企業法務コラム

2024年09月25日
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【必読】企業におけるSNS運用の炎上対策と法的な対処法

【必読】企業におけるSNS運用の炎上対策と法的な対処法

SNSにおける企業アカウントの炎上は、評判の失墜による売り上げ減少など、企業にとって大きな悪影響をもたらしかねません。企業がSNSアカウントを運用する際には、徹底した炎上対策を行いましょう。

また、万が一SNSの企業アカウントが炎上してしまったら、速やかに弁護士へご相談の上、適切な善後策を速やかに講ずることが大切です。

本コラムでは、企業が講ずべきSNS炎上対策や、企業アカウント炎上時の対処の流れなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、不適切なSNS運用によって起こり得る炎上事例

X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSで企業アカウントを運用する際には、炎上対策に細心の注意を払わなければなりません。企業アカウントの管理がおろそかになると、炎上発生のリスクが高まってしまいます。

<企業アカウントのSNS炎上例>
  • 運用担当者がプライベートアカウントで投稿するつもりの内容を、誤って企業アカウントで投稿してしまった。その投稿には同業他社を批判する内容が含まれており、会社が名誉毀損で訴えられてしまった
  • 運用担当者が独断で、時事ネタに対するジョークのつもりで企業アカウントに投稿したところ、投稿に差別的と捉えられかねない内容が含まれており、多くのユーザーから批判コメントが寄せられた

このように、ふとした投稿で予想もしていなかった炎上に発展してしまうケースがあるため、SNSの投稿内容に問題はないか、しっかりと意識を持つことが大切です。

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2、企業アカウントの炎上による悪影響

企業アカウントが炎上すると、さまざまな悪影響が生じる可能性が極めて高いといえます。

<SNS炎上による悪影響の例>
  • 炎上によって会社の評判が悪化し、自社製品や自社サービスの売り上げが減少した
  • 炎上のクレーム対応に多くの人員を割かざるを得ず、人件費の増大や業務の停滞が生じた
  • 炎上によって既存従業員の間で会社への不信感が募り、離職率が上昇した
  • 炎上によって企業イメージが悪化したことにより、新卒採用や中途採用がうまくいかなくなった

このような悪影響を回避するためにも、企業はSNSの運用を適正化し、炎上をできる限り未然に防ぐことに取り組んでいきましょう。

3、企業が講ずべきSNSの炎上対策例

企業が講ずべきSNSの炎上対策としては、以下の例が挙げられます。


  1. (1)SNS運用の社内ルールを明確化する

    SNSにおける企業アカウントについては、明確にルールを決めた上で、そのルールに則って運用するべきです。

    具体的には、以下のようなルールを定めておくのがよいでしょう。

    • 運用担当者をどのように人選するか
    • どの端末を用いて投稿をするか(私用端末からの企業アカウントへの投稿は認めない
    • 投稿に至るまでのチェック体制をどうするか
    • アカウントのパスワードなど、ログイン情報はどのように管理するか(誰に知らせるかを含む)
    など
  2. (2)SNS運用に関する研修を受けてもらう

    企業アカウントの運用ルールを周知し、さらに運用に当たっての心構えをインプットするため、運用担当者を対象とした社内研修もしくは外部研修を受けてもらうようにしましょう

    社内研修を実施する場合の講師は、セミナー会社や弁護士などに派遣を依頼することが考えられます。着任・交代のタイミングに加えて、定期的に実施することが望ましいでしょう。

    また企業アカウントに限らず、従業員のプライベートアカウントが炎上した結果、会社の評判が悪化する事態も想定されます。そのため、SNS運用担当者以外の一般従業員向けにも、SNS運用に関する社内研修を実施することがおすすめです。

    一般従業員向けの研修は、その他の事項と併せたコンプライアンス研修の一環として行うことも考えられるでしょう。

  3. (3)投稿内容をダブルチェックする

    企業アカウントの運用担当者に投稿内容の決定を一任すると、軽率な投稿によって炎上が発生するリスクが高まります。

    不適切投稿による炎上リスクを最小限に抑えるためには、投稿内容をダブルチェック(またはトリプルチェック以上)することが効果的です。複数人によるチェックが行われることで、固定観念や偏見が平準化され、投稿内容がバランスの取れたものになります。

    しかし、承認に時間が掛かることでSNSの投稿頻度が低下してしまうなど、運用上におけるデメリットがあることにご留意ください。

  4. (4)SNS投稿に関する苦情処理体制を整備する

    万が一SNS上で企業アカウントが炎上してしまった場合、迅速な事後対応を行うことが、評判失墜を食い止めるための重要なポイントです。そのためには、平時からSNS投稿に関する苦情処理体制を整備しておくべきでしょう。

