2025年05月26日
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【宗教法人向け】永代供養契約書の必須項目と注意点を弁護士が解説

【宗教法人向け】永代供養契約書の必須項目と注意点を弁護士が解説

永代供養契約書は、永代供養の条件や費用、供養期間などを明確にし、契約後のトラブルを未然に防ぐための重要な書類です。

寺院や神社などの宗教法人においては、契約内容の透明性を確保し、ご遺族との信頼関係を築くことが求められます。

本記事では、永代供養契約書に記載すべき内容や作成時の注意点などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、永代供養契約書とは?

「永代供養契約書」とは、永代供養に関する条件を明記し、墓地を管理する宗教法人と使用者(ご遺族)との間で締結される契約書です。

「永代供養」とは、亡くなった人のご遺族や子孫に代わって、墓地の運営側が遺骨を管理・供養し続ける仕組みのことです。永代供養契約書では、供養の方法や対象範囲、供養期間、費用などについて具体的に定めます。

永代供養に関する合意は、口頭や簡単な書面など、契約書を作成せずに行われることもあります。しかしその場合、契約条件の認識にズレが生じ、運営側と使用者の間でトラブルに発展するリスクが懸念されます。

永代供養契約書を作成しておけば、永代供養に関する契約条件が明確になり、トラブルの予防につながります。使用者とのトラブルを避けるためにも、墓地の経営者側で永代供養契約書のひな形を準備しておきましょう

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2、永代供養契約書に記載すべき主な事項

永代供養契約書に記載すべき主な事項としては、以下のような内容が挙げられます。

  1. (1)当事者の情報

    【例】
    ○○(以下「使用者」という。)と宗教法人○○(以下「経営者」という。)は、経営者が経営する墓地の使用および管理に関して必要な事項を定めるため、以下のとおり永代供養契約書を締結した。

    ……

    (署名欄)
    使用者 [住所]
        [氏名]

    経営者 東京都……
        宗教法人○○
        代表役員 ○○ ○○

    まずは、永代供養契約書の当事者に関する情報を記載する必要があります。亡くなった方のご遺族のうち、代表者1名に対して本人確認を行ったうえで、墓所の使用者として住所と氏名を契約書に明記してもらいましょう。

  2. (2)永代供養の内容・条件・期間

    【例】
    (墓地の使用)
    第○条
    1.使用者は、次に掲げる墓地の区画(以下「墓所」という。)を、本契約締結日から○年間(以下「契約期間」という。)使用する権利を有する。

    使用する墓所の区画:○○

    2.使用者は、経営者に届け出て、墓所内に使用者の親族または縁故者の焼骨を埋蔵することができる。
    3.使用者は、墳墓の設置、焼骨の埋蔵その他墓地本来の使用目的以外の目的のために墓所を使用してはならない。
    4.使用者は、経営者の承諾を得ずに墓所を使用する権利を他人に譲渡し、または他人に当該墓所を使用させてはならない。

    永代供養の内容(供養方法)を明確にするため、墓所の区画や期間、使用者側に認められた使用方法などを記載します。遺骨の埋蔵が可能な対象者(使用者の親族や縁故者の範囲)についても、永代供養サービスの内容に応じて明示しましょう。
    永代供養についてはその名のとおり、「永代」つまり無期限に、使用者が供養を続けることを約束することもあります。その場合、墓所を使用して供養を継続する期間、合祀墓や納骨堂での供養をする期間の区分けがある場合には、その点も明記する必要があります

  3. (3)墓地の管理方法

    【例】
    (墓地の管理)
    第○条
    1.墓所の清掃および除草については、当該墓所の使用者がその責任を負う。
    2.前項に定めるものを除き、墓地の環境整備その他の管理については、経営者がその責任を負う。

    墓地の管理に関する責任分担について、使用者側と墓地の経営者の役割分担を定める必要があります。使用者が対応する範囲としては、墓所内の清掃や除草などが一般的であり、それ以外の管理業務(環境整備や設備の保守など)は、原則として宗教法人である経営者が担うことなどを契約書に明記しておきましょう。

