外国人労働者を雇用する場合は、外国人雇用状況届出書を提出することが必要です。
雇用保険の被保険者となるか否かによって、提出する書類や提出期限が異なるので注意しましょう。
本記事では、外国人雇用状況届出書の提出手続きや注意点などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
外国人雇用状況届出書とは、事業主が新たに外国人を雇い入れた場合、または雇用する外国人が離職した場合に、厚生労働大臣に対して提出する届出書のことです(労働施策総合推進法第28条)。
外国人雇用状況届出書の提出は、国が外国人労働者の雇用状況を把握し、雇用の安定と改善に向けた取り組みや再就職支援などを行うだけでなく、不法就労を防止するために義務付けられています。
外国人雇用状況届出書の提出を怠った事業主は、30万円以下の罰金に処されることがあるため、注意が必要です(同法第40条第1項第2号)。また、法人の代表者・代理人・使用人なども、両罰規定により処罰の対象となります(同条第2項)。
外国人の雇い入れ、または雇用する外国人が離職した際には、必ず外国人雇用状況届出書を提出しましょう。
問題社員のトラブルから、
2章では、外国人雇用状況届出書の様式や提出期限、提出方法について解説します。
外国人雇用状況届出書の様式は、厚生労働省のウェブサイトで公開されています。
雇用保険被保険者となる外国人については、雇い入れ時には「雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)」、離職時には「雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)」を提出すれば、外国人雇用状況の届出を行ったことになります。
雇用保険被保険者とならない外国人については、「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」を提出しなければなりません。
参考:「外国人雇用状況の届出について」(厚生労働省)
外国人雇用状況届出書(雇用保険被保険者資格取得届・雇用保険被保険者資格喪失届を含みます。以下同じ)の提出期限は、以下のとおりです。
外国人雇用状況届出書を提出する際には、事業所を管轄するハローワーク(公共職業安定所)の窓口で提出する方法と、インターネットで電子申請する方法があります。
外国人雇用状況届出書をインターネットで届出する場合は、雇用保険被保険者となる外国人については「e-Gov電子申請」から、雇用保険被保険者とならない外国人については「外国人雇用状況届出システム」から申請することが可能です。
なお、過去に一度でも外国人雇用状況の届出をしている事業主が電子申請を利用する場合は、ハローワークに「外国人雇用状況届出電子届出切替・変更申請書」を提出しなければなりません。
事業主が外国人労働者を雇用する際には、以下の4つのポイントに注意して適切に労務管理を行いましょう。
外国人雇用状況届出書は、雇い入れる(または離職する)外国人の雇用形態にかかわらず、必ず提出しなければなりません。
正社員だけでなく、パートやアルバイトなどの雇用形態であっても、外国人雇用状況届出書を提出しましょう。提出を怠ると罰則の対象になるため、注意が必要です。
外国人が日本で行うことのできる活動の範囲は、在留資格に応じて決まっています。就労についても在留資格によって制限されており、できる仕事とできない仕事がある点に注意が必要です。その区分は複雑で、特定の業種内でも、在留資格によってできる仕事が異なっていたりします。
仮に、在留資格に基づく就労が認められていない外国人を雇用すると、不法就労を助長したものとして処罰の対象となるおそれがあります(出入国管理及び難民認定法第73条の2第1項)。
自社の事業内容に照らして、雇い入れようとする外国人が必要な在留資格を有しているかどうかを、在留カードなどによって必ず確認しましょう。
外国人労働者の日本語の習熟度は、当然ながら人それぞれ異なります。
日本人並みに日本語を話せる方もいれば、ほとんど話せない方もいます。その一方で、日本語が必ずしも上手でなくても、思考力やスキルなどの仕事の能力が高い外国人労働者もいます。
外国人労働者を雇用する際は、日本人を雇用するとき以上に、適材適所の人材配置を意識することが大切です。外国人労働者の長所を生かすことができ、かつ短所が大きく影響しにくいポジションに配置しましょう。
事業主と外国人労働者との間では、労働条件に関する認識の食い違いが原因で、しばしばトラブルが発生することがあります。
言語の違いもその一因ですが、事業主側が外国人労働者と十分なコミュニケーションをとろうとしないことで大ごとになっているというケースも否定できません。
外国人労働者を雇用する際には、労働条件をきちんと理解しているかどうか、雇用契約書の読み合わせなどを通じてきちんと確認することが大切です。
外国人労働者を雇用する際には、外国人雇用状況届出書の提出のほか、以下の手続きなどが必要となります。
日本人同様に、外国人を雇用する際にも、労働条件などを明記した雇用契約書を締結することが推奨されます。雇用契約書を締結しておけば、外国人労働者との間でトラブルが発生した際に、解決の指針として参照することが可能です。
また、事業主が労働者を雇い入れる際には、下記の事項を記載した労働条件通知書を労働者に交付しなければなりません(労働基準法第15条第1項、労働基準法施行規則第5条)。
外国人労働者についても、社会保険の適用事業所(=すべての法人の事業所および一部の個人の事業所)において雇用され、かつ以下のいずれかに該当する場合には、社会保険への加入義務が生じます。
上記に該当する外国人労働者について、日本年金機構のウェブサイト「外国人従業員を雇用したときの手続き」を参考に社会保険の加入手続きを行いましょう。
外国人労働者の雇用を考えている事業主は、労務管理について弁護士に相談することがおすすめです。
弁護士にご相談いただければ、外国人の労務管理に関する手続きや注意点などについて、具体的な状況に即してアドバイスいたします。
またベリーベスト法律事務所では、英語と中国語による雇用契約書その他の書類の作成についても対応することが可能です。また弁護士と顧問契約を締結すれば、外国人の労務管理を含む事業上の法律問題について、日常的にご相談いただくこともできます。
外国人の労務管理を適切に行うには、弁護士との顧問契約をご検討ください。
問題社員のトラブルから、
外国人を雇い入れる場合、または雇用する外国人が離職する場合には、厚生労働大臣に対して外国人雇用状況届出書を提出しなければなりません。所定の期限までに必ず届出するようにしましょう。
外国人雇用状況届出書の提出を含めて、外国人の労務管理に関してはさまざまな注意点があります。必要な手続きを漏れなく行い、外国人労働者に関するトラブルのリスクを最小限に抑えるためには、弁護士のサポートを受けることがおすすめです。
ベリーベスト法律事務所は、外国人の労務管理を含め、事業上の法律問題について、いつでもご相談いただける顧問弁護士サービスをご提供しております。外国人の労務管理に悩んでいる方や顧問弁護士を探している方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。
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