企業法務コラム

2021年09月22日
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契約書に関するトラブルを回避する! 事前にできる対策を弁護士が解説

契約書に関するトラブルを回避する! 事前にできる対策を弁護士が解説

企業の規模に関わらず、ビジネスにおいては、契約書は必要不可欠なツールです。それにもかかわらず、実際には契約書が作成されることなく取引が進められることもあります。

「今までトラブルになったことがないから大丈夫」などの理由から契約書を作成しないことも多いでしょう。しかし、契約書は、トラブルを未然に防ぐためのものですので、将来の紛争を防止するためにも必ず作成しておかなければなりません。さらには、契約書さえ作成しておけばよいというものではなく、その内容についても不備がないようにする必要があります。

今回は、トラブルを回避するための契約書の重要性などについて弁護士が解説します。

1、契約書の重要性

契約書を作成することによって、未然にトラブルを回避できるとともに円滑な商取引が実現できます。

以下では、契約書に関する基本的事項について説明します。

  1. (1)契約とは

    契約とは、当事者同士の意思表示が合致することによって、「法的な権利義務」が発生する行為のことをいいます

    企業では、日常取引のさまざまな場面で、契約を行っています。
    たとえば、従業員を雇う場面では雇用契約を交わします。
    また、企業同士の取引においても、販売店との間で品物の売買を行うときには売買契約、業務の一部を外注するときには業務委託契約、システム開発の依頼を受けることは請負契約といったように、さまざまな契約の形態があります。

  2. (2)契約書が必要な理由

    契約は、一部の例外を除き、基本的には当事者が合意をするだけで成立しますので、契約の成立にあたって契約書などの書面は必要ありません。契約書がなくても当事者間には契約に従って義務を履行するという法的拘束力が生じているのです。

    そうすると「契約書がなくても問題ないじゃないか」と思うかもしれません。
    しかし、契約内容が複雑なものであった場合には、細かい仕様や条件について書面を作成しておかなければ、想定していたものと異なるものができてしまうこともあります

    また、契約相手が契約内容に従って義務を履行しない場合、最終的には、裁判を起こすなどして義務の履行や損害賠償請求を行います。ただ、その際に契約書がなければ当事者間にどのような契約が成立していたかを証明することができません
    このように、契約書は、紛争を未然に防止するという機能と、取引関係を円滑に遂行するという機能がありますので、必ず作成するようにしましょう

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2、契約書をめぐって発生しがちなトラブル

契約書を作成することは非常に重要ですが、契約書の内容によっては、トラブルに発展することもあります。契約書の作成にあたっては、以下のようなトラブルが生じることがあります。

  1. (1)契約書の不備

    契約書に関するトラブルとして、もっとも初歩的なものが、契約書の内容の不備です。

    不慣れな法務担当が契約書を作成した場合や、内容を精査せずに定型のひな型を利用した際に起こりやすいトラブルです

    ① 誤字・脱字
    契約書に誤字や脱字があったときには、内容によっては、契約内容自体が変わってしまうこともあります。数量の単位や金額を間違えると会社に多大な損害を与えるリスクが生じます。

    ② 曖昧な記載内容
    契約内容については、明確な文言を使用し、複数の解釈が可能となるような曖昧な記載は避けるようにしなければなりません。とくに取引の根幹部分については、明確な記載をするように努めましょう。

    ③ 条項間の矛盾
    インターネット上でダウンロードしたひな形などでは、内容が精査されておらず、契約書の条項間に矛盾があることがあります。
    矛盾する条項が存在することによって、契約が無効となってしまうおそれがありますので、ひな形を利用する際には内容の精査を忘れないようにしましょう

  2. (2)企業の方針との整合性

    契約の目的や内容が企業の方針と整合しているかどうかも重要です。

    取引先との関係性から、自社企業の方針と合致しないような商品やサービスを提供する契約の締結を迫られることがあります。

    一度契約書を作成してしまうと、その内容に従って契約を履行する義務が生じますので、取引相手が用意した契約書にサインするときには慎重にならなければなりません。

    提示された契約書については、社内に持ち帰り内容を精査したうえで、契約の目的や内容が企業の方針と整合しているかどうかをチェックするようにしましょう

  3. (3)契約相手との認識・解釈の相違

    契約書は、必要最低限の記載だけにして、細かい部分は「お互いの話し合い」で決めようとすることもあります。

    このような方法をとると、契約の細部についての認識について双方に食い違いが生じることがあり、それが原因で当事者が想定していた内容が実現できないこともあります。

    上記のような方法は、広く採用されている方法ですので、それ自体が問題ではありません。細かい仕様などについて合意した場合は、その都度書面を作成するなどして、契約相手との認識・解釈に相違が生じないようにしなければなりません

3、契約書作成時のチェックポイントとは?

