所属タレントがコンプライアンスに違反した場合は、契約解除や損害賠償請求を検討することができます。
ただし、実際に契約解除や損害賠償請求を行う際には、事前に十分な法的検討を行うことや、対外的な公表の方法を慎重に検討することが大切です。弁護士のサポートを受けながら、コンプライアンス違反による損害を最小限に抑えましょう。
本記事では、所属タレントのコンプライアンス違反が発生した場合の対処法や、芸能事務所が対応する際の注意点などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
「コンプライアンス違反」とは、事業者が法令などの社会規範に違反することをいいます。
経営者による行為のほか、従業員(労働者・社員)による不適切な行為についても、企業がコンプライアンス違反の責任を問われることがあります。
「コンプライアンス」とは、事業者が社会規範を順守することを意味します。コンプライアンスの対象となるのは、法令・社内規定・契約・企業倫理などの社会規範です。
コンプライアンス違反を犯すと、法令に基づいて行政処分や刑事罰などを受けるおそれがあるほか、社会からの信頼を失ってしまいます。そのため、事業を安定的に成長させるためには、コンプライアンスの強化が不可欠です。
昨今では、タレントやYouTuberなどのコンプライアンス違反が多数報道されています。SNSの発展などによって社会の監視が強くなったことも、その一因といえるでしょう。
最近のタレントやYouTuberなどのコンプライアンス違反事例を紹介します。
タレントによるコンプライアンス違反が起こる原因は、状況によってさまざまです。もし所属タレントのコンプライアンス違反が発覚したら、芸能事務所は損害賠償や信用失墜のリスクを負ってしまいます。
タレントのコンプライアンス違反は、以下のような原因によって起こるケースが多いです。
所属タレントがコンプライアンス違反を犯した結果、番組やCMへの出演が取りやめになるなどして取引先に損害が生じた場合には、芸能事務所がその損害を賠償しなければなりません。
また、所属タレントのコンプライアンス違反が大きく報道されると、芸能事務所としての管理責任を追及され、社会的な信頼を失ってしまうおそれがあります。
このような事態を避けるため、所属タレントのコンプライアンス違反を防ぐための対策を十分に講じることが大切です。
所属タレントのコンプライアンス違反が発覚したら、芸能事務所は以下の対応を検討しましょう。
コンプライアンス違反に関するけじめをつけるためには、所属タレントとの契約を解除するのがひとつの方法です。
タレントとの間で解約の合意をすれば、その合意に基づいて所属契約が終了します。タレントが反省しており、契約終了に応じる姿勢を見せている場合は、合意解約の手続きを進めましょう。なお、その際には、解約合意書を締結するのが一般的です。
タレントが合意解約に応じない場合でも、コンプライアンス違反は所属契約上の注意義務違反に当たると考えられるため、芸能事務所側は所属契約を債務不履行解除することができます。
所属契約に解除規定が設けられている場合は、その規定に従って契約を解除することになります。一方で、契約上の解除規定がない場合は、民法の解除規定(民法第541条、第542条)に基づいて契約を解除します。
合意解約と比べて、債務不履行解除はタレントとトラブルになるリスクが大きいことが難点ですが、合意解約ができない場合はやむを得ません。所属芸能事務所として社会的な説明責任を果たすためにも、債務不履行解除の手続きを検討しましょう。
タレントのコンプライアンス違反によって芸能事務所が被った損害は、タレントに対して債務不履行に基づく損害賠償を請求できます(民法第415条第1項)。
タレントが損害賠償を拒否する場合には、裁判所に訴訟を提起することも手段のひとつとなります。
記者会見を開くのが、アナウンスメントを公式ホームページで発するかなど手段は様々ですが、いずれにしても起きた問題に対して、事務所としてどのように考えているのかを世間に伝える必要が生じることも多いです。これは、起きたコンプライアンス違反がタレント個人の問題なのか、事務所という組織全体の問題なのかといった世間の評価を左右する要素になります。
所属タレントのコンプライアンス違反によるトラブルを解決するに当たって、芸能事務所は特に以下の各点に注意しつつ対応しましょう。
前述の通り、コンプライアンス違反を犯したタレントとの契約を解除する方法は、主に合意解約と債務不履行解除の2通りがあります。
しかし、所属契約を債務不履行解除すると、タレント側が解除の無効などを主張してトラブルになるおそれがあるため、トラブルを避ける観点からは、できる限り合意解約をするのが望ましいでしょう。
また、タレントが合意解約を拒否している場合は、芸能事務所側から何らかの条件を提示することも考えられます。たとえば、損害賠償請求をしない旨の約束や、将来の再契約の可能性を提示すれば、タレント側も合意解約に応じる可能性があります。
タレント側が合意解約を拒否する姿勢がかたくなである場合は、債務不履行解除を選択することもやむを得ないでしょう。
前述の通り、債務不履行解除は、契約の定めがあればその定めに従い、契約の定めがなければ民法の解除規定に従って行います。債務不履行解除が無効と判断されないように、契約または法律の要件を満たしていることを、あらかじめ慎重に確認しましょう。
所属タレントによるコンプライアンス違反の事実は、いずれ明るみに出る可能性が高いといえます。そのような事態になる前に、所属事務所が自ら適切な方法で公表するほうが、社会に対する説明責任を果たす観点からは望ましいでしょう。
コンプライアンス違反について対外的に公表する際には、以下のポイントを意識することが大切です。
このような対外的な公表の内容や方法については、弁護士に相談しながら慎重に検討しましょう。
所属タレントのコンプライアンス違反が判明した場合には、速やかに弁護士へ相談しましょう。
弁護士は、コンプライアンス違反による契約解除の可否や損害賠償請求の対応につき、状況に応じて具体的にアドバイスいたします。タレントとの交渉や訴訟などの法的手続きについても、弁護士にご依頼いただければ全面的に代行し、適切な解決を得られるように尽力いたします。
また、コンプライアンス違反の予防に関しても、弁護士にご相談いただければ、芸能事務所の組織や運営状況などに応じた最適な方法をご提案いたします。
コンプライアンス違反への対応や予防についてお悩みの芸能事務所の方は、お早めに弁護士へご相談ください。
所属タレントのコンプライアンス違反は、芸能事務所の経営に大きな悪影響を与えるおそれがあります。コンプライアンス違反の予防策を徹底するとともに、万が一所属タレントの違反行為が判明したら、早い段階で弁護士に相談して適切な対応に努めましょう。
ベリーベスト法律事務所は、コンプライアンス対策に関するご相談を受け付けております。所属タレントのコンプライアンス違反への対応にお悩みの芸能事務所は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。
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