企業法務コラム

2019年12月17日
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著作権侵害で訴えられたら!? WEBコンテンツ制作で考えられるトラブルや対応方法

著作権侵害で訴えられたら!? WEBコンテンツ制作で考えられるトラブルや対応方法

ビジネスコンプライアンスとして、日頃から企業が意識すべきことに、著作権侵害を起こさないことが挙げられます。今や、多くの企業が自社サイトを持ち、何らかのコンテンツを掲載し、ビジネスに活用しているため、そのコンテンツが著作権侵害となっていないかに、注意を払っておく必要があります。そこで、今回は、サイト運営者が知っておくべき著作権侵害についての対策を解説します。

1、著作権とは

著作権法によると、著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲の属するもの」を言います。
「表現したもの」が著作物ですので、「アイデア」自体は著作物ではありません。表現が完成していることまで求められるわけではありませんので、スケッチの段階のものでも構いません。また、「思想又は感情」という要件は、人の精神活動によって生み出されたものという意味で、単なる事実やデータは、著作物から除かれます。「創作的に」というのは、「作者の個性が表れたもの」と考えられています。「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」というのは、この4つのジャンルに代表される知的、精神活動の所産全般という程度の意味で、どのジャンルに属しているかということは、重要ではありません。つまり、著作物とは何かを簡単に言うと、「人の個性が表れた表現物」というように理解できるでしょう。
そして、著作物に該当すれば、作者は、その著作物について、著作権を有することになるわけです。ただし、会社の従業員が業務で作成した著作物は、職務著作といって、著作権が会社に帰属することになります。

著作権と我々が呼んでいるものは、「著作権」という一つの権利があるのではなく、複製(コピー)する権利である「複製権」、公衆の前で見せたり、聞かせたりする「上演権」、「演奏権」、インターネットを通じて配信する「公衆送信権」、改変や脚色をする「翻案権」など複数の権利を作者が有することになり、この権利の束を著作権と呼んでいるのです。
他にも、「上映権」、「口述権」、「展示権」、「貸与権」などの権利が発生するのですが、これらの権利のことを「支分権」と呼んでいます。

次に、著作権侵害とは何かを説明します。
例えば、上述の「複製権」は、著作物の複製を「専有」できる権利として定められています。「専有」とは、著作権者以外の者による複製が禁止されるという意味です。各支分権も同様に、著作権者が「専有」すると法律上構成されていますので、各支分権として定められている行為を、著作権者以外の者がすることが禁止されているのです。
この禁止に反することが著作権侵害となるのです。
なお、著作権侵害が成立するためには、他人の著作物に「依拠」していることが要件となっていますので、偶然他人の作品と同一だったり、類似した場合には、侵害とはなりません。

著作権侵害をしてしまうと、民事上、侵害行為の停止を求められたり、著作権者の損害を賠償する義務が生じたりします。著作権侵害には、刑事罰も用意されていて、自然人であれば、最高で10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金またはその併科がされ、法人であれば、最高で3億円以下の罰金が科せられます。刑事罰の重さからすると、著作権侵害は、軽い罪ではないと言えるでしょう。

2、WEBコンテンツ制作で考えられる著作権の侵害行為や注意点

WEB上で、記事や原稿を掲載するケースでは、誰か他人の書いた文章をコピー&ペーストするような場合は、複製権と公衆送信権の侵害となります。他人の文章をパクって、いくらかの改変や脚色をしたとしても、元の文章のオリジナリティーがまだ読み取れるようであれば、翻案権の侵害となります。他人の文章をパクったものの、元の文章のオリジナリティーが読み取れない程度にまで表現を大きく改変や脚色したのであれば、それはもはや、別の著作物だと言えますので、複製にも翻案にも該当せず、侵害は成立しません。

他人の発想をまねて、同じような記事を書いた場合でも、表現を大きく変えれば、それがパクりだと非難されることはあっても、法律上は、著作権侵害ではないことになるのです。
原稿の執筆をお願いしたライターが、コピー&ペーストしてしまい、会社がその行為に気付かずに、WEB上に掲載してしまうと、会社が著作権侵害に問われますので、ライターに、コピー&ペーストをしないよう、指示を徹底するとともに、会社側でも、コピー&ペーストのチェックツールを使って、著作権侵害となっていないかをチェックすべきでしょう。

