企業法務コラム
最近は、コンビニや工場で働いている外国人労働者を見かけることが多くなりました。
愛知労働局は、2015年10月末時点で、愛知県内の外国人労働者の数が、前年比12.0%増の9万4698人だったと発表しました。
下記のグラフから分かるように愛知県の外国人労働者の数は、約28万人の東京都に次いで、全国第二位の数値であり、2年連続で増加し、過去最高を更新しています。人手不足を背景として、特に製造業で雇用される外国人が4.7万人と最も多く、次いで建設業、宿泊業、飲食サービス業で大幅に増えており、幅広い業種で外国人の雇用が拡大していることが伺えます。
外国人労働者急増の背景
※この制度は、最長3年の期間に、日本の企業において発展途上国の若者を技術実習生として受け入れ、実際の実務を通じて実践的な技術や技能・知識を学び、帰国後母国の経済発展に役立ててもらうことを目的とした公的制度です。
外国人を雇用しようとお考えの店舗経営者の方も多くいらっしゃると思います。しかしながら、いざ雇用しようにも、いわゆる外国人の「就労ビザ」の手続きについては誤解や誤った情報も多く、苦労されているのではないでしょうか。
一般に言われる「ビザ」とは、正確には「在留資格」のことです。外国人が日本に在留・就労するためには、入管法で定められた、「就労可能な在留資格」のいずれかに該当していなければなりません。
現在、入管法に規定されている在留資格は全部で27種類ありますが、どれかの在留資格を持っていればどんな仕事でもできるのかと言えばそうではなく、それぞれの在留資格によって可能な就労活動の範囲が厳格に決められています。
また、原則として、就労可能な在留資格は、一定の技術または専門性を有する業務を行う場合にのみ許可されます。雇用側にとってみれば、採用した外国人が行おうとする業務内容が、はたしてどの在留資格に該当するのかの判定は容易ではありません。職務内容と外国人の属性とを詳細な見極めを初めとする非常に複雑な判定が必要になる場合があります。
一方で、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の在留資格をもって在留する外国人の方は就労活動に制限はありませんので、職種や職務内容に縛られず、日本人と同様に雇用することができます。
また、留学や家族滞在の在留資格の方は、『資格外活動許可』を得ることで、一週間28時間内であり、かつ、風俗営業に係る活動ではないことという条件付きとなりますが、単純作業であっても、就労可能です。
「知らなかった」では済まされない!元力士が経営する焼き肉店で店長が起訴
不法就労の典型的な例としては、入管法で定められた活動以外のことを行う場合が多く、例えばエンジニアなどが持つ「技術」の在留資格で居酒屋で調理をしたり、工場内での単純作業などに従事している場合などが該当します。
適正な外国人雇用を行わなかったがために起こってしまった事件としては、2013年12月に名古屋で起きた事件が記憶に新しいのではないでしょうか。元力士が経営する焼肉店で、在留資格のない不法滞在の外国人2人を働かせたとして、入管法に基づく不法就労助長罪で、同店経営者と店長が起訴された事件です。
経営者である同氏は「不法滞在とは知らなかった」と容疑を否認しましたが、違法性を認識していなくても過失責任を問えるとの検察の判断から略式起訴され、名古屋簡易裁判所から罰金50万円の略式命令を出されたものです。
適正な在留資格がなく、違法な状態で外国人を就労させた場合、不法就労した外国人本人だけでなく、不法就労させた雇用主自身も不法就労助長罪として刑事罰が課せられる場合があります。
入管法では、不法就労助長罪は「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」と規定されており、上述の焼肉店もこの罪に問われていました。在留カードの確認で就労可能外国人かどうかの判別が容易になったことから、雇用主の不法就労の認識を問わず、過失責任により処罰されうることも、上述の事例から明らかになっています。
このように、外国人の適正雇用を行うには、その外国人が不法就労とならないことが何よりも重要となります。一口に「不法就労」と言っても、具体的にどのような場合が該当するのでしょうか? 不法就労とは次の3つのようなことを指しています。
適正雇用のためには、上記の3つに当たらないように雇用する必要がありますので、外国人を雇用する会社は、外国人職員の適正管理を必ず行ってください。
外国人雇用やビザについて詳しく知りたい方は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。
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