締結すれば、景品表示法に関する疑問点や、その他の事業運営上の悩みについていつでもご相談いただけます。プレゼントキャンペーンを検討している事業者の方は、まずはお気軽にベリーベスト法律事務所までご相談ください。

月額3980円(税込)から契約可能
初回相談 30分無料
電話でのお問い合わせ
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く
0120-127-034
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く
顧問弁護士のサービス・費用のご案内

6、まとめ

プレゼントキャンペーンを企画する際には、景品表示法に基づく金額規制を順守する必要があります。弁護士に相談して、どのような景品であれば提供してよいかについてアドバイスを受けましょう。

ベリーベスト法律事務所は、景品表示法に関するご相談を随時受け付けております。月額3980円からの顧問契約サービスもご提供しており、お客さまのニーズに応じてご利用いただけます。

景品表示法に関するご相談は、お気軽にベリーベスト法律事務所へご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
ご希望の顧問契約・企業法務に関するご相談について伺います。お気軽にお問い合わせください。
お電話でのお問い合わせ
0120-127-034
営業時間 平日 9:30~18:00
土日祝除く

同じカテゴリのコラム

テレビCM放送中

お問い合わせ・資料請求

PAGE TOP