写真やイラストも、基本的には著作物になります。ですので、SNSで誰かが投稿していたものなどのインターネット上で見つけた写真やイラストを勝手に使えば、複製権侵害、公衆送信権侵害など、著作権侵害が成立します。写真を使う場合は、自社で撮影した写真を使うか(もちろん外注しても構いません)、写真素材の販売をするストックフォトサービスを利用しましょう。ストックフォトサービスには、有料のサービスと無料のサービスがあります。また、写真の利用方法も、商用利用が可能なものとそうでないものがありますし、写真の加工が許されるかどうかも、サービスによって異なります。サービスの利用規約を確認するようにしてください。
イラストも同様に、自社で制作したり、イラスト素材のストックサービスを使うのがいいでしょう。
写真やイラストの場合は、Googleなどの検索エンジンで画像検索にかけると、ウェブ上で同じ写真やイラストが使われているかのチェックが可能です。

WEBコンテンツに動画が含まれる場合、他人の作った動画を勝手に使えば、著作権侵害になるのはもちろんです。また、動画には、映像から、その動画がいつ、どこで、どのようにして撮影されたのかが分かりやすいという特徴があります。動画の撮影場所が、管理権者の許諾が必要な場所であるかや、映り込んだ人の肖像権やプライバシー権への配慮がされているかなど、著作権以外にも注意すべき事項がたくさんあります。
また、動画を制作する際に、BGMをつけることがあるでしょう。他人の音楽を使う場合には、音楽の使用に関する権利処理が必要になってきます。そして、音楽の使用の際の権利処理の際には、楽曲の著作権と、音源に関するレコード製作者の権利(いわゆる「原盤権」と呼ばれる権利です。原盤権は、著作権とは別の「著作隣接権」の一種として著作権法に定められている権利です。)の2つの処理が必要となりますので、注意が必要です。
他人の作った曲を自分で演奏や歌唱するコンテンツを作る場合には、その楽曲の著作権についての許諾が必要になります。著作権は、多くの場合、日本音楽著作権協会(JASRAC)が管理していますので、JASRACに使用料を支払って、楽曲の使用の許諾を得なければなりません。
また、自分で演奏や歌唱するのではなく、CDなど他人が作った音源を使用する場合には、楽曲の使用についての許諾だけではなく、音源を制作したレコード会社などが、その音源についての原盤権という権利を持っていますので、原盤権の使用の許諾も受けなければいけないのです。
例えば、YouTube やニコニコ動画といった動画投稿サイトでは、サイト側が楽曲の著作権の処理をJASRACとの間でしてくれています。そのため、そのような動画投稿サイトを通して動画を配信する場合、自ら演奏や歌唱したものを流す限りは、楽曲の利用のための権利処理は必要ありません。しかし、動画投稿サイトでは、原盤権の権利処理はしてくれていませんので、CD音源を使って音楽を流したい場合は、自ら原盤権を持っているレコード会社から許諾を得る必要があるのです。

3、著作権を侵害したとして訴えられた場合の対応方法や解決までの流れ

自社サイトのWEBコンテンツが著作権侵害をしているとして、紛争が生じたときの対処方法や流れを説明します。

●侵害の指摘
自社サイトのコンテンツが他人の著作権を侵害していた場合、通常、それを知った権利者から、その指摘を受けるでしょう。内容証明郵便で警告書などが送られてきて、侵害の停止を求められたり、損害賠償の請求をされたりすることが考えられます。
そのような指摘を受けたら、直ちに自社コンテンツが本当に著作権侵害なのかの検証をしましょう。そのコンテンツを作ったのは誰かを確認し、その制作過程を検証します。また、相手方のコンテンツはどんなもので、自社コンテンツと比較して、その類似性などを検証しましょう。
そのうえで、自社コンテンツが明らかに著作権侵害に該当すると判断すれば、自社コンテンツを直ちに削除したうえで、著作権者に謝罪や経緯の説明をするのが賢明でしょう。それに納得してもらえれば、損害賠償は求められないことも多いです。

