企業法務コラム

2024年03月21日
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薬機法の広告規制|化粧品広告を中心とした規制内容や罰則

薬機法の広告規制|化粧品広告を中心とした規制内容や罰則

化粧品の広告は薬機法(旧・薬事法)の規制を受けるため、使用できる表現や表示方法などに制限があります。

薬機法違反の広告を行った場合は、措置命令や課徴金納付命令、刑事罰の対象となるので注意が必要です。

本記事では薬機法の広告規制について、化粧品に関するものを中心にベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、薬機法における「広告」とは

薬機法では、医薬品等の広告に関する規制が設けられています。まずは薬機法の目的と、薬機法における「広告」の定義を確認しておきましょう。

  1. (1)薬機法の目的

    薬機法は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品(=医薬品等)について、その品質・有効性・安全性を確保し、これらの使用による保健衛生上の危害の発生や拡大を防止するために必要な規制を行うことなどを目的としています(同法第1条)。

    薬機法における広告規制も上記の観点から、医薬品等の品質・有効性・安全性について、製造・販売を行う事業者へ適正な表示を行わせるために設けられています

  2. (2)薬機法における「広告」の定義

    薬機法における「広告」とは、医薬品等に関する表示のうち、以下の3つの要件を満たすものをいいます(平成10年9月29日医薬監第148号)。

    • ① 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昴進させる)意図が明確であること(=誘引性)
    • ② 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること(=明示性)
    • ③ 一般人が認知できる状態であること(=一般性)
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2、薬機法で規制されている広告表現|化粧品広告に関する違反事例も紹介

薬機法では、医薬品等に関する誇大広告などが禁止されています。
一般に化粧品として販売されているものについては、通常の化粧品と医薬部外品(薬用化粧品)の2種類に大別され、それぞれ適用される広告規制の内容が異なる点に注意が必要です。

  1. (1)薬機法における広告規制の内容

    薬機法における広告規制の中心は、誇大広告等の禁止です

    医薬品等の名称・製造方法・効能・効果・性能に関して、明示的・暗示的を問わず虚偽または誇大な記事を広告・記述・流布することは禁止されています(薬機法第66条第1項)。
    なお、医師その他の者がこれらの事項を保証したものと誤解されるおそれがある記事の広告・記述・流布は、誇大広告等に当たるものとされています(同条第2項)。

    また、医薬品等に関しては、堕胎を暗示し、またはわいせつに当たる文書・図画を用いてはなりません(同条第3項)。

    そのほか、特定疾病用の医薬品・再生医療等製品の広告の制限(同法第67条)と、承認前の医薬品・医療機器・再生医療等製品の広告の禁止(同法第68条)が定められています。

  2. (2)通常の化粧品と医薬部外品(薬用化粧品)に関する広告規制の違い

    化粧品についても、薬機法に基づく誇大広告等の規制が適用されます。

    一般に化粧品として販売されているものは、通常の化粧品(=薬機法上の「化粧品」)と医薬部外品(薬用化粧品)の2種類に大別されます。

    通常の化粧品については、その効能・効果について、医薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」に定める範囲内に限り広告が認められています
    参考:「化粧品の効能の範囲の改正について」(厚生労働省)

    これに対して、医薬部外品である薬用化粧品については、製造販売の承認によって認められた効能・効果に関して広告を行うことができます

    なお、謡う効能効果が医薬品相当である場合、主観的には化粧品の広告のつもりでも、未承認の医薬品の広告をしたとして薬機法68条違反になる場合もあります。

  3. (3)化粧品に関する広告ガイドライン

    通常の化粧品および医薬部外品である薬用化粧品については、その広告に関して、厚生労働省が「医薬品等適正広告基準」を公表しています。また、日本化粧品工業連合会は「化粧品等の適正広告ガイドライン」を公表しています。また、化粧品公正取引協議会の会員は、同会の公正競争規約の遵守も求められます。
    事業者が化粧品の広告を行う際には、これらの基準およびガイドラインの規定を踏まえて薬機法や、業界団体のルールを遵守することが求められます

    参考:「医薬品等適正広告基準」(厚生労働省)
       「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等」(厚生労働省)
       「化粧品等の適正広告ガイドライン」(日本化粧品工業連合会)
       「公正競争規約」(化粧品公正取引協議会)

  4. (4)化粧品広告の薬機法違反事例

    「医薬品等適正広告基準」および「化粧品等の適正広告ガイドライン」に従うと、化粧品の広告において以下のような表現は不適切であるなど、薬機法違反の疑いが強いと考えられます。

