企業法務コラム
内容証明郵便とは、差出人・宛先・差出日時・内容について郵便局が証明してくれるサービスです。従業員や取引先、顧客などから内容証明郵便が届いたら、何らかのトラブルが生じている可能性がありますので、法的観点からも慎重に対応していく必要があります。
内容証明郵便を無視したり、受け取りを拒否したりするとさまざまなリスクが生じますので、企業としては真摯に対応していくことが求められます。
今回は、内容証明郵便が届いたらやるべきことや内容証明郵便を無視するリスクなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
内容証明郵便とはどのような性質の郵便なのでしょうか。以下では、内容証明郵便の概要と発送する側の意図を説明します。
内容証明郵便とは、日本郵便株式会社が郵便物の内容について以下の事項を証明してくれるサービスです。
普通郵便では、相手に文書を送ることができても、いつ・誰が誰に対して・どのような内容の文書を送付したかという点について証明することができません。内容証明郵便は、これらの事項を証明することができるため、トラブルが生じたときなどに利用される形式の郵便になります。
なお、内容証明郵便は、配達した事実そのものについては証明することはできません。いつ相手に文書が配達されたのかを証明するには、配達証明付きの内容証明郵便を利用する必要があります。
普通郵便ではなく内容証明郵便を利用して文書を発送する側には、主に以下のような意図があります。
内容証明郵便が届いたら、以下のような対応が必要になります。
内容証明郵便が届いたら、まずは文書の内容を確認してください。文書の内容を確認する際には、以下のような観点から内容の整理をしていくとよいでしょう。
普通郵便ではなく、あえて内容証明郵便という特別な形式の郵便を利用していることからすると、当事者間に何らかのトラブルが生じており、それについて相手方が何らかの権利を行使している可能性があります。
届いた文書の内容次第で今後の対応方法が変わってきますので、しっかりと確認することが大切です。
内容証明郵便は、労働審判や訴訟に移行する前段階で送付されることが多い文書です。そのため、内容証明郵便で送られてきた文書には、相手の法的主張や請求などが記載されています。受け取った側としても法的観点から対応を検討していかなくてはなりません。
内容証明郵便の送付を受けて適切な対応をしていれば、労働審判や訴訟にまで発展しなかった問題であっても、対応を誤ると労働審判や訴訟になってしまうことがあります。また、訴訟で不利な証拠になったりするリスクもありますので、慎重な対応が必要なります。
内容証明郵便が届いたら、記載された内容が真実であるか虚偽であるかを問わず、期限までに対応することが求められます。
回答書を作成する際には、法的根拠に基づいて相手の主張に反論していかなければなりませんので、法的知識や経験が不可欠になります。また、言葉遣いに気を付けなければ相手の感情を逆なでしてしまい、深刻なトラブルに発展する可能性もあります。
そのため、内容証明郵便が届いたら、相手に回答する前に、一度弁護士に相談してアドバイスをしてもらうのがおすすめです。
内容証明郵便が届いた場合、受け取り拒否や無視は絶対にすべきではありません。このような対応をすると以下のようなリスクが生じる可能性がありますので注意が必要です。
内容証明郵便が届いたことは相手に伝わりますので、期限内に回答をしないと相手方からは不誠実な対応だと受け取られてしまいます。
また、内容証明郵便の受け取りを拒否した場合も、その旨が差出人に伝わりますので、同様に不誠実な対応だと受け取られてしまうおそれがあります。
内容証明郵便は、労働審判や訴訟の前段階として利用される手段です。すなわち、直ちに労働審判や訴訟提起ができるにもかかわらず、あえて内容証明郵便を利用しているということからすると、交渉による解決の余地があるということになります。
労働審判や訴訟にまで発展すると解決までに多くの時間と労力がかかりますので、交渉で解決できるのであれば、その方が望ましいといえます。しかし、内容証明郵便の受け取りを拒否したり、無視したりしてしまうと交渉による解決の道を閉ざすことになってしまいます。
内容証明郵便の受け取りを拒否や無視をした場合、相手方は、交渉による解決の余地がないものとして、直ちに訴訟提起などの法的手段に出てきます。
受取人側としては、そのような法的手段に対応しなければならないリスクが生じます。
内容証明郵便の対応に関するお悩みは、弁護士に相談することをおすすめします。
内容証明郵便が届いたら、無視や受け取り拒否をするのではなく、真摯に回答することがかえってその後のリスクを減らします。一方で、内容証明郵便に対する回答内容は、今後の訴訟などの証拠にもなります。
そのため、
・内容面(認める部分と認めない部分を明らかにする等)
・形式面(言葉遣いや表現等)
のいずれについても慎重に回答する必要があります。
それには法的知識や経験が不可欠ですので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。弁護士であれば将来訴訟に発展することも見越して、適切な回答を行うことが可能です。
内容証明郵便により相手が要求する内容によっては、企業側が応じられない内容であることもあります。そのような場合、真摯に回答をしたとしても、相手が労働審判や訴訟などの法的手段に出てくることも予想されます。
労働審判や訴訟のリスクがある場合、事前に相手方への反論事項をまとめたり、こちら側の主張を裏付ける証拠を集めたりすることで、労働審判や訴訟を有利に進めることができます。
弁護士に相談をすれば、そのような法的対応の準備を進めてもらうことが可能です。
相手方から労働審判の申し立てや訴訟提起がなされた場合、無視することはできませんので、それに対応していかなければなりません。このような法的手段に対抗するには、法的知識や経験が不可欠になりますので、弁護士のサポートが必要です。
弁護士に依頼すれば労働審判や訴訟の対応をすべて任せることができますので、社内の貴重なリソースを割くことなく対応することができます。
内容証明郵便は、労働審判や訴訟の前段階として利用される手段になりますので、内容証明郵便が届いたら真摯に対応をしなければなりません。回答する際に内容面・形式面の対応を誤ると、今後の訴訟などで不利な証拠になるリスクもありますので、内容証明で届いた郵便物への対応は、弁護士に任せるのが安心です。
内容証明郵便の対応でお困りの際は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。
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