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							しかし、雇い止めについても一定の条件を満たす場合には、解雇と同様にその有効性が厳格に判断されます。そして、雇い止めの有効性に疑問を抱いた非正規雇用労働者から解雇理由証明書を請求されこともあります。このような場合には、企業としては、どのように対処すべきでしょうか。
							
							今回は、非正規雇用労働者の雇い止めのトラブルを防止するための解雇理由証明書の作成などについてベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
								そもそも、雇い止めとはどのような状態をいうのでしょうか。
								以下では、雇い止めの定義や雇い止めが増加する背景について説明します。
							
										雇い止めには、法律上の明確な定義はありません。
										
										一般的には、
									
										などが、いわゆる雇い止めのイメージではないでしょうか。
										
										しかし、そもそも非正規雇用労働者は、正規雇用労働者と異なり、期間の定めのある労働契約を締結しています。
										企業法務・労務の観点からは、非正規雇用労働者との労働契約を期間満了によって終了させることだと、理解しておけばよいでしょう。
									
										雇い止めと同様に労働契約関係を終了させる手段として中途解除・解雇というものがあります。
										
										解雇と雇止めの違い
										解雇とは、使用者が労働者との労働契約を一方的に終了させることをいいます。
										雇い止めは、あらかじめ決められた期間が満了した場合に労働契約が当然に終了するものであるのに対して、解雇は、労働契約期間の途中で労働契約を終了させるという違いがあります。
										
										雇い止めは、労働者としてもある程度予想ができる措置でありますが、解雇は、労働者にとっても突然の出来事であり、不利益も大きいため、厳格な要件を満たす場合にのみ認められます。
										
										中途解約と雇止めの違い
										中途解除とは、派遣元会社と派遣先会社との労働者派遣契約を期間途中に終了させることをいいます。中途解除によって派遣社員は、就業先を失うことになりますが、それによって派遣元との労働契約が終了するというわけではありません。
										
										解雇や雇い止めがない限りは、派遣元との労働契約関係は継続します。
									
売り上げが低迷している状況で業績を回復するためには、経費の削減が大きな手だてであり、その中でも人件費を削減することが有効な手段のひとつです。
										そうした背景が、非正規雇用労働者の雇用調整に影響を及ぼしているといえるでしょう。
									
										非正規雇用には、契約社員や派遣社員などのさまざまな雇用形態が存在します。
										非正規雇用労働者には、主に以下の雇用形態があります。
									
										有期契約社員と派遣社員の主な違いは、雇い主と雇用期間の制限という点にあります。
										
										このような雇用形態の違いから、次章で説明するように、雇い止めのリスクと罰則についても違いが生じます。
										雇用形態によって異なるリスクや罰則を確認しましょう。
									
問題社員のトラブルから、
										有期契約社員は、就業先の企業と直接雇用関係にありますが、派遣社員は、派遣元の会社と雇用契約を結び、派遣元会社と派遣先会社との労働者派遣契約に基づき、派遣先に派遣され就業することになります。
										
										また、契約社員の労働期間については、原則として3年を超えることができないと定められています(労働基準法14条1項)。
										
										ただし、有期労働契約を更新して同じ会社での雇用が通算5年を超えた労働者が無期雇用締結の申し入れをした場合に会社はそれを承諾したものとみなされます(労働契約法18条1項)。
									
										有期契約社員については、労働契約期間があらかじめ定められていますので、期間満了を理由に労働契約を終了させたとしても原則として違法となることはありません。
										
										しかし、有期契約社員であっても、
									
										があります。
										
										そのような場合には、解雇の場合と同様、雇い止めの理由や相当性が厳格に判断されることになります(労働契約法19条)。
										違法な雇い止めをした場合には、雇い止めが無効になるというリスクがあります。
										
										また、労働基準監督署からの指導がなされる可能性がありますが、罰則はありません。
									
										これに対して、派遣社員の場合には、派遣先の同じ事業所の同じ部署で働けるのは最大で3年となります。
										雇用契約関係のある派遣元との関係ではなく、派遣先との関係で適用されるルールという点に注意が必要です。
									
										派遣先会社が労働者派遣契約を中途解除した場合には、派遣労働者は、派遣先での就業の機会を失うことになります。
										
										派遣先の一方的な理由による中途解除については、派遣先会社は派遣元に生じる休業損害などの損害を賠償しなければなりません。
										
										さらに、中途解除の場合には、派遣先は、派遣先の関連会社での就業をあっせんするなどによって、派遣社員に新たな就業先を確保することが必要になります。
										
										ただし、派遣先と派遣社員とは直接の労働契約関係にはありませんので、派遣先が解雇理由証明書を発行する義務はありません。
									
										通常の雇い止めの場合、派遣元会社は派遣社員と直接の労働契約関係があるため、派遣社員に対して適切な派遣先を紹介する義務があります。
										もし紹介できない場合は、派遣元が派遣社員に休業手当を支払わなければなりません。
									
