企業法務コラム
風評リスクとは、企業に対するマイナスの評判や評価が広がることにより生じる経営リスクのことです。この「風評リスク」のことを「レピュテーションリスク」と呼ぶこともあります。
近年、企業を評価する価値が多様化してきたこともあり、風評リスクへの対策が注目されています。企業の悪いうわさ、社員の不祥事、情報漏洩により風評リスクが現実化すると、ブランド価値の低下や企業経営への損害などにより企業に重大なダメージが生じてしまいます。このような風評リスクを防止し、トラブルに対処するためにも弁護士のサポートが不可欠といえるでしょう。
今回は、風評リスクの予防およびトラブル対応として弁護士ができる7つのことを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
企業が対策しなければならない、風評リスクの代表的なものとして、以下の4つが挙げられます。
消費者が企業の商品やサービスを利用する際には、インターネット上の口コミサイトなどを利用するケースが多いです。そのため、口コミサイトにどのような書き込みがされているのかは、商品やサービスの売れ行きを左右するほど重要なものといえるでしょう。
万が一、口コミサイトで根拠のない誹謗中傷や悪意のある口コミが書き込まれてしまうと、その内容を誤解した消費者による買い控えなどで風評リスクが顕在化することがあります。
風評リスクは、社内の従業員によって引き起こされることもあります。その代表的なものが内部告発です。
従業員により、産地偽装、建築基準法違反などの法令違反を内部告発されてしまうと、会社の信用や企業価値は大きく失墜してしまいます。
社員による不祥事が公になれば、その社員を雇用している企業にも風評リスクが生じてしまいます。
近年、「バイトテロ」と呼ばれる、従業員による悪ふざけや不適切な言動が問題となっています。安易な気持ちでSNSなどに投稿した結果、あっという間に情報が拡散し、炎上してしまいます。また、社員による横領等の犯罪及びその報道も風評リスクが生じる原因となります。
個人情報の保護が叫ばれる現代において、企業の情報漏洩は、重大な風評リスクを引き起こす原因となります。
情報漏洩の原因には、不正アクセス、退職者による資料や顧客情報の持ち出しなどさまざまなものが考えられます。情報漏洩の結果、社会的信用やブランドイメージの低下を招き、被害者への補償など多大な被害が生じる可能性もあります。
企業の風評リスクは、弁護士に依頼することで予防が可能です。弁護士ができる風評リスクの予防法務には、以下のものがあります。
従業員による不祥事による風評リスクを防止するには、従業員へのコンプライアンス研修が有効な手段でしょう。
定期的なコンプライアンス研修を実施し、風評リスクが生じる原因やトラブルが生じた場合のリスクなどを周知することで、従業員のコンプライアンスへの意識を高めることができます。弁護士であれば、企業の規模や業種に応じて最適なコンプライアンス研修の実施が可能です。
企業内で内部通報制度を確立し、適切に運用することにより、法令違反、パワハラ・セクハラ、コンプライアンス違反などさまざまな風評リスクの発生を未然に防ぐことができます。従業員から内部通報窓口に寄せられた相談や報告をリスクごとに分類し、調査・対応することで、風評リスクが顕在化する前に対応することができるでしょう。
弁護士に依頼することで、企業内の内部通報制度の整備や内部通報窓口として弁護士を指定することが可能です。
従業員との労働トラブルも風評リスクの原因となります。弁護士に依頼することで、未払いの残業代、不当解雇などの労働トラブルが生じないよう雇用関係のチェックを行ってもらうことができます。
また、取引先とのトラブルを防止するには、契約書などのリーガルチェックも有効な手段です。契約に潜むリスクを適切に管理するためには、専門家である弁護士のアドバイスが不可欠といえるでしょう。
情報漏洩のリスクを減らすためには、企業情報管理に関するガイドラインを作成することが重要です。ガイドラインに従って情報管理を行うことで、情報漏洩のリスクを大幅に減らすことができますし、ガイドラインを作成し、適切に運用していれば、万が一、風評リスクが生じたとしても被害を最小限に抑えることができます。
個人情報保護法などの法令を踏まえたガイドラインを作成するためには、法律の専門家である弁護士のサポートが不可欠となります。
実際に風評被害が発生してしまったとしても、弁護士であれば以下のような対応によって、被害を最小限とすることができます。
