2025年06月02日
  • 顛末書
  • 始末書
  • 違い

【企業向け】顛末書と始末書の違いは? 提出させるときの注意点

【企業向け】顛末書と始末書の違いは? 提出させるときの注意点

従業員が仕事でトラブルやミスを起こした場合、「顛末(てんまつ)書」や「始末書」を作成させる企業もあるでしょう。顛末書と始末書は、いずれもトラブルやミスに関与した従業員に提出させる文書ですが、顛末書は報告の意味合いが強く、始末書は反省文の要素が強いのが特徴です。

どちらを提出させるべきかについて、明確な基準はありません。しかし、それぞれの文書の特徴などを理解したうえで、状況に応じた適切な文書の作成を命じるようにしましょう。

今回は、顛末書と始末書の違い、例文や主な記載事項、提出させるときの注意点などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、顛末書と始末書の違いは? どちらを提出させるべき?

顛末書と始末書は、いずれも仕事上のミスやトラブルに関与した従業員に提出させる文書という点では共通しています。しかし、目的など異なる点もいくつかあります。
こちらでは、顛末書と始末書の具体的な違いと、従業員にはどちらを提出させるべきかを解説します。

  1. (1)顛末書と始末書の主な違い4つ

    顛末書は報告の意味合いが強く、始末書は反省文の要素が強いため、以下のような違いがあります。
    顛末書については、報告書と同様の内容となることが多いですが、始末書となると、事実の報告に加え、反省文等が書き加えられることが多いです。

    違い 顛末書 始末書
    目的 仕事上のミスやトラブルの経緯を客観的に報告することが目的 仕事上のミスやトラブルの経緯を報告して、反省や謝罪を示すことが目的
    作成者 仕事上のミスやトラブルを起こした従業員の直属の上司など、適切な立場にある人が作成 仕事上のミスやトラブルを起こした従業員本人が作成
    誰に提出するか 基本的には社内向けに作成 基本的には社内向けに作成するが、社外に向けて提出することもある
    提出時期 事態が収束したタイミングで作成・提出します。
    事態の収束が長引いている場合は、経過報告書を作成・提出することもある
    仕事上のミスやトラブルが発生した直後に作成・提出
  2. (2)従業員には顛末書と始末書のどちらを提出させるべき?

    顛末書と始末書のどちらを提出させるべきかについて、明確な基準はありません。
    ただし、一般的には、以下のように区別することが多いとされます。

    ① 顛末書を提出させるべきケース
    顛末書を提出させるべきケースとしては、以下のようなケースが挙げられます。

    • 事務処理や手続きにミスがあったとき
    • 商品やサービスに欠損や不具合があったとき

    ② 始末書を提出させるべきケース
    始末書を提出させるべきケースとしては、以下のケースが挙げられます。

    • 遅刻や無断欠勤を繰り返したとき
    • 就業規則を守らなかったとき
    • 個人的な行動によって会社の信用を著しく傷つけたとき
企業の労働問題の弁護士相談
初回相談 30分無料
電話でのお問い合わせ
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く
0120-127-034
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く

問題社員のトラブルから、労働裁判まで、あらゆる問題に対応!

2、顛末書や始末書を書かせる際の注意点

従業員に顛末書や始末書を書かせる際には、以下の4つの点に注意しましょう。

  1. (1)様式を定めておく

    先述のとおり、顛末書は報告の意味合いが強い文書です。
    そのため、仕事上のミスやトラブルの経緯原因再発防止策など決められた項目が記載されていなければ、顛末書としての意味を成しません。

    さらに、初めて顛末書を作成する従業員は、どのように記載すべきか迷うこともあるでしょう。会社としては、顛末書の様式を定めておくべきです。
    所定の様式に従って作成してもらうことで、修正や差し戻しの手間が減るため、使用者と従業員の双方にメリットがあるといえるでしょう。

  2. (2)拒否される可能性があり、強要は違法になる

    先述のとおり、始末書は謝罪文としての意味合いが強い文書です。始末書の作成を従業員へ強制すると、思想・良心の自由(憲法19条)に反することになります。
    そのため、始末書の作成を命じることはできますが、従業員が始末書の作成・提出を拒否したときは、それ以上の対応はできません

    顛末書も同様に、たとえ事実関係を報告する程度の内容を記載させるとしても、それを強制することは、思想良心の自由(憲法19条)に反する可能性があります。ただし、従業員が顛末書の作成や提出を拒否したときは、業務命令違反を理由として懲戒処分を課すことを検討してよいでしょう。

  3. (3)懲戒処分として行う場合はあらかじめ就業規則に定めておく

    従業員の懲戒処分として始末書・顛末書を提出させたい場合、あらかじめ就業規則にその旨を定めておかなければなりません
    一般的な流れとしては、戒告を行い、口頭での反省を促し、それでも問題行動が続くようであれば、けん責として始末書・顛末書の提出を求めます。

