企業法務コラム
実際のユーザーが利用した感想や評価を投稿できる、いわゆる「口コミサイト」は、それぞれにターゲットとしている業種が異なります。たとえば飲食店が中心なら食べログやぐるなび、美容院やヘアサロンならホットペッパービューティーといった具合に、調べたいお店のジャンルにあわせてサイトを使い分けている人が多いでしょう。
「エキテン」は、150以上の業種の店舗などを掲載している最大級の口コミサイトです。公式サイトの情報によると、令和4年12月時点で掲載店舗数は約519万店舗、月間1000万人以上が利用しており、約370万件の口コミが掲載されています。
完全無料で利用できるプランがあるためコストをかけずに集客できるというメリットがある一方で、利用登録をしたわけでもなく、望んでもいないのに勝手に情報が掲載されるケースもあるようです。
好ましくない口コミや嫌がらせのようなコメントが投稿される事態になれば、情報を削除する方法を知りたいと考える店舗オーナーも少なくないでしょう。本コラムでは「エキテン」に掲載されている口コミや店舗情報などを削除する方法を解説します。
エキテンでは、実際に店舗を利用した人が「エキテンユーザー」となり、店舗を利用した感想のコメントと点数を投稿できます。
投稿された口コミは、これから店舗を利用しようとしている別のユーザーの参考になるので、新規顧客の開拓につながる可能性がありますが、反面、ネガティブな口コミが公開されてしまうと敬遠される理由になってしまうでしょう。
エキテンで好ましくない口コミを削除する方法を解説します。
実は、エキテンユーザーが口コミを投稿しても、すぐにその情報が掲載されるわけではありません。
エキテンユーザーが投稿した口コミは、ルールを守っているのかの確認や正確性・信ぴょう性の確保のため、必ずエキテン運営側が審査します。
内容に問題がなければ投稿から2~10日ほどでサイト内に反映されますが、審査結果によっては口コミが掲載されないこともあるのです。
基本的にはエキテン運営側の審査に通過しないと口コミが掲載されません。
しかし、公開されているものだけでも約370万件もの口コミが掲載されているというボリュームを考えれば、悪質な内容の口コミがチェック不十分なまま掲載されてしまう危険がないとも断言できないでしょう。
エキテンの利用規約に違反する口コミを発見したときの削除方法は、エキテンに会員登録しているかどうかで異なります。
会員登録をしていない、つまり勝手に店舗情報が掲載されているパターンなら、コメント欄の「問題のある口コミの連絡」から問い合わせフォームを開き、店舗関係者として通報します。
無料・有料の会員として登録しているなら、専用の「店舗管理画面」から通報可能です。
申請を受けたエキテン運営側がコメントを確認し、利用規約に違反していることが確認されると削除されます。エキテンの利用規約や「口コミガイドライン」に照らすと、次のような投稿は削除の対象です。
インターネットが集客方法の主流になっているからといって、必ずどの業種、どの店舗でもインターネットで集客したいと望んでいるわけではありません。
「登録したおぼえもないのに、エキテンに店舗情報が公開されていた」というケースを中心に、店舗情報を削除する方法を解説します。
エキテンには、利用料金などが発生しない無料会員と、月々の利用料やオプション料金などを支払って店舗情報の掲載をする有料会員があります。
無料会員でも店舗名称・場所・電話番号といった基本情報、メニュー、スタッフ紹介、クーポン配信といった一通りの機能の使用が可能です。
月額5000円(税抜)の有料会員として登録すると、さらにネット予約の受付などが可能となり、さらに検索ページで上位表示されるといった違いがあります。
ここで注目したいのが、自分で登録した覚えもないのに店舗情報が掲載されているというケースです。
エキテンの利用規約によると、エキテンのユーザーになって店舗情報の掲載や編集、口コミの投稿などを行うにはユーザー登録が必要となっています。
つまり、無断掲載されている店舗は、ユーザー登録を経ていないので有料会員でもなければ無料会員でさえもないという立場です。
実は、無断掲載されている店舗のことをエキテン運営側では「一般掲載」という区分で仕分けています。