    規制内容 表現例
    ① 製造方法に関する広告表現
    • 実際の製造方法と異なる表現
    • 製造方法の優秀性について、事実に反する認識を得させるおそれのある表現
    「世界最高の技術に基づく製造」
    「最先端の機械を用いた製造」
    ② 効能・効果について
    • 実際の効能、効果と異なる表現
    • 化粧品について、「化粧品等の適正広告ガイドライン」における「化粧品の効能効果の範囲」(p19~20)に記載された範囲を超える表現
    • 医薬部外品(薬用化粧品)について、薬機法に基づく承認の範囲を超える表現
    「傷ついた肌が再生します」
    「加齢をストップさせます」
    ③ 成分・原材料等について
    • 成分やその分量、本質に関する虚偽または不正確な表現
    • 原材料、形状、構造および寸法に関する虚偽または不正確な表現
    「高貴成分配合」
    「デラックス処方」
    「数種のアミノ酸配合」(何が入っているか不明な場合は不適切)
    「無添加」(何を添加していないのか不明である場合は不適切)
    ④ 保証表現
    特定の効能・効果や安全性について、それが確実である保証をするような表現
    「これさえあれば」
    「安全性は確認済み」
    「赤ちゃんにも安心」
    「○○の研究で実証済み」(一般向け広告では、臨床データや実験例等を実施することは、説明不足により誤解を与え得るため不適切)
    「この化粧品に変えたら、肌が全く荒れなくなりました(体験談)」(効能効果や安全性に関する体験談広告は、客観的裏付けになり得ず、誤解を与え得るため不適切。ただし、使用方法・使用感・香りのイメージ等に関する体験談広告は、事実に基づく使用者の感想であれば可)
    「低刺激」(客観的に立証されていない場合は不適切)
    「天然成分を使用しているので安全」
    「いくら使っても安全」
    「使用方法を問わず安全」
    「効果大」(キャッチフレーズ等の強調表現として使用するのは不適切)
    ⑤ 最大級表現
    効能効果または安全性に関する、最大級の表現またはこれに類する表現
    「比類なき安全性」
    「絶対安全」
    「効き目No.1」
    「安全性No.1」
    ⑥ 他社製品に対する誹謗広告
    品質、効能効果、安全性その他について、他社の製品を誹謗するような表現
    「他社の口紅は流行遅れのものばかりである」
    「一般の洗顔料では落としきれなかったメイクも落ちます」
    「A社の○○より優れています」
    ⑦ 医療関係者等の推薦
    効能効果に関して、医薬関係者・理容師・美容師・病院・診療所・薬局など、世人の認識に相当の影響を与える団体が指定・公認・推薦・指導・選用していることを示す表現
    「○○医師公認」
    「厚生労働省認可」
    ⑧ 不快・迷惑・不安・恐怖を与えるおそれのある広告
    広告に接した者に対し、不快・迷惑・不安・恐怖を与えるおそれのある表現
    「すでに肌が衰えているあなたへ」
    「あなたの肌が〇〇なのは○○病の前兆です」

3、化粧品広告が薬機法に違反した場合のペナルティ・罰則

薬機法に違反する化粧品広告を行った事業者は、以下のペナルティのリスクを負ってしまいます。


  1. (1)社会的信用の喪失

    近年では、企業によるコンプライアンス違反の事実が報道されると、SNS等で瞬時に拡散されてしまいます。薬機法違反の化粧品広告を行った事実も、SNS等を通じてあっという間に拡散され、企業の社会的信用が損なわれてしまうでしょう。

  2. (2)措置命令

    薬機法違反の化粧品広告を行った事業者に対して、厚生労働大臣または都道府県知事は、当該広告の中止や再発防止などに関する措置を命ずることができます(薬機法第72条の5)。

    措置命令を受けた事業者は、その内容に従って広告の差し止めなどを行わなければなりません。また、措置命令を行った際には違反内容なども公表されることから、報道の対象にもなりやすく、レピュテーションリスクとしては大きい形になります。

  3. (3)課徴金納付命令

    薬機法違反の化粧品広告を行った事業者は、厚生労働大臣から課徴金納付命令を受けるおそれがあります(薬機法第75条の5の2)。
    課徴金額は原則として、違反期間における化粧品の売上の4.5%です。

  4. (4)刑事罰

    薬機法違反の虚偽広告および誇大広告は、刑事罰の対象とされています。法定刑は「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」で、併科されることもあります(同法第85条)。
    また、役員や従業員などが広告規制違反を犯した場合は、法人にも「200万円以下の罰金」が科されます(同法第90条第2号)。

4、薬機法の広告規制に関するご相談は弁護士へ

化粧品の販売等に関して、薬機法の広告規制へどのように対応すべきかお悩みの企業は、弁護士へのご相談をおすすめします

弁護士にご相談いただければ、個別の広告が薬機法に違反しないかどうかのチェックに加えて、薬機法違反を未然に防げる社内体制の整備などについてもアドバイスいたします。適法に広告効果を狙える方策についても、一緒に考えて行きます。
また、薬機法や関係ガイドライン等は頻繁に改正が行われるところ、法改正対応についても弁護士が親身になってサポートいたします。

薬機法違反を行政機関に指摘されると、会社の事業に大きな悪影響が生じる可能性が高いです。そうなる前に、弁護士のサポートを受けながら未然の予防策を講じましょう。

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5、まとめ

化粧品等について薬機法違反の広告を行うと、措置命令・課徴金納付命令・刑事罰の対象となります。弁護士のサポートを受けながら、薬機法違反を未然に防げる広告のチェック体制を整備しましょう。

ベリーベスト法律事務所は、薬機法対応に関するご相談を随時受け付けております。化粧品等の広告の内容を検討している企業は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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