●指摘への反論
自社コンテンツを検証した結果、著作権侵害に該当しないという判断に至ることもあるでしょう。相手方のコンテンツに依拠したものでないとか、類似していないとか、そもそも相手方のコンテンツは著作物ではないとか、著作権侵害が成立しないケースはいくつもパターンがあります。
そのように判断すれば、放置するのではなく、自社の反論を相手方に伝えてください。相手方と意見の交換をして、お互いが納得すればそれで解決です。
ですが、相手方が納得しない場合には、調停や訴訟といった裁判上の法的手続に移行することもあります。

●訴訟での解決
相手方が納得せず、訴訟を提起されてしまった場合、まずは裁判所を通じて訴状が届きます。訴状での請求の内容は、侵害行為の差止請求、損害賠償請求、謝罪広告の掲載請求などが主なものです。また、第一回の訴訟の期日への呼び出しがされることになります。
訴状が届けば、必ず、指定された日までに答弁書を提出してください。答弁書には、請求の棄却を求めることとその理由を記載します。これをせずに第一回の期日を迎えると、相手方の主張がそのまま認められる形で判決がされるリスクがあります。
訴訟では、双方が自身の主張の正当性を主張し合い、時には裁判上で和解をすることもあるでしょうし、和解ができなければ判決に至ります。

●刑事手続
以上は、民事上の紛争解決の対応です。
著作権侵害には、刑事罰が用意されていますので、刑事事件として立件されることもあります。
従前、著作権侵害は、親告罪といって、権利者による捜査機関への告訴がなければ起訴できない犯罪でした。しかし、平成30年12月30日に施行された改正法により、著作権侵害のうちの一部は非親告罪となっています。
例えば、有償で販売されているコンテンツの海賊版の販売や提供などは、非親告罪となっています。
SNS上に上がっている写真などを無断で利用する態様の著作権侵害は、現在も親告罪ですが、権利者が告訴をして、捜査機関が受理すれば、捜査がされることになります。利用態様が悪質だった場合には、起訴されて有罪になってしまう場合もあり得ます。そのときには、上述の法定刑が科せられることがありますので、著作権侵害にならないよう細心の注意が必要です。

4、誤って著作権侵害をしないよう、事前に企業ができる対策とは?

WEBコンテンツの制作にあたって、著作権侵害とならないようにするには、他人の作品を勝手に使用しないことを徹底する必要があります。制作に携わる従業員や外注先への指導や会社と制作スタッフとの取り決めは重要です。
例えば、原稿を書いてもらうライターに、記事作成の際のルールや心構えをまとめたガイドラインを提供し、そのガイドラインに従って記事を書かせるといった方法が、WEBコンテンツを配信する企業では採用されています。
著作権法に無頓着なスタッフもいるでしょうから、社内研修などで著作権法への意識を高めることも重要です。
また、著作権侵害にあたるかどうか相談できる専門家が身近にいれば心強いことでしょう。著作権に詳しい弁護士と顧問契約を結び、緊密にコミュニケーションを取りながら、コンテンツの制作の仕方や扱い方のアドバイスを受けることは有用です。顧問弁護士であれば、改正の多い著作権法の情報を提供してくれるでしょうし、従業員への社内セミナーの講師をお願いしてもいいでしょう。他人から侵害の警告を受けたときに、侵害が成立するかの検証をしてもらったり、適切な対処法も教えてもらえます。訴状が届いたときに、迅速に対応してくれるのも顧問弁護士ならではの利点です。

5、まとめ

著作権侵害にならないための事前の対策や、著作権侵害を指摘されたときの事後の対策は非常に重要です。対策のひとつとして顧問弁護士の活用は、WEBコンテンツを扱う企業であれば検討しておくべきです。
ベリーベスト法律事務所には、コンテンツビジネスや著作権法に詳しい弁護士が在籍しています。日頃からの著作権侵害への対策として、ベリーベスト法律事務所の顧問弁護士サービスをぜひご活用ください。

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