  4. (4)永代供養の費用

    【例】
    (使用料)
    第○条
    1.使用者は、第○条に基づく墓地の使用の対価として、経営者が別途定める期日までに、経営者が別途定める方法により、使用料○円を支払うものとする。
    2.経営者は、第○条第2項に基づく墓地の管理に要する費用に充てるため、経営者が別途定めるところにより、使用者に対して毎年管理料(以下「管理料」という。)を請求することができる。使用者は、経営者が別途定める期日までに、経営者が別途定める方法により、管理料を支払うものとする。

    永代供養の費用(永代供養料)については、契約時に一括して受け取る「使用料」と、継続的な維持管理に充てる「管理料」を定めるのが一般的です。
    特に費用に関する条件は、使用者との誤解や紛争の原因となりやすいため、金額、支払方法、支払期限などを明確に記載することを心がけましょう。

  5. (5)契約の更新

    【例】
    (契約の更新)
    第○条
    1.使用者は、契約期間が満了する日の○年前から、経営者に対して契約更新の申し込みをすることができる。
    2.経営者は、前項の申し込みがあった場合には、管理料の支払い義務が不履行となっている場合、その他契約更新を拒絶すべき特段の事情がある場合を除き、当該申し込みを承諾しなければならない。

    永代供養契約では、使用者側が契約期間満了後も継続して墓所を使用できるよう、契約の更新に関する条項を設けておくことが望ましいといえます。
    また、宗教法人である経営者側の都合によって永代供養を一方的に打ち切ることは、使用者との信頼関係を損なうおそれがあります。管理料の長期滞納など、よほど合理的な理由がない限り、経営者は契約更新の申し込みには原則として応じる姿勢が求められます。

  6. (6)祭祀(さいし)承継者による承継

    【例】
    (使用者の地位の承継)
    第○条
    1.使用者の死亡により、使用者の祭祀承継者が墓所の使用を継続するときは、当該祭祀(さいし)承継者は、経営者が定める方法によって、経営者にその旨を届け出るものとする。
    2.使用者が死亡した場合において、使用者の祭祀(さいし)承継者が墓所の使用を継続しないときは、その旨を書面で経営者に届け出るものとする。

    使用者が亡くなった場合の手続きについても明記しておく必要があります。使用者の祭祀(さいし)承継者が墓所の使用を継続する場合、または使用を打ち切る場合のいずれについても、所定の方法により書面で届け出ることを義務付けることで、経営者側の管理が円滑になります。

  7. (7)契約の解除

    【例】
    (使用者による契約の解除)
    第○条
    1.使用者は、経営者に対して書面で通知することにより、いつでも本契約を解除することができる。この場合、使用者はすでに支払った使用料および管理料の返還を請求することができない。
    2.前項の場合において、契約解除の日の属する年度の管理料が未払いであるときは、使用者は経営者に対し、当該管理料を支払わなければならない。

    (経営者による契約の解除)
    第○条
    1.経営者は、使用者が使用料を所定の期日までに支払わなかったときは、使用者に対して書面で通知することにより、本契約を解除することができる。
    2.経営者は、使用者が次の各号の1に該当するときは、相当の期間を定めて債務の履行または是正を催告し、その履行または是正がなされないときは、使用者に対して書面で通知することにより、本契約を解除することができる。
    ①○年間管理料を支払わなかった場合
    ②第○条第3項に規定する使用の目的に違反して墓所を使用した場合
    ③第○条第4項の規定に違反して墓所を使用する権利を他人に譲渡し、または他人に当該墓所を使用させた場合

    使用者および経営者のいずれかの意思によって、永代供養契約を解除できるケースを定めておきましょう
    使用者側の都合による解除の場合は、使用料や管理料を返還しないのが一般的です。ただし、まだ墓地の設置や焼骨の埋蔵がなされていないなど、実質的な供養の提供が始まっていない場合には、例外を設けることも考えられます。

