企業法務コラム

2013年05月07日
  • 新型インフルエンザ
  • 社会保険労務士

新型インフルエンザにまつわる労務管理

新型インフルエンザにまつわる労務管理

海外において新型インフルエンザの発生が報告されており、我が国においても企業における対策が必要となるケースが想定されます。

そこで過去に厚生労働省が発表した「新型インフルエンザに関する事業者・職場のQ&A」を基に人事労務面におけるポイントを2つ挙げてみたいと思います。

Q1、新型インフルエンザに感染した労働者の同じ職場の労働者(濃厚接触者)や、同居する家族が感染した労働者(濃厚接触者)は、仕事を休ませる必要があるのか。

発症者と同じ職場の労働者などの濃厚接触者でも、インフルエンザ様症状がない場合は、一般的には仕事を休ませずに職務を継続することが可能であると考えられますが、職務の必要性や内容に応じてその継続の可否を判断する必要があります。
仮に勤務を継続する場合は、朝夕の検温や手洗いなどの健康管理を行い、体調が悪化した場合は直ちに上司に報告するよう、徹底することが必要です。

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Q2、新型インフルエンザに関連して労働者を休業させる場合、どのようなことに気をつければよいか。

感染拡大防止の観点からは、感染又は感染の疑いがある場合には、保健所の要請等に従い外出を自粛することその他感染拡大防止に努めることが重要です。

またその際、欠勤中の賃金の取扱いについては、労使で十分な話し合いにより決定することが望まれます。
その際の、賃金の支払の必要性の有無等については、個別事案ごとに諸事情を総合的に勘案すべきものですが、法律上、労働基準法第26条に定める休業手当を支払う必要性の有無については、一般的には以下のように考えられます。

  1. (1)労働者が新型インフルエンザに感染したため休業させる場合

    新型インフルエンザに感染しており、医師等による指導により労働者が休業する場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。

    医師による指導等の範囲を超えて(外出自粛期間経過後など)休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり、休業手当を支払う必要があります。

  2. (2)労働者に発熱などの症状があるため休業させる場合

    新型インフルエンザかどうか分からない時点で、発熱などの症状があるため労働者が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱えば足ります。

    一方、例えば熱が37度以上あることなど一定の症状があることのみをもって一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり、休業手当を支払う必要があります。

  3. (3)感染者と近くで仕事をしていた労働者や同居する家族が感染した労働者を休業させる場合

    感染者と近くで仕事をしていた労働者などの濃厚接触者でも、インフルエンザ様症状がない場合は職務の継続が可能となると考えられます。

    職務の継続が可能である労働者について、使用者の自主的判断で休業させる場合には、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たり、休業手当を支払う必要があります。

    なお、大規模な集団感染が疑われるケースなどで保健所等の指導により休業させる場合については、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」には該当しないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。

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まとめ

上記の各事案は一般的見解となりますので各企業・各状況によっては異なった対応が必要となるケースもあります。対応にお困りの際には、ベリーベストへお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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