企業法務コラム

2024年03月26日
  • 介護
  • 法律

介護事業を始める際に知っておくべき法律|弁護士が解説

介護事業を始める際に知っておくべき法律|弁護士が解説

介護事業を行う際には、さまざまな法律を遵守する必要があります。介護保険法や労働基準法などが、介護事業に適用される法律の代表例です。
弁護士のアドバイスを受けながら、各法律のルールに沿った形で介護事業を運営しましょう。

本記事では、介護事業を始めるに当たり知っておくべき法律について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、介護保険法|介護保険制度・許認可・行為規制を定める法律

介護事業に適用される法律の中で、もっとも重要であるのが「介護保険法」です。介護保険法では、介護保険制度および介護事業者の許認可・行為規制などが定められています。

介護保険法で定められている代表的な内容をご紹介します。

  1. (1)介護保険制度とは

    「介護保険制度」とは、要介護者に対して必要な介護サービスを提供するための制度です。被保険者が納付する介護保険料と公費により、介護サービスの利用料金の補助が行われます。

    介護保険制度に基づいて介護サービスを利用できるのは、要介護度の認定を受けた人のみです。認定には要支援1・2および要介護1~5の7段階があり、受けられる介護サービスの時間や種類が異なります。

    介護事業者は、個々の利用者について要介護度を確認した上で、介護保険制度に基づいて介護サービスを提供しなければなりません

  2. (2)介護保険法における許認可規制

    介護保険法では、以下の介護サービス(介護事業)について指定制度を設けています。各介護事業を行おうとする者は、都道府県知事または市町村長に対する申請によって、当該介護事業の指定を受けなければなりません

    介護事業の種類 介護事業の内容
    指定居宅サービス事業者 在宅の利用者に対する、ケアプランに沿った居宅サービスの提供
    指定地域密着型サービス事業者 利用者が住み慣れた地域で生活を続けられるようにすることを目的とした、きめ細かいケアサービスの提供
    指定居宅介護支援事業者 在宅で介護を受ける利用者のためのケアプランの作成
    指定介護予防サービス事業者 高齢者の健康状態の悪化を防ぎ、要介護状態に陥らないようにすることを目的とした、生活機能の維持向上や改善のためのサービスの提供
    指定地域密着型介護予防サービス事業者 住み慣れた地域で生活を続けられるよう、高齢者の健康状態の悪化を防ぎ、要介護状態に陥らないようにすることを目的とした、きめ細かいケアサービスの提供
    指定介護予防支援事業者 在宅で介護予防サービスを受ける利用者のためのケアプランの作成
  3. (3)介護保険法に基づく介護事業者の行為規制

    介護保険法では、介護事業の種類に応じた事業者の行為規制を定めています。

    たとえば指定居宅サービス事業者の場合、以下のような行為規制が定められています。これらの行為規制に違反した場合は、都道府県知事による勧告・公表・措置命令などの対象となります(同法第76条の2)。

    • 設備および運営に関する基準に従い、利用者の立場に立って、適切な指定居宅サービスを提供する努力義務(同法第73条第1項)
    • 都道府県の条例で定める数以上の従業者を有し、その他都道府県の条例でさだめる設備および運営に関する基準を遵守する義務(同法第74条第1項、第2項)
    • 要介護者の人格を尊重するとともに、介護保険法および同法に基づく命令を遵守し、要介護者のために忠実にその職務を遂行する義務(同条第6項)
    など

    行為規制の内容は介護事業の種類によって異なるので、自社が運営する介護事業の種類に応じた規制内容を正しく理解し、その遵守に努めなければなりません。

月額3980円(税込)から契約可能
初回相談 30分無料
電話でのお問い合わせ
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く
0120-127-034
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く
顧問弁護士のサービス・費用のご案内

2、労働基準法|労働条件の最低ラインを定める法律

労働基準法は、労働条件の最低ラインを定める法律です。介護事業者は、雇用する従業員の労働条件を、労働基準法で定められた水準以上とする必要があります

  1. (1)労働基準法はすべての労働者に適用される

    労働基準法は、すべての労働者に対して適用されます。
    正社員だけなく、契約社員・パート・アルバイトなど、使用者の指揮命令下で働いている人はすべて労働者に当たり、労働基準法の規制が適用される点に注意が必要です。

  2. (2)労働基準法による主な規制内容

    労働基準法では、主に以下のルールが定められています。介護事業者は、雇用する従業員の労働条件について、これらの規制を遵守しなければなりません。

    ① 労働条件の明示(同法第15条第1項)
    労働者を雇い入れる際には、労働条件を明示しなければなりません。重要な労働条件については、原則として書面による明示が義務付けられています。

    ② 賃金(同法第24条)
    賃金(給与)は原則として円通貨で、労働者本人に対して支払わなければなりません。
    法令または労使協定に定めがある場合を除き、賃金の一部を控除することは許されず、全額を支払う必要があります。
    また、賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません。

