企業法務コラム
会社における労働環境には、安全衛生・労働条件・人間関係などについてさまざまな課題が存在します。企業には労働環境を整えることが求められるため、効果的な労働環境の改善を進めるために、弁護士のアドバイスを受けながら取り組むことをおすすめします。
本記事では、労働環境について生じ得る問題の種類・具体例、劣悪な労働環境を放置することのリスク、企業が取り組むべき労働環境改善策などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
「労働環境」とは、会社で働く労働者を取り巻く環境全般です。
たとえば以下に挙げるように、さまざまな要素が労働環境を構成しています。
企業は労働者が安全・健康に働けるように、労働環境を整える義務を負います(=安全配慮義務。労働契約法第5条)。
また、労働基準法では労働条件の最低ラインが定められており、労働安全衛生法では安全・衛生に関する規制が定められています。
企業はこれらの各法律のルールを順守しなければなりません。
問題社員のトラブルから、
たとえば以下のような状況がある場合は、「労働環境が悪い」と評価せざるを得ません。
そしてこのような劣悪な労働環境を放置することで、企業は以下のリスクを負うことになってしまいます。
劣悪な労働環境では、労働災害(=業務中に従業員が負傷し、疾病にかかり、または死亡すること)が発生しやすくなります。
たとえば、長時間労働が横行している場合は、脳・心臓疾患や精神疾患の発症リスクが上がることが知られています。また、不衛生または騒音がひどい環境で働いている従業員は、健康被害を発症するリスクが高いと考えられます。
労働災害が発生すると、欠員が生じて業務が滞るばかりでなく、被災労働者やその遺族から多額の損害賠償を請求される可能性があるので要注意です。
長時間労働・休日出勤・ハラスメントなどにより、従業員が大きなストレスを抱えるようになると、生産性の低下は避けられません。
従業員の生産性が低下すると、会社の業務は停滞してしまいます。
また、業務を処理するために余分な人員が必要になり、人件費も増えてしまいます。
劣悪な労働環境を放置すると、その環境で働き続けたいと考える従業員は少なくなり、離職が相次ぐことが予想されます。
その結果、優秀な人材を確保することが難しくなり、さらに、ノウハウが十分に蓄積されない結果となってしまうでしょう。
また、労働環境が劣悪であるとの評判が広まると、採用活動にも悪影響が及びます。
従業員を新規に採用することが難しくなり、ますます人材の空洞化が進んでしまう可能性があります。
労働環境を改善することは、企業と従業員の双方にとってメリットがあります。
企業にとっては労働災害の防止・生産性の向上・人材の確保につながり、従業員は働きやすくなり生活の質(QOL)が向上することなどにつながります。
労働環境を改善するため、企業は以下の取り組みを積極的に行いましょう。
労働基準法では、以下の事項などについて労働条件の最低ラインが定められています。
労働環境を改善するうえでは、労働基準法の最低ラインを順守することが大前提です。
しかし、以下のような労働基準法に違反する状態で従業員を働かせている企業も少なくありません。
企業が労働基準法に違反している状態を放置した場合には、労働基準監督署から行政指導を受けるリスクがあります。
そのため労働基準法違反の状況がある場合には、早急に改善に取り組むことが必要です。
従業員の業務負担が重すぎると、長時間労働や休日出勤などが重なり、労働環境が悪化してしまいます。
このような状況を回避するためには、適材適所の人材配置を行うとよいでしょう。
具体的には、以下のような対応が考えられます。
一部の従業員に業務が集中することを防ぎ、さらに業務全体を効率化するために、労働環境の改善を図ることが大切です。
従業員の業務負担が重すぎる場合は、業務量に対して従業員の数が少なすぎる可能性があります。
この場合は、早急に従業員の増員に着手すべきです。
新卒採用だけでなく、中途採用も積極的に行って従業員を増やしましょう。
また従業員の増員と合わせて、ワークシェアリング(※)を行うことも効果的です。
※ワークシェアリング:従業員の間で業務を分け合い、おのおのの労働時間を短くすること
業務負担が重すぎる従業員を発見したら、上司などが主導して積極的にワークシェアリングを行い、負担の軽減を図りましょう。
実際に働いている従業員の意見は、会社の労働環境改善に取り組むうえで大いに参考となります。
たとえば目安箱や直通メールを設置すれば、従業員の意見を幅広く募ることができます。
また、人事部面談や上司との1on1ミーティングにおいて、従業員の意見を個別に聞き取ることも方法として考えられるでしょう。
現場の従業員の意見を反映して労働環境の改善に取り組めば、真に働きやすい環境づくりにつながります。
ハラスメント(パワハラ・セクハラ・マタハラ)について、企業はその防止のために雇用管理上必要な措置を講ずることが義務付けられています(労働施策総合推進法第30条の2第1項、男女雇用機会均等法第11条第1項、第11条の3第1項)。
ハラスメント防止措置の一環として必要不可欠となるのが、従業員向けのハラスメント相談窓口の設置です。
被害に遭った従業員がいつでも相談できる窓口を設置し、行為者に対して適正な処分を行うことが、ハラスメント防止につながります。
ハラスメント防止窓口の担当者は、被害者の心情に寄り添って対応することに加えて、経営者や他の部署からの独立性を確保することが重要です。
内部通報の社外窓口を設置するなどの対応と組み合わせて、効果的なハラスメントの相談体制を整備しましょう。
労働者のニーズに合った多様な働き方や勤務制度を認めることは、労働環境の改善につながります。
たとえば労働基準法では、通常の働き方のほか、以下の働き方が認められています。
これらの働き方のうち、事業内容や会社規模などに応じてフィットするものがあれば、積極的に導入を検討するとよいでしょう。
個々に異なる生活や考え方を持つ従業員を受け入れる基盤が整い、人材の多様化や事業の多角化につながる可能性があります。
労働環境を改善したいと考えている企業は、弁護士への相談をおすすめします。
弁護士は会社の状況を分析したうえで、労働環境を改善するための具体策をアドバイスいたします。
特に労働基準法などの法令の順守やハラスメント対策は、弁護士が専門的知識と経験を生かしてサポートできる分野の代表例です。
弁護士ができることは、単にアドバイスをするだけにとどまりません。
企業にとっての具体的な課題を洗い出したうえで、労働環境の改善に向けた取り組みの提案・計画・実行までをワンストップで行います。
弁護士は企業と二人三脚で、企業の安定的な成長を目指して労働環境の改善に取り組んで参ります。
従業員の労働環境を改善し、成長の基盤を整えたい企業は、お早めに弁護士へご相談ください。
問題社員のトラブルから、
労働環境改善(職場環境改善)の取り組みは、労働災害の防止・労働生産性の向上・人材の確保などの観点から、事業者にとって非常に重要です。
効果的に労働環境を改善するためには、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所は、人事・労務管理に関する企業のご相談を随時受け付けております。会社の状況に応じて、効果的な労働環境改善策をアドバイスし、実際の取り組みについてもサポートいたします。
またベリーベスト法律事務所は、ご予算やニーズに応じてプランを選べる顧問弁護士サービスもご提供しております。
労働問題だけでなく、契約やトラブル対応などについて幅広くご相談可能です。
労働環境改善に取り組む企業は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所にご相談ください。
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