エキテンの「店舗情報掲載ガイドライン」では、店舗側からの申し込みのほか、一般に公開されている店舗情報は秘密情報に該当しないので、ユーザーの利便性を優先して会員登録していない店舗でも情報を掲載していると明言しています。
冒頭で「掲載店舗数は約519万店舗」と紹介しましたが、その大部分は一般掲載の店舗が占めているといわれています。
無料会員・一般掲載の店舗情報は、オンライン申請で削除できます。
ユーザー登録をした無料会員の場合は、店舗管理画面のヘルプページへアクセスし、「解約」のリンクから申請するだけです。ページ内に「店舗の情報を完全に削除する」という項目があるので、忘れずにチェックを入れましょう。
ユーザー登録していない一般掲載の場合は、エキテン公式のトップページにアクセスし、右上の「ヘルプ」から「お問い合わせ」をクリックしてフォームを開きましょう。
問い合わせ区分で「店舗関係者」を選択したうえで、問い合わせ内容に「無断掲載されている自分の店舗情報を削除してほしい」旨を記載しておけば申請完了です。
ただし、エキテン側は「店舗情報掲載ガイドライン」において、ユーザーの利便性確保のため現存する店舗情報の削除は原則として受け付けないという姿勢を示しています。
申請したからといって必ず削除が約束されるわけではないという点は心得ておくべきでしょう。
利用料などを支払っている有料会員のことを、エキテンでは「正会員」と呼んでいます。
正会員プランの削除は、解約希望月の前月の16日から当月15日までの間にサポートセンターへ電話をかけなくてはなりません。
エキテンのサイト内にはサポートセンターの電話番号が公表されていないので、まずはヘルプページの問い合わせフォームにアクセスし、店舗関係者として「正会員に関するお問い合わせ」を選択して、解約希望を伝えることになります。
後日、連絡用のメールアドレスにサポートセンターの電話番号が記載されたメールが送信されるので、指定された電話番号に架電して解約を伝えれば問題ありません。
特に難しいやり取りになることはありませんが、正会員の解約を申し出ると「無料会員としての継続掲載」についても質問されます。
ここで無料会員としての継続を断っても、これまでに登録した情報などが削除されるだけです。
廃業などの理由がない限り、原則として店舗名や所在地といった基本情報は削除されないというスタンスなので、店舗情報を完全削除してほしい旨とその理由をオペレーターにしっかり伝える必要があります。
エキテンでは、ユーザーが投稿した口コミが即時公開されるのではなく、必ずエキテン運営側の審査を経て公開されますが、それでも万全とはいえません。
チェック時の見落としや解釈の違いといった理由で、誹謗中傷や嫌がらせにあたるコメントが公開されてしまうことがあります。
どのような形態の業種でも、悪質な口コミがもたらす影響は決して軽くありません。
それでは、実際に売り上げの減少や顧客離れ、休業・廃業といった損害が発生した場合は、どのように対応すればよいのでしょうか?
そもそも「口コミ」は、実際の利用者が忌憚なく感想を述べてほかのユーザーに伝えるものであるため、好ましい意見があれば批判的な意見も共存するものです。
しかし、厳しい感想や正当な批判の域を超え、業務妨害や権利侵害の意図をもって投稿されるものは民法が定める「不法行為」にあたる可能性があります。
民法第709条には「不法行為による損害賠償」についての規定があり、故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者はその損害を賠償する責任を負います。
この規定に照らすと、悪質な口コミが広く公開された影響で生じた損害は、口コミの投稿者に対して賠償を求めることが可能です。
損害賠償を請求する方法としてもっともイメージしやすいのが「裁判」でしょう。しかし、損害賠償請求の方法は裁判だけではありません。
損害を受けた側が加害者と話し合いの席を設けて請求し、交渉を重ねてお互いが納得できる点を探る「示談」による解決も可能です。個人間の話し合いだけでは和解に至らない場合は、簡易裁判所の調停委員を間に話し合いを進める「調停」という方法もあります。
それでも加害者が支払いに応じない、金額面で折り合いがつかないといった場合は、裁判所に「訴訟」を起こして裁判所の判断に委ねるほかに解決法がないかもしれません。
どのような方法で進めるのが最善なのかを個人で判断するのは簡単ではないし、損害額の算定も困難です。
