介護事業を行う際には、さまざまな法律を遵守する必要があります。介護保険法や労働基準法などが、介護事業に適用される法律の代表例です。
弁護士のアドバイスを受けながら、各法律のルールに沿った形で介護事業を運営しましょう。
本記事では、介護事業を始めるに当たり知っておくべき法律について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
介護事業に適用される法律の中で、もっとも重要であるのが「介護保険法」です。介護保険法では、介護保険制度および介護事業者の許認可・行為規制などが定められています。
介護保険法で定められている代表的な内容をご紹介します。
「介護保険制度」とは、要介護者に対して必要な介護サービスを提供するための制度です。被保険者が納付する介護保険料と公費により、介護サービスの利用料金の補助が行われます。
介護保険制度に基づいて介護サービスを利用できるのは、要介護度の認定を受けた人のみです。認定には要支援1・2および要介護1~5の7段階があり、受けられる介護サービスの時間や種類が異なります。
介護事業者は、個々の利用者について要介護度を確認した上で、介護保険制度に基づいて介護サービスを提供しなければなりません。
介護保険法では、以下の介護サービス(介護事業)について指定制度を設けています。各介護事業を行おうとする者は、都道府県知事または市町村長に対する申請によって、当該介護事業の指定を受けなければなりません。
介護事業の種類 | 介護事業の内容 |
---|---|
指定居宅サービス事業者 | 在宅の利用者に対する、ケアプランに沿った居宅サービスの提供 |
指定地域密着型サービス事業者 | 利用者が住み慣れた地域で生活を続けられるようにすることを目的とした、きめ細かいケアサービスの提供 |
指定居宅介護支援事業者 | 在宅で介護を受ける利用者のためのケアプランの作成 |
指定介護予防サービス事業者 | 高齢者の健康状態の悪化を防ぎ、要介護状態に陥らないようにすることを目的とした、生活機能の維持向上や改善のためのサービスの提供 |
指定地域密着型介護予防サービス事業者 | 住み慣れた地域で生活を続けられるよう、高齢者の健康状態の悪化を防ぎ、要介護状態に陥らないようにすることを目的とした、きめ細かいケアサービスの提供 |
指定介護予防支援事業者 | 在宅で介護予防サービスを受ける利用者のためのケアプランの作成 |
介護保険法では、介護事業の種類に応じた事業者の行為規制を定めています。
たとえば指定居宅サービス事業者の場合、以下のような行為規制が定められています。これらの行為規制に違反した場合は、都道府県知事による勧告・公表・措置命令などの対象となります(同法第76条の2)。
行為規制の内容は介護事業の種類によって異なるので、自社が運営する介護事業の種類に応じた規制内容を正しく理解し、その遵守に努めなければなりません。
労働基準法は、労働条件の最低ラインを定める法律です。介護事業者は、雇用する従業員の労働条件を、労働基準法で定められた水準以上とする必要があります。
労働基準法は、すべての労働者に対して適用されます。
正社員だけなく、契約社員・パート・アルバイトなど、使用者の指揮命令下で働いている人はすべて労働者に当たり、労働基準法の規制が適用される点に注意が必要です。
労働基準法では、主に以下のルールが定められています。介護事業者は、雇用する従業員の労働条件について、これらの規制を遵守しなければなりません。
労働基準法違反を犯した場合、労働基準監督署による行政指導や刑事罰の対象になります。それだけでなく、介護事業者としての指定を取り消されてしまうこともあり得るので注意が必要です。
安定的に介護事業を運営するためには、労働基準法の遵守が欠かせません。
介護保険法と労働基準法のほかにも、介護事業には以下のような法律が適用されます。介護事業者は、弁護士のアドバイスを受けながら、各法律の遵守に努めましょう。
また、法律ではなく契約ですが、介護事業は人材の確保に苦労することが多く、人材紹介会社を利用する機会が多いです。ただ、細かい利用規約などの確認を怠った結果、法的トラブルに巻き込まれている例も見られます。
介護事業にはさまざまな法律が適用されるところ、そのすべてを遵守するためには弁護士のサポートが欠かせません。弁護士に相談すれば、介護事業の種類や実態に応じて、どのようなオペレーションをすれば法令を遵守できるかについて具体的なアドバイスを受けられます。
特に弁護士と顧問契約を締結すれば、入居者やその家族との間でトラブルになった際にも、その対応についてスムーズに相談できるので安心です。介護事業の運営や法令遵守に関しては、顧問契約の締結を含めて弁護士にご相談ください。
介護事業には、介護保険法や労働基準法をはじめとするさまざまな法律が適用されます。介護事業者は、各法律を遵守した事業運営に努めなければなりません。
介護事業者のコンプライアンスに関しては、弁護士のアドバイスを受けるのが安心です。顧問契約を締結すれば、入居者とのトラブルについてもスムーズに相談できます。
ベリーベスト法律事務所は、介護事業の運営に関するご相談を随時受け付けております。法令に沿ったオペレーションのあり方など、介護事業の適切な運営に必要な対応を親身になってアドバイスいたします。
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