    具体的には、以下の対策を講じることが考えられます。

    • 一般ユーザー向けの苦情受付フォームを開設する
    • 重大な苦情が寄せられた場合の報告および相談の流れを決める
    • 苦情処理を担当するチームを組織し、対応に関する社内研修を実施する
    など

4、企業アカウントが炎上してしまった場合の対処の流れ

万が一SNSの企業アカウントが炎上してしまった場合には、以下の流れで迅速に対応し、株主や取引先などステークホルダーの信頼回復を図りましょう。


  1. (1)詳細な事実確認

    まずは炎上に関する事実関係を詳しく確認することが大切です。正確に事実関係を把握できれば、適切な事後対応につながります。

    確認すべき事項は炎上の状況によりますが、最低限、次の事項については確認しておきましょう。

    • 炎上している投稿の内容
    • 投稿がなされた経緯(誰が投稿したのか、なぜ投稿したのか、ダブルチェックはしたのか、など)
    • 炎上の原因
    • 一般ユーザーの反応状況
    • 自社の業績(売り上げなど)への短期的な影響
  2. (2)プレスリリース等の内容検討・発信

    SNSの炎上について、会社としては拙速な対応は控えるべきです。しかしその一方で、株主や取引先などのステークホルダーを安心させるためには、タイムリーな情報開示を行うことも非常に重要となります。

    慎重さと迅速さを両立させなければならないのが悩ましいところですが、ある程度短期間のうちに、会社としての対応方針の方向性については、SNS上の投稿やプレスリリース等によって明らかにすることが望ましいでしょう。

    最終的な会社見解は事後対応の結果を踏まえて公表するとしても、まずはステークホルダーを安心させるための暫定的なメッセージを発信することをおすすめします
    当然ながら、事後対応に支障を来さないように、どの程度の内容であれば発信できるのかをよく検討することが大切です。

  3. (3)事後処理|被害者対応・関係従業員の処分・再発防止策の検討など

    会社に対して重大な悪影響を及ぼしかねない炎上については、以下の事後処理を丁寧に行うことが求められます。

    ① 被害者対応
    炎上によって被害を受けた人がいる場合には、被害者に対して謝罪を尽くし、必要に応じて損害の賠償を検討すべきです。特に、特定の人物・団体を想定した差別的な投稿が行われた場合には、自発的に損害賠償を提案すべきでしょう。

    ② 関係従業員の処分
    従業員による不適切な投稿が炎上の原因である場合には、投稿に関係する従業員に対する懲戒処分も検討しましょう。

    ただし懲戒処分は、従業員の行為の性質・態様などに照らして客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は無効となります(労働契約法第15条)
    つまり、炎上に関する従業員の責任の程度に比べて、重すぎる懲戒処分を行ってはならないということです

    どの程度の懲戒処分であれば適法に行い得るかについては、弁護士に相談することをおすすめします。

    ③ 再発防止策の検討
    炎上が発生した原因を分析した上で、再発防止策を講じることも非常に重要です。
    社内に再発防止委員会などを設けて話し合い、策定された再発防止策を運用マニュアルなどに反映しましょう。
  4. (4)第三者による業務妨害には法的措置を

    企業アカウントの炎上が、第三者によるデマ(ウソ)や迷惑行為によって生じた場合には、加害者に対して法的措置を講じることも検討しましょう。

    • 匿名の投稿者を特定したい:発信者情報開示請求(プロバイダ責任制限法)
    • 炎上によって生じた金銭的被害を賠償してほしい:損害賠償請求
    • 炎上の原因となった投稿の削除を求めたい:投稿削除の仮処分申し立てやサイト管理者等への削除依頼
    • 炎上を発生させた加害者を処罰してもらいたい:刑事告訴

    弁護士にご相談いただければ、上記の各法的手続きについてスムーズにご対応いたします。SNSの企業アカウントにつき、炎上トラブルにお困りの企業経営者・担当者は、弁護士にご相談ください。

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5、まとめ

SNSマーケティングは販促の有力な手段ですが、企業イメージの低下をもたらす炎上については十分な対策が必要です。多角的に炎上リスクを分析した上で効果的に対策を行うためには、弁護士へのご相談をおすすめします。

ベリーベスト法律事務所は、SNSの炎上を含むインターネットトラブルにつき、企業からのご相談を随時受け付けております。
SNSの企業アカウントを運営するに当たり、炎上リスクをできる限り防ぎたい、SNSによる風評被害や誹謗中傷対策を講じたいとお考えの方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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