雇い止めをした元社員から解雇理由証明書の請求があった場合、企業はどのように対応したらよいのでしょうか。
										解雇理由証明書とは、労働者を解雇した理由が記載された書面のことをいいます(労働基準法22条)。
										
										有期労働契約に関しては、契約期間満了によって終了するため、解雇とは異なりますが、雇い止めをめぐるトラブルを防止するために、厚生労働省では、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」を策定しています。
										
										同基準によると、労働者から雇い止めの理由についての証明書の請求があった場合には、使用者は、遅滞なく雇止理由証明書を交付しなければならないとされています。
										
										また、雇い止めの理由としては、契約期間満了とは別の理由とすることが必要になります。
										
										たとえば、
									
などです。
										元社員から解雇理由証明書の請求を受けた場合には、会社はそれを拒否することができるのでしょうか。
										
										解雇理由証明書は、解雇や雇い止めにあたって必ず交付しなければならないものではありません。しかし、労働者の側から請求があった場合には、拒否することはできず、遅滞なく交付する必要があります。
										
										ただし、雇い止めの場合の雇止理由証明書については、労働契約を3回以上更新し、または1年を超えて継続勤務している労働者から請求があった場合に使用者に交付義務が課されます。
									
										元社員から解雇理由証明書の交付を求められた場合には、使用者としては、どのような意図で請求しているのかが気になるところです。
										
										元社員が解雇理由証明書を請求するのは、雇い止めに納得をしていないという理由が少なからずあるでしょう。
										雇い止めに納得しているのであれば、解雇理由証明書の請求をすることはほとんどないからです。
										
										雇い止めに納得できない元社員としては、
									
										などの意図がある場合もあります。
										
										解雇理由証明書の交付を求められた場合には、元社員との訴訟に発展する可能性もありますので、まずは弁護士に相談をするなど、慎重な対応をするよう留意しましょう。
									
雇い止めをめぐって労働者とトラブルにならないようにするために雇い止めの伝え方や解雇理由証明書の作成にあたっては、以下の点に留意が必要です。
										厚生労働省の告示では、労働契約を3回以上更新し、または1年を超えて継続勤務している有期雇用労働者に対しては、契約期間満了日の30日前までに雇い止めの予告をしなければならないとされています。
										
										これに該当しない有期雇用労働者であっても、今後の生活や就職活動などを考慮すると、同じように契約期間満了の30日前までに伝えることが必要でしょう。
										
										雇い止めを伝える際には、本人と直接面談を行い、契約期間満了という理由だけでなく、契約更新をしない理由についても明確に伝えることで納得を得られる可能性が高まります。
									
										解雇理由証明書には、具体的事実をできる限り正確に記載する必要があります。
										また、労働者から請求がない事項について記載することは禁止されていますので、請求された事項に限り記載するようにしましょう。
										
										また、雇い止めの場合には、厚生労働省の告示によって、雇い止めの理由として期間満了とは別の理由を記載することが必要になります。
										
										あいまいな記載では、雇い止め理由をめぐってトラブルになることがありますので、できる限り具体的かつ正確に記載するようにしましょう。
									
										有期雇用契約者は、契約期間の満了によって労働契約が終了するのが原則です。
										しかし、雇い止めをめぐってトラブルになることも多いため、有期雇用契約者を雇い止めする際には、直接面談をし、雇い止めの理由を明確に伝えることが重要です。
										
										なお、雇用トラブルへの対策は、事前の予防という視点も重要になります。
										そもそも、雇い止めに関する紛争は、契約時や更新時に適切な説明や書面の作成がなされていないことに起因するものが多く存在するからです。
										
										したがって、企業の実情をよく把握している顧問弁護士がいれば、適切な雇用契約書や更新通知書などを作成することができ、雇い止め時のトラブルを最小限に抑えることが期待できます。
										
										ベリーベスト法律事務所では、月額3980円からの顧問弁護士サービス(リーガルプロテクト)を提供しており、コスト面でお悩みの際にも必要な分だけ適切なサポートを受けることが可能です。
										
										労働者の雇用トラブルでお悩みの際には、まずはお気軽にお問い合わせください。
									
問題社員のトラブルから、
								期間満了によって雇い止めをすること自体は違法ではありませんが、更新実態からみて雇い止めが無効になる労働者も存在します。
								
								どのような場合に雇い止めが無効になるかはケース・バイ・ケースであり、個別具体的な事情を踏まえて検討する必要がありますので、弁護士に相談をすることが必要です。
								
								雇い止めを含む労働分野の相談については、労働紛争の解決実績が豊富であり、社会保険労務士との連携も可能なベリーベスト法律事務所へご相談ください。
							
 
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