損害賠償請求を検討しているなら、弁護士への相談をおすすめします。
エキテンに限らず、口コミサイトなどでのトラブルで損害賠償請求を進める際に欠かせないのが「投稿者の特定」です。
エキテンでは、ユーザーが任意のニックネームを設定できるので、サイト上では投稿者がどこの誰なのか分からない仕様になっています。
たとえ氏名のようなニックネームを名乗っていたとしても、それが本名と一致するのかはエキテン運営側でも確認できません。
そこで、投稿者を特定するために活用するのが、裁判所の手続きによる「発信者情報開示請求」です。
エキテンには、ユーザーがエキテンにログインしたときや口コミを投稿したときにインターネットにアクセスしたログなどが保存されています。
この情報を得て投稿者が使用しているインターネット回線を特定し、回線を提供している事業者から契約者の情報を得るのが発信者情報開示請求の基本的な流れです。
発信者情報開示請求は個人でも申し立てできますが、ログの保存期限(おおむね3か月程度)や証拠収集といった問題があります。
ログの保存期限を経過してしまった場合には、投稿者の特定はできなくなってしまいます。
やはり個人での対応は難しいので、弁護士に任せたほうが安全です。
エキテンへの店舗情報の無断掲載や悪質な口コミトラブルへの対応にお悩みなら、まずは弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。
エキテン運営側や口コミ投稿者への対応、法的な手続きなどの必要がある場合でも、弁護士のサポートがあれば安心です。
エキテンは広告サービスのひとつであり、どの会社のどんなサービスを利用するのかはビジネスオーナーの自由です。
店舗の方針としてインターネット広告や口コミサイト、エキテンを利用したくない方がいるのも当然でしょう。
しかし、エキテン運営側はユーザーの利便性などを理由に、掲載済みの店舗情報の削除には消極的です。
弁護士に依頼すれば、エキテン運営側に対する店舗情報の削除依頼の対応を一任できます。
個人からの申請では削除を拒まれたとしても、弁護士が法的な立場から削除を申し立てればこれに応じる可能性は高いでしょう。
悪質な口コミの削除依頼も、エキテンへの対応のすべてを弁護士が代行します。
どのような不法行為が存在するのかを具体的に指摘できるので、削除の可能性を高めたいなら弁護士への依頼が最善です。
悪質な口コミによって損害が生じている場合は、口コミ投稿者を特定したうえで損害賠償を請求できます。
ただし、任意の示談交渉を進めるとしても、あるいは裁判所に調停や訴訟を申し立てるにしても、投稿者がどこの誰なのかを特定する作業は避けられません。
発信者情報開示請求は、令和4年10月の法改正を受け、一体化された手続きの創設によってログなどの情報削除リスクや被害者の負担が軽減されており、従前よりも簡便化されました。
とはいえ、誰でも簡単に開示を受けられるというものではなく、必要な証拠を素早く収集して裁判所に申し立てる必要があるという点は改正後も同じです。
個人での対応ではログなどの情報の保存期限が過ぎてしまい特定不能になってしまったり、証拠不足で開示が得られなかったりするおそれがあるので、弁護士に対応をまかせたほうが安全です。
投稿者への損害賠償請求も、個人からの請求では誠意ある対応が得られないケースが少なくありませんが、弁護士が代理人として交渉の窓口になることで支払いに応じる可能性が高まります。
示談交渉では支払いに応じない場合でも、法的措置によって支払いにつなげられるので、損害賠償請求の対応も弁護士に一任するのが賢明でしょう。
どのような業種でも、インターネットに掲載される店舗情報や口コミは利用客の数や売り上げに多大な影響を与えます。
「エキテン」は上手に活用して売り上げアップに役立てている店舗も多数ですが、一方でエキテン運営側によって望まないのに店舗情報や口コミが掲載されるトラブルもあるため、状況に応じて情報の削除に向けた対応が必要です。
ただし、エキテン運営側は、店舗情報や口コミの削除には消極的な姿勢であるため、無断掲載されている店舗からの要請を受けても削除に応じないかもしれません。
エキテンへの店舗情報や口コミ削除の依頼は、ベリーベスト法律事務所におまかせください。
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