企業法務コラム
会社経営に暗雲が垂れ込み始め、「経営破綻」という言葉が頭に浮かんで不安に感じている方はいませんか。その中には、経営破綻とは何なのか、具体的に理解していないという方もいるでしょう。
経営破綻後は倒産手続きにより、会社の資産や債務を整理することになります。倒産手続きを申し立てる際には、弁護士に依頼してサポートを受けましょう。
本コラムでは、経営破綻とはどういう状態をいうのか、また経営破綻に至る要因や、経営破綻後の手続き、経営破綻の予防策などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
会社の業績が長らく低迷すると、経営破綻の状態に至ってしまうことがあります。まずは、経営破綻に関する基礎知識を確認しましょう。
経営破綻とは、会社の債務の弁済が滞ってしまい、経営が立ち行かなくなった状態です。
具体的には、支払不能または債務超過の状態に陥っているか、近い将来にそうなる可能性が高く、改善も到底見込めない状況であれば経営破綻と評価すべきでしょう。
なお、支払不能とは弁済期にある債務を一般的かつ継続的に弁済できない状態をいい、債務超過とは、会社の資産額を債務額が上回っている状態のことをいいます。
経営破綻した会社は、倒産手続きを通じて再建を図るか、または清算することになります。
会社の再建を選択する場合でも、従業員の整理解雇は避けられないケースが多いです。また、清算を選択する場合には、従業員は全員解雇となります。
倒産手続きの種類および内容については、本コラムの3章をご覧ください。
経営破綻に似た用語としては、「倒産」「破産」「廃業」などがあります。それぞれの意味および経営破綻との違いを見ていきましょう。
経営破綻に至る要因は、外部要因と内部要因の2つに大別されます。
経営破綻の外部要因としては、以下のような例が挙げられます。
経営破綻の内部要因としては、以下のような例が挙げられます。
経営破綻した会社は、倒産手続きを通じて再建を目指すか、または清算によって法人格を消滅させることになります。
経営破綻後に行うべき手続きの種類は、以下のとおりです。
それぞれ、具体的に見ていきましょう。
私的整理とは、法的手続きを利用することなく、債務者である会社と債権者の合意に基づいて債権カットなどを行うことをいいます。柔軟な形で会社の再建策を検討できる点が、私的整理の大きなメリットです。
債権者には、私的整理に応じる義務はありません。
しかし、会社を清算するよりも、債権カットなどを行った上で再建させた方が多くの債権を回収できると判断した場合、債権者は私的整理に応じることがあります。
なお、私的整理についてはガイドラインが公表されており、特に金融機関は同ガイドラインを尊重する傾向にあります。
参考:「私的整理に関するガイドライン」(一般社団法人 全国銀行協会)
私的整理に対して、法律によって定められた倒産手続きは、法的整理と呼ばれています。
法的整理は、会社を存続させた上で経営再建を目指す「再建型」の手続きと、会社を清算して法人格を消滅させる「清算型」の手続きに大別されます。
再建型の法的整理に当たるのは、民事再生と会社更生の2つです。いずれも債権者等が決議し、裁判所が認可する計画(再生計画・更生計画)に従って、債権カットなどが行われます。
会社更生は株主権や担保権の変更が認められるなど、民事再生よりも強力な手続きです。しかし、多額の費用を要することもあり、実質的に大企業専用の手続きとなっています。
清算型の法的整理に当たるのは、破産と特別清算の2つです。
破産手続きは、支払不能または債務超過に陥った会社を清算する際に幅広く用いられています。裁判所によって選任された破産管財人が、会社の資産を換価して債権者に配当した後、会社の法人格は消滅します。
特別清算は、裁判所ではなく清算人(清算事務を担う人)が主導する簡易的な手続きです。破産と同様に、手続きの終了後は会社の法人格が消滅します。
なお破産に比べると、特別清算は実務上、あまり活用されていません。
会社の経営破綻を防ぐためには、以下4点に注意した上で適切に経営を行うことが大切です。
それぞれについて、解説していきます。
会社が経営破綻に陥るのは、弁済期が到来した債務を支払えるだけのキャッシュを用意できないときです。恒常的にキャッシュフローが滞ると、支払不能となって破産を免れなくなってしまいます。
キャッシュ不足による経営破綻を回避するためには、収入と支出のバランスを分析して、キャッシュフローを安定させることが大切です。
もし支出が多すぎる場合は、経費節減を図りましょう。
取引先が経営破綻に陥って入金が滞ると、自社も連鎖的に経営破綻状態となってしまうおそれがあります。
大口の取引先の財務状況や経営状況には、特に注意を払わなければなりません。取引先の経営状態が悪化しているという情報を得た場合は、別の取引先への移行などを検討しましょう。
見込まれる収益に対して多すぎる借り入れをしてしまうと、返済負担が重くなり、経営破綻のリスクが高くなってしまいます。
返済の見込みが立たない借り入れは避け、経営のスリム化を図りましょう。
役員や従業員による不祥事が発生すると、信頼の失墜によって業績が急速に悪化し、一挙に経営破綻へ追い込まれてしまうおそれがあります。会社経営を安定的に行うためには、コンプライアンスの強化が欠かせません。
たとえば法務部門の人員を増強する、社内におけるダブルチェック体制を整備する、法令によって求められている水準を上回る自主規制を導入するなど、不祥事の予防に努めましょう。
また、顧問弁護士と契約して、法律上の疑問点について常に相談できる体制を整備することも効果的です。
経営破綻を予防するためには、キャッシュフローを安定させることや、コンプライアンスの強化などが重要です。
万が一経営破綻に陥ってしまった場合は、弁護士に依頼して倒産手続きを進めましょう。会社の状態によっては、会社を存続・再建できる可能性があります。
ベリーベスト法律事務所は、企業経営および企業倒産に関するご相談を随時受け付けております。経営破綻の予防策についてアドバイスするとともに、すでに経営破綻状態に陥っている会社については、適切に倒産手続きを進められるようにサポートいたします。
自社の経営状態について不安を抱いている、またはすでに自社が経営破綻してしまった経営者の方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。
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