  8. (8)契約終了時の措置

    【例】
    (契約終了に伴う措置)
    第○条
    1.本契約が終了したときは、使用者であった者またはその祭祀(さいし)承継者(以下「元使用者等」という。)は、速やかに墓所内に設置された墓石等を撤去し、墓所内に埋蔵された焼骨を引き取るものとする。
    2.元使用者等が前項に定める義務を履行しないまま、本契約終了後○年を経過したときは、経営者は、墓石等を墓地内の所定の場所に移動し、法令の規定による改葬手続きを経て埋蔵された焼骨を、墓地内の合祀(ごうし)墓または納骨堂に移すことができる。この場合、経営者は元使用者等に対し、実費を請求することができる。

    契約期間の満了や解除により永代供養契約が終了した場合に備えて、墓石の撤去や遺骨の取り扱いに関する措置をあらかじめ契約書に定めておくことも重要です。
    契約終了後は、元使用者やその祭祀(さいし)承継者が墓石等を撤去して焼骨を引き取るか、または墓地の経営者側が合祀(ごうし)することになります。トラブルを防ぐため、その際の処理ルールを明確に定めておきましょう。

    参考:「墓地経営・管理の指針等について」(厚生労働省)

3、永代供養契約書の作成時に注意すべきポイント

墓地の経営者側が永代供養契約書を作成する際には、特に以下のポイントに気を付けるとよいでしょう。

  1. (1)具体的かつ明確な記載を心がける

    契約内容が不明確な場合、使用者との認識に齟齬(そご)が生じ、後にトラブルに発展するおそれがあります。永代供養契約書の条項は、客観的かつ明確な文言で記載しましょう

  2. (2)改葬の可否について認識を共有する

    墓地の経営者が焼骨を合祀(ごうし)墓や納骨堂に移した後では、原則として使用者の意思による改葬は困難となります。
    改葬(いわゆる墓じまい)の可否や期限については、契約締結前に十分な説明を行い、使用者と認識を共有しておくことが必要です。トラブル防止の観点からも、契約書に関連条項を設けておくと安心です。

  3. (3)生前予約をする場合は、家族の理解を得ているかどうかを確認する

    永代供養契約書は、永代供養を希望する本人との間で、「生前予約」の形式で締結することもあります。この場合、実際に永代供養墓を使用するのは本人のご家族です。
    トラブルを避けるため、永代供養についてご家族の理解を得ているかどうかを事前に確認しておきましょう

4、永代供養契約書の作成は弁護士に相談を

永代供養契約書を作成する際には、法的な有効性やトラブルの予防という観点から、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に依頼することの主なメリットは、以下のとおりです。

  • 法的に有効かつ適切な契約条項を盛り込むことができる
  • 使用者との間で起こり得るクレームなどのトラブルのリスクを事前に想定し、条項上で対策を講じられる
  • 経営者(宗教法人)側にとって不利益な定めを避けることができる
  • 経営者側で用意した契約書ドラフトについて、法的な観点からチェックしてもらい、改善のアドバイスを受けられる
など

弁護士のアドバイスは、永代供養墓の使用者とのトラブル予防に役立ちます。新たに永代供養契約書のひな形を作成する場合や、既存のひな形を見直したい場合には、弁護士にご相談ください

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5、まとめ

永代供養を受け付けている宗教法人においては、使用者との契約内容を明確にし、後のトラブルを防止するためにも、永代供養契約書のひな形をあらかじめ整備しておくことが重要です。弁護士のサポートを受ければ、法的に有効かつ実務的にも安心できる内容の永代供養契約書を作成することができ、信頼性の高い運営につながります。

ベリーベスト法律事務所は、墓地経営に関する宗教法人からのご相談を随時受け付けております。永代供養契約書の作成や見直し、その他の墓地経営に関する法律相談は、お気軽にベリーベスト法律事務所へお問い合わせください。

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