企業法務コラム
一般に「化粧品」として販売されている商品は、薬機法(旧薬事法)において「医薬部外品」と「化粧品」の2種類に分類されます。
医薬部外品と化粧品のどちらに該当するかによって、製造販売の承認の要否や、広告に記載できる効能・効果の範囲などが異なる点に注意が必要です。
本記事では、医薬部外品と化粧品の区別や、医薬部外品・化粧品の広告に記載できる効能効果などについて、薬機法上の取り扱いをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
薬機法では、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品について、その品質・有効性・安全性の確保などを目的とした規制が定められています。
一般に「化粧品」として製造・販売されているものは、薬機法上は「医薬部外品」または「化粧品」のいずれかに該当します。まずは、薬機法上の医薬部外品・化粧品とは何なのか、どのような規制がなされているのかについて確認しておきましょう。
「医薬部外品」とは、下記(a)から(c)のいずれかに該当する物で、人体に対する作用が緩和なものをいいます(薬機法第2条第2項)。
化粧品として製造・販売されている商品のうち、体臭やあせも・ただれの防止などに関する効能も併せ持っているものは、薬機法上の医薬部外品に該当します。
医薬部外品の製造販売に当たっては、品目ごとに厚生労働大臣の承認を受けなければなりません(同法第14条第1項)。
また、医薬部外品については、以下の成分を直接の容器または被包に記載する必要があります(同法第59条第7号、第8号)。
「化粧品」とは、下記(a)から(e)の要件をすべて満たすもののことをいいます(薬機法第2条第3項)。
体臭やあせも・ただれの防止などに関する効能がない一般化粧品は、薬機法上の化粧品に該当します。
化粧品については、特定の成分(=承認化粧品成分)を含有する場合を除いて、品目ごとにそれぞれ製造販売の承認を受ける必要はありません。
その一方で、化粧品については含有する全成分の表示が義務付けられています(厚生労働省告示第332号)。
医薬部外品と化粧品については、前述の製造販売に関する承認の要否や成分表示の内容に加えて、広告に記載できる効能・効果にも違いがあります。
医薬部外品の広告には、承認された効能・効果のみを記載するのが原則です。
ただし、医薬部外品である化粧品(いわゆる薬用化粧品)については、次の事柄に配慮すれば、化粧品としての種類に対応する効能・効果を併せて広告に記載することができます。それぞれの効能・効果についても、シャンプー・リンス・化粧水などの種類によって認められてるものがリスト化されているため、それにしたがって記載すると誤りにくいでしょう。
化粧品の広告は、薬食品局長通知「化粧品の効能の範囲の改正について」に定められている範囲内に限り行うことができます。
参考:「化粧品の効能の範囲の改正について」(厚生労働省)
上記通知をさらに詳しく掘り下げたものとして、日本化粧品工業連合会が「化粧品等の適正広告ガイドライン」を公表しています。化粧品の広告は、同ガイドラインに準拠して行うと誇大広告に該当しにくいでしょう 。
参考:「化粧品等の適正広告ガイドライン」(日本化粧品工業連合会)
なお、上記通知およびガイドラインは、医薬部外品である化粧品の広告において、化粧品としての種類に対応する効能・効果を記載する場合にも適用される点に注意が必要です。
薬機法に基づく規制に違反した場合には、以下のペナルティーを受けるおそれがあります。医薬部外品や化粧品を製造・販売する事業者は、薬機法の規制の順守に努めなければなりません。
薬機法違反を犯した事実が大きく報道されると、事業者は社会的信用を失ってしまいます。
社会的信用の喪失は、売り上げや株価などに多大な悪影響を及ぼします。事業者としての信用を維持するためにも、薬機法を順守することは非常に重要です。
薬機法に違反する方法によって医薬品などを製造販売している場合には、以下のような行政処分を受けるおそれがあります。
また、薬機法に基づく広告規制に違反した場合は、厚生労働大臣の課徴金納付命令を受ける可能性があります(同法第75条の5の2)。課徴金額は原則として、薬機法に違反する広告を行っていた期間における売り上げの4.5%です。
各種行政処分や課徴金納付命令は、いずれも事業者にとって大きな痛手となります。薬機法の遵守を徹底し、行政処分や課徴金納付命令を回避しましょう。
薬機法に違反する行為の多くは、刑事罰の対象とされています。
たとえば、薬機法上必要な許可を受けずに営業すると「3年以下の懲役または300万円以下の罰金(同法第84条)、必要な登録を受けずに営業すると「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」(同法第86条第1項)に処されます。
また、虚偽または誇大な広告や、未承認医薬品などに関する広告を行うと「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」(同法第85条)に処されます。
さらに両罰規定により、法人に対しても罰金刑が科されることがあります(同法第90条)。
関係者が刑事罰を受けることになれば、事業者としての信用の失墜は避けられません。弁護士のアドバイスを受けながら、薬機法の順守を徹底しましょう。
医薬部外品や化粧品の製造販売などに関して、薬機法違反を防ぐためには、弁護士のリーガルチェックを受けることをおすすめします。
弁護士は、薬機法の規制内容を踏まえたうえで、製造販売や広告などの方法について具体的にアドバイスいたします。
さらに弁護士には、薬機法のルールに関する社内研修や、薬機法の順守につながる社内規定の整備など、幅広い事柄をお任せいただけます。
顧問弁護士と契約すれば、薬機法に関する疑問点などが生じた際に、いつでもスムーズにリーガルチェックを受けることができます。
薬機法の順守を徹底したいと考えている企業は、顧問弁護士との契約をご検討ください。
化粧品は、薬機法上、「医薬部外品」と「化粧品」の2種類に分類されます。医薬部外品と化粧品では、適用される薬機法上の規制内容が異なります。
特に、医薬部外品の効能・効果については、原則として承認を受けた範囲内でのみ広告ができる点に注意が必要です。化粧品としての効能・効果を併記することもできますが、広告ガイドラインの順守などが求められます。
薬機法の順守を徹底するためには、弁護士によるアドバイスを受けるのが安心です。ベリーベスト法律事務所は、薬機法に関するご相談を受け付けております。医薬品などの広告内容の事前審査・社内研修・社内規定の整備など、薬機法の順守に向けたさまざまな対応をお任せいただけます。
医薬部外品や化粧品など、医薬品などの製造販売を行う事業者は、薬機法に関するコンプライアンスの強化を図るため、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。
一般に「化粧品」として販売されている商品は、薬機法(旧薬事法)において「医薬部外品」と「化粧品」の2種類に分類されます。医薬部外品と化粧品のどちらに該当するかによって、製造販売の承認の要否や、広告に…
シャンプーなどのヘアケア商品を取り扱う製造業者や販売業者は、販売促進の目的で広告を掲載することも少なくありません。その際、薬機法上の広告規制に抵触しないように注意が必要になります。薬機法では、広告に…
化粧品の広告は薬機法(旧・薬事法)の規制を受けるため、使用できる表現や表示方法などに制限があります。薬機法違反の広告を行った場合は、措置命令や課徴金納付命令、刑事罰の対象となるので注意が必要です。本…
お問い合わせ・資料請求