    ③ 労働時間(同法第32条など)
    労働時間の上限は原則として、1日当たり8時間以内・1週間当たり40時間以内です(=法定労働時間)。

    ただし、労使協定等によって特殊な労働時間制が認められることもあります。
    (例)変形労働時間制、フレックスタイム制、事業場外みなし労働時間制、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制、高度プロフェッショナル制度

    ④ 休憩(同法第34条)
    ・労働時間が6時間を超える場合は45分以上
    ・労働時間が8時間を超える場合は1時間以上
    の休憩を与えなければなりません。また、休憩時間は、労働者の自由に利用させる必要があります。

    ⑤ 休日(同法第35条)
    毎週1回以上、または4週間に4日以上の休日(=法定休日)を与えなければなりません。

    ⑥ 時間外労働等(同法第36条、第37条)
    法定労働時間を超えて労働者を働かせる場合(=時間外労働)、または法定休日に労働者を働かせる場合(=休日労働)には、労使協定(36協定)を締結した上でそのルールに従う必要があります。
    また、時間外労働・休日労働・深夜労働(午後10時から午前5時までに行われる労働)に対しては、一定割合以上の割増賃金を支払わなければなりません。

    ⑦ 年次有給休暇(同法第39条)
    継続勤務期間などに応じて、年次有給休暇を付与する必要があります。年次有給休暇は原則として、労働者が希望する時季に与えなければなりません。
  3. (3)労働基準法違反を犯すと、介護事業者としての指定を取り消されることも

    労働基準法違反を犯した場合、労働基準監督署による行政指導や刑事罰の対象になります。それだけでなく、介護事業者としての指定を取り消されてしまうこともあり得るので注意が必要です

    安定的に介護事業を運営するためには、労働基準法の遵守が欠かせません。

3、介護事業に適用されるその他の法律

介護保険法と労働基準法のほかにも、介護事業には以下のような法律が適用されます。介護事業者は、弁護士のアドバイスを受けながら、各法律の遵守に努めましょう。

① 介護施設に適用される法律
(a)建築基準法
介護施設の建物の建築方法などについて適用されます。
(b)消防法
介護施設の防火・消防について適用されます。

② 運営会社に適用される法律
(c)会社法
介護事業の運営会社に対する出資や、その組織・意思決定の方法などについて適用されます。

③ 介護事業に適用されるその他の法律
(d)個人情報保護法
入居者などの個人情報(個人データ)は、個人情報保護法の規定に従って取り扱わなければなりません。
(e)高齢者虐待防止法
介護事業者は高齢者虐待防止法に基づき、65歳以上の高齢入居者に対して、介護サービス従事者などによる虐待が行われないように必要な措置を講ずる義務を負います。
(f)刑法
介護サービス従事者が入居者に対して虐待を行った場合や、過失によって入居者を死亡させた場合などには、刑法上の犯罪(暴行罪、傷害罪、業務上過失致死傷罪など)に問われる可能性があります。

また、法律ではなく契約ですが、介護事業は人材の確保に苦労することが多く、人材紹介会社を利用する機会が多いです。ただ、細かい利用規約などの確認を怠った結果、法的トラブルに巻き込まれている例も見られます。

4、介護事業に関するご相談は弁護士へ

介護事業にはさまざまな法律が適用されるところ、そのすべてを遵守するためには弁護士のサポートが欠かせません。弁護士に相談すれば、介護事業の種類や実態に応じて、どのようなオペレーションをすれば法令を遵守できるかについて具体的なアドバイスを受けられます。

特に弁護士と顧問契約を締結すれば、入居者やその家族との間でトラブルになった際にも、その対応についてスムーズに相談できるので安心です。介護事業の運営や法令遵守に関しては、顧問契約の締結を含めて弁護士にご相談ください。

月額3980円(税込)から契約可能
初回相談 30分無料
電話でのお問い合わせ
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く
0120-127-034
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く
顧問弁護士のサービス・費用のご案内

5、まとめ

介護事業には、介護保険法や労働基準法をはじめとするさまざまな法律が適用されます。介護事業者は、各法律を遵守した事業運営に努めなければなりません。

介護事業者のコンプライアンスに関しては、弁護士のアドバイスを受けるのが安心です。顧問契約を締結すれば、入居者とのトラブルについてもスムーズに相談できます。

ベリーベスト法律事務所は、介護事業の運営に関するご相談を随時受け付けております。法令に沿ったオペレーションのあり方など、介護事業の適切な運営に必要な対応を親身になってアドバイスいたします。

お客さまのニーズに応じて柔軟にご利用いただける顧問契約プランもございますので、法令対応にお悩みの介護事業者は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
ご希望の顧問契約・企業法務に関するご相談について伺います。お気軽にお問い合わせください。
お電話でのお問い合わせ
0120-127-034
営業時間 平日 9:30~18:00
土日祝除く

同じカテゴリのコラム

テレビCM放送中

お問い合わせ・資料請求

PAGE TOP