    このような処分をするには、就業規則上の根拠が必要です。規定がない場合は、自社の就業規則を見直しましょう。

  4. (4)懲戒処分の有効性を慎重に検討する

    従業員を懲戒処分とする際には、懲戒処分の必要性および相当性がなければ、違法になる可能性があります。
    顛末書・始末書の提出を命じること自体は、比較的軽微な処分です。したがって、始末書の提出を命じたことそれ自体が、処分として重すぎるといった理由で違法になるケースは少ないといえます。

    しかし、事実確認をしっかりと行うことなく懲戒処分をしてしまうと、従業員から訴えられるリスクもあるでしょう。顛末書・始末書の提出命令は、慎重に検討するようにしてください。

3、顛末書と始末書の例文・主な記載事項

以下では、顛末書と始末書の主な記載事項と、例文を紹介します。
どのような内容が提出されるのか、参考としてください。

  1. (1)顛末書の例文・記載事項

    顛末書の主な記載事項としては、以下のような項目が挙げられます。

    • 発生日時
    • 場所
    • 概要
    • 原因
    • 影響
    • 対応
    • 再発防止策
    • 見解
    など

    上記の記載事項を盛り込んだ、顛末書の例文はこちらです。

    顛末書
  2. (2)始末書の例文・記載事項

    始末書の主な記載事項としては、以下の項目が挙げられます。

    • 発生日時
    • 場所
    • 概要
    • 原因
    • 影響
    • 謝罪
    • 再発防止策
    など

    上記の記載事項を盛り込んだ、始末書の例文はこちらです。

    始末書

4、労働問題に関するご相談は弁護士へ

労働問題についてのお悩みは、弁護士に相談するのがおすすめです。
以下で弁護士に相談する3つのメリットを解説しています。

  1. (1)トラブルに備えた就業規則などの整備ができる

    従業員とのトラブルが生じると、その対応に時間や労力を割かなければなりません。企業としては、トラブルの予防という視点が重要になります。
    顧問弁護士を雇うと、以下のようなサポートによりトラブルが起きにくい環境を整備することができます。

    ① 予防法務
    顧問弁護士がいることで、いつでも気軽に相談をすることができます。
    従業員の対応で困ったことや悩みがあるときに、弁護士のアドバイスを受けることで、誤った対応によるトラブルが生じるリスクを回避できます。
    予防法務を実現するには、企業の事情を把握している、顧問弁護士の存在が非常に重要です

    ② 就業規則の見直し
    トラブルを回避するには、就業規則、雇用契約書、賃金規程などを正しく整備することが重要です。
    顧問弁護士は、企業の各種規則や規定などをチェックし、不足や不備があれば見直しを提案することができます。法的観点からも問題のない環境を整備することで、従業員とのトラブルを抑止でき、万が一トラブルが発生しても影響を最小限に抑えることが可能です。

    ③ 労働環境の整備
    顧問弁護士は、従業員が法令を遵守するための社内環境の整備や、ハラスメント防止策の整備などにも取り組むことができます。
    労働関連の法令や制度は、時代とともに改正されます。最新の法令を踏まえた対策を行うには、労働問題の経験が豊富な弁護士に依頼しましょう
  2. (2)懲戒処分を検討する場合、懲戒事由の事前チェックができる

    従業員を懲戒処分にする際には、違法な処分にならないよう慎重に進めていかなければなりません。
    弁護士であれば、懲戒処分の内容に法的な問題がないかどうかをチェックすることができます。弁護士により法的リスクが指摘された場合は、それを改善した懲戒処分を行うことで、従業員とのトラブルを回避できる可能性が高くなるでしょう。

  3. (3)万一、従業員と大きなトラブルになってしまった場合でも、法的な解決策を提案できる

    しっかりと対策をしていても、避けられないトラブルも存在します。そのようなトラブルに直面したときでも、弁護士が適切な対応をとることで、トラブルを解決へ導くことができます。

    弁護士はトラブル時の会社の代理人として対応するので、会社の負担を大幅に軽減することもできます。
    誤った対応をしてしまうと、深刻なトラブルに発展するリスクもありますので、従業員とのトラブルは、弁護士に任せるのがおすすめです

企業の労働問題の弁護士相談
初回相談 30分無料
電話でのお問い合わせ
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く
0120-127-034
営業時間 平日 9:30~18:00/土日祝除く

問題社員のトラブルから、労働裁判まで、あらゆる問題に対応!

5、まとめ

顛末書や始末書は、仕事上のミスやトラブルに関与した従業員に提出させる文書です。顛末書や始末書について、規定の整備を進めることも大切ですが、そもそも従業員に顛末書を書かせるような事態にならないよう、予防法務や健全な労働環境づくりも重要です。

各種規則や規定の法的リスクの確認も含めて、顧問弁護士に依頼しましょう。顧問弁護士の利用を検討される場合は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
初回相談30分無料まずはお問い合わせください
電話でのお問い合わせ 0120-127-034 営業時間|平日 9:30~18:00/土日祝除く
メールでのお問い合わせ
  • 内容・ご事情によりご相談をお受けできない可能性もございます。
  • ご相談者様が、法人格のない個人事業主様の場合、初回相談は有料となります。
ご相談の流れについて>

同じカテゴリのコラム

テレビCM放送中

お問い合わせ・資料請求

PAGE TOP