インターネット上で企業に対する誹謗中傷や悪意のある書き込みがされると、あっという間に情報が拡散してしまい、取り返しのつかない損害が生じることがあります。このような被害を最小限に抑えるためには、速やかに情報の削除請求をすることが重要です。
削除請求とは、情報を書き込んだ本人、サイト管理者等に対して、情報の削除を請求することをいい、以下のような方法によって行うことができます。
投稿者やサイト管理者への削除要求であれば、企業の担当者でも対応できますが、相手が要求に応じて削除に応じてくれるとは限りません。任意で削除に応じてくれない場合には、裁判手続を利用する必要がありますので、誹謗中傷の書き込みを発見した場合には、早めに弁護士に相談するのがおすすめです。
風評リスクにより企業に損害が生じているのであれば、風評リスクの原因となった当事者に対して損害賠償請求を検討する必要があります。
従業員の不祥事や情報漏洩による風評リスクであれば当事者の特定も容易ですが、インターネットでの誹謗中傷により風評リスクが生じた場合には、匿名による投稿のため当事者を特定することが難しいケースもあります。
このようなケースでは、弁護士に依頼して、発信者情報開示請求の手続きを行うとよいでしょう。発信者情報開示請求とは、プロバイダなどに対して誹謗中傷表現を行った発信者の情報(住所、氏名など)の開示を求める手続きです。任意に発信者情報が開示されるケースは、ほとんどありませんので、基本的には、発信者情報開示命令の申立てや、仮処分などの裁判手続を利用する必要があります。
弁護士であれば、発信者情報開示請求により、風評リスクの原因となった当事者を特定し、交渉や裁判などの手続きにより損害の回復を図ることができます。
企業の不祥事によって風評リスクが生じた場合には、内部調査により事実の解明や原因の特定を行わなければなりません。また、不祥事の内容によっては、企業内部のメンバーによる調査では公正さに疑念が向けられることもありますので、企業から独立した立場にある第三者委員会による調査が必要になる場合もあるでしょう。
弁護士であれば、内部調査のアドバイスや補助だけでなく、第三者委員会を設置して調査を行うことも可能です。
風評リスクへの対応を検討中の企業は、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。
ベリーベスト法律事務所には、証券取引等監視委員会や東京地検特捜部などに在籍し、さまざまな犯罪捜査・公判を担当してきた元検事出身の弁護士が複数在籍しています。また、弁護士以外にも、税理士、司法書士、行政書士などの専門家が在籍しており、企業のトラブルに対応する危機管理チームや、インターネットのトラブルに対応する削除請求チームを組織しています。
そのため、事案の内容や性質に応じて、最適なチームで風評リスクに対応することができますので、内部調査・第三者委員会のご相談、行政調査の対応、リスク管理、コンプライアンス体制構築・教育、企業活動に関する告訴・告発などさまざまなニーズに対応することができます。
ベリーベスト法律事務所は、全国各地に拠点を有する大規模法律事務所です。風評リスクの対応には、企業の本店所在地だけでなく、支社・支店の所在地での対応が必要になるケースもありますが、ベリーベスト法律事務所では、全国各地のオフィスと連携をとりながら対応することが可能です。
また、地方の企業様も近隣のオフィスにお越しいただければ、Zoomなどを利用して全国各地の専門家と相談することが可能です。
風評リスクの予防や風評リスクによる被害を最小限に抑えるためには、普段から気軽に相談できる顧問弁護士の利用がおすすめです。
ベリーベスト法律事務所では、月額定額の顧問弁護士サービスを提供していますので、企業の規模やニーズに応じた料金を選択することができます。さまざまな料金プランをご用意していますので、これまで費用負担がネックで顧問弁護士の利用を諦めていた企業様も気軽にご利用いただくことが可能です。
風評リスクに対応するためには会社内部のリソースだけでなく、弁護士などの外部リソースを積極的に活用することも必要です。経営コンサルタント会社ももちろん対応してくれると思いますが、実際にトラブルが起こった場合に頼りになるのは弁護士です。風評リスクの予防やトラブルへの対応をお考えの企業様は、ベリーベスト法律事務所の顧問弁護士サービスをぜひご活用ください。
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