契約書を作成するときには、特に気を付けるべきポイントがあります。
以下では、契約書作成時のチェックポイントについて説明します。

  1. (1)自社に不利な条項がないかどうか

    ビジネスにおいては、ある程度不利な内容でも、それをのんで契約を締結することがあります。
    そのような条項で契約をする場合でも、将来どのようなリスクが生じる可能性があるのかを、具体的に想定して契約する必要があります
    あまりにも自社に不利な条項であるときには、取引相手にきっちりと修正を求めるといった交渉も必要になってきます

  2. (2)権利と義務が明確であるかどうか

    契約書の各条項について、誰がどのような権利を有し、義務を負うのかについて明確に記載されているかどうかをチェックします

    契約書の条項が不明確だと、当事者双方に契約内容の認識の食い違いが生じることがあり、将来重大なトラブルに発展するリスクがあります。

    契約書は、当事者の権利と義務を規定する条項によって構成されています。
    自社だけでなく取引相手の立場に立った契約書のチェックも、ミスのない契約書を作成するときのポイントです。

  3. (3)分かりやすい言葉を使用しているかどうか

    契約書は、日常生活では使わないような難解な用語の使用が多くなります。
    できる限り平易な言葉を用いて、多義的な表現にならないように注意してチェックしましょう

    また、主語や目的語を省略することは、契約書の解釈に疑義を生じさせる原因となりますので、できる限り省略しないようにしましょう。

  4. (4)法律上の記載義務を守っているかどうか

    契約の内容については、基本的には当事者が自由に決めることができます。しかし、公序良俗に反するような契約内容については、無効となりますので、民法、労働基準法、各種関連法令などをチェックして、強行規定に反する内容になっていないかどうかをチェックする必要があります

    また、契約する内容によっては、法律上特定の記載内容が要求されるものがあります。
    たとえば、営業所以外の場所で締結するリフォームの契約等については、特定商取引法の訪問販売の規定が適用され、契約書の記載事項が法律で決められています。
    決められた記載事項が抜けている場合には、クーリングオフを受けるなど、重大な不利益が生じることもありますので注意が必要です。

4、トラブルを未然に防ぐには弁護士によるリーガルチェックが有効

契約書を作成することによって、トラブルを未然に防止することができますが、それには、法律上問題のない契約書が作成されていることが前提です。
トラブルを未然に防止するための契約書の作成にあたっては、弁護士によるリーガルチェックが有効です

  1. (1)契約トラブルが発生してしまったら?

    契約をした当事者同士でトラブルが生じたときには、基本的には、契約内容に従って処理をします。さらに当事者間の話し合いで解決できないときには、最終的に裁判所に判断を委ねることになります。
    裁判官が判断するにあたって重要視するのが「契約書の記載内容」です
    契約書に記載された内容については、当事者間において合意があったとの前提で判断がなされます。
    しかし、記載内容に曖昧さや記載漏れがあったような場合には、契約内容を立証することができず、裁判で負けるというリスクもあります

  2. (2)契約書リーガルチェックの重要性

    訴訟トラブルに発展したときのことも想定し、法的に問題のない契約書の作成は重要ですが、どのように作成するのが最適なのでしょう。

    インターネット上でも多数の契約書のひな型が存在しており、その内容は、誰でも利用しやすい一般的な条項が中心となっています。ただ、インターネット上の契約書のひな型の中には、法的に問題のある記載があるものも存在します。

    このようなひな形をそのまま使用すれば、取引の実態に応じた内容とならない場合もあり、問題のある契約書では契約自体が無効になるリスクもあります。

    そのため、契約書を作成するときには、法的に有効な契約書であるかどうかや内容に問題がないかなどを弁護士にチェックをしてもらうことがとても重要です

  3. (3)契約書チェックを弁護士に依頼するメリット

    契約書の内容が法的に問題ないかどうかを判断するためには、法律の専門家である弁護士によるリーガルチェックを受けることが有効な手段です。

    企業間の取引においては、関係する法令が多数になることもあります。
    そのすべてをフォローしながら契約書の内容をチェックするというのは非常に労力のいる作業となります。
    関係法令だけでなく過去の判例なども踏まえた有効な契約書にするためには、弁護士でなければ難しい作業といえます。

    個人同士のお金の貸し借りであれば、定形の契約書を利用しても問題が生じることは少ないといえますが、企業間の取引では、取引の実情に応じて最適な契約書を作成していかなければなりません。それは企業ごと、取引ごと異なるものですので、専門家である弁護士に作成を依頼するのが将来のトラブル防止の観点からも安心です。

    なお、ベリーベスト法律事務所では、顧問弁護士を契約していただいた場合の特典として、弁護士が監修している契約書のひな形を無料で進呈しています。

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5、まとめ

自社の経営を進める上で欠かすことのできないもののひとつが、数々の「契約」行為です。
中でも、「契約書」に関しては、万が一不備があれば、後々のトラブルに発展する可能性もあり、会社の経営面でもマイナスの影響をおよぼしかねません。
社会的にさまざまなトラブルの発生リスクが高まるなか、会社(経営)全般に関する問題発生を事前に防ぐためには、専門的な知見も豊富な顧問弁護士の対応が必要になります。

ベリーベスト法律事務所では、業種別に専門チームを設け、さまざまな業種に対応できる顧問弁護士サービスを提供しています。興味がある方は、ベリーベスト法律事務所のリーガルチェックお見積りフォームをお気軽にご利用ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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