企業法務コラム
今の日本が抱える課題に、アルバイト・パート・派遣などの「非正規雇用労働者」の増加があげられます。
非正規雇用労働者は、雇用が不安定で賃金が低く、能力開発の機会が少ないという問題があります。それに対応する形で誕生したのが「キャリアアップ助成金」です。
キャリアアップ助成金は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者(正社員待遇を受けていない無期雇用労働者を含む)の企業内でのキャリアアップ等を促進するための助成金です。
※各コースごとに、さらに支給対象事業主の要件があります。
それでは、どのようにしてキャリアアップ助成金がもらえるのでしょうか。以下の取り組みを実施した企業に支給されます。
パート・アルバイト、有期契約労働者などを正規社員に転換する制度を導入し、その規定に則り正規雇用へと転換へした場合に助成されます。
パート・アルバイト、有期契約労働者などに、一般職業訓練(Off-JT)または、有期実習型訓練(「ジョブカード」を活用したOff-JTとOJTを組み合わせた3~6ヵ月の教育訓練)を行った場合に助成されます。
パート・アルバイト、有期契約労働者すべての者の基本給の賃金テーブルを2%以上増額させた場合や、正社員と同等の処遇制度導入、所定労働時間を25時間未満から30時間以上に延長して社会保険を適用した場合に助成されます。
助成金は返済不要のため、受け取ることで利益率が大幅向上!
正規雇用や人材育成などの「採用・教育」面がクローズアップされますが、助成金は返済する必要のないお金であるため、支給を受けることで「利益額の純増」となります。
■ 50万円の助成金をもらう場合
※利益率2%の店舗として算出
売上額に換算すると…
50万円÷2%=2500万円
50万円の助成金をもらうことは、2500万円の売上を上げることと同じことです。
売上に換算すると、大きなインパクトだと感じませんか?
助成金は、採用・教育を目的とした制度ではありますが、店舗経営にも大きなメリットがあるのです。
キャリアアップ助成金を活用している企業の事例をご紹介します。
ウォーターサーバーを販売しているA社は、家電量販店やショッピングセンターなどで販売活動を行なっている。売上は順調ではあるが、課題は人材不足だった。人件費を抑えるという理由から、有期契約(パート・アルバイト)従業員を多く採用してきたが、販売スタッフの確保が難しくなっており、販売活動に支障をきたすリスクもあった。
そこで、現在働いている有期契約(パート・アルバイト)従業員を正社員にする話が浮上した。
あわせて、有期契約の従業員で極めて優秀なスタッフもいることもあり、より安定した雇用形態に移行することで、退職防止、モチベーションUPをはかり、優秀な人材を確保したかった。
有期契約(パート・アルバイト)従業員6名のうち、特に優秀な2名の正社員転換を実施。
キャリアアップ助成金受給額120万円(1人あたり60万円)の受給が決定。正社員になった2名のモチベーションは上昇。仕事内容に不満はなかったが、雇用形態が不安定なことを、ずっと不安に感じていたという。A社は、現在さらに1名の正社員転換を検討中。
採用面でも効果が見られた。有期契約スタッフの募集・面接時に、正社員登用制度を説明し、実際に正社員転換された実績を伝えたところ、反応がよく、採用率がアップ。
キャリアアップ助成金を導入したことで、安定人材の確保がはかられ、当初の課題は解決された。
加えて、採用率が高まったことで、有期契約スタッフの人材確保もスムーズになり、販売体制を安定して継続出来るようになった。
中小企業の人材不足は非常に深刻な問題です。アルバイトや派遣社員で現場を回している店舗や事務所は年々増加しています。キャリアアップ助成金は、従業員への教育研修、正社員への転換時に助成金が支給されるもので、まさに、中小企業にとって非常に魅力的な助成金といえます。また人材の定着にも役立つものとなります。
この機会にぜひ、検討してみてはいかがでしょうか。
助成金は、条件を満たせば受給が可能で、返済も不要ですが、書類作成手続きが非常に多くなります。せっかく条件を満たしているにもかかわらず、書類不備・申請期限切れ・作成時間にかかる本業への支障等のリスクが考えられます。これらのリスクを解消し、的確な手続きにより、確実に助成金を受給する為に、雇用関連助成金の申請代行プロである社労士に依頼することをおすすめします。
社労士法人ベリーベストでは、ベリーベスト法律事務所およびベリーベスト税理士事務所と提携し、税務・法務等も含め諸問題をワンストップでご対応させていただきます。こちらよりお問合せください。
また、より詳しい内容については、厚生労働省のホームページでもご確認いただけます。
現在、特許庁において、第三者意見募集制度(日本版アミカスブリーフ制度)の導入が検討されています。日本ではなじみのない制度なので、「アミカスブリーフとは?」という方も多いと思います。以下では、アミカス…
営業部門では目標売り上げを達成することが求められますが、売り上げを計上しても売掛金が回収できなければ、キャッシュは増えません。キャッシュが不足すると黒字倒産にもなりかねません。売掛金が回収できない理…
個人情報の保護に関する法律(以下、個人情報保護法)は、近年制定された法律であるにもかかわらず、言葉の定義がわかりにくいといわれています。そのため、問題なく個人情報を取り扱っているつもりでも、意識しな…
お問い合わせ・資料請求