2025年10月27日
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無断欠勤が続く従業員は解雇できる? 何日以上? 事前準備や注意点

無断欠勤が続く従業員は解雇できる? 何日以上? 事前準備や注意点

従業員が無断欠勤を続けている場合、会社の業務に支障をきたすため、解雇をひとつの選択肢として検討されている会社もあるかもしれません。

しかし、解雇には厳しいルールが設けられており、従業員が無断欠勤をしたとしても、簡単に解雇することはできません。さらに、解雇にあたっては注意すべきポイントがあります。不当解雇として、あとから従業員に訴えられるおそれもあるため、適切な手続き方法を理解しておくことが大切です。

今回は、無断欠勤が続く従業員を解雇する際の事前準備や注意点、不当解雇として訴えられたときのリスクなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、無断欠勤が続く従業員は解雇できる?

以下では、無断欠勤を理由に従業員を解雇できるのかどうか説明します。

  1. (1)悪質な場合は解雇が認められることがある

    労働契約上の義務として、労働者には会社に対して労務を提供する義務があります。そのため、無断欠勤は、労働者としての基本的な義務に違反する行為で、労働契約上の債務不履行(義務を果たしていない)として、解雇事由に該当します

    また、多くの企業は無断欠勤を懲戒事由のひとつとして就業規則で定めているため、悪質な場合は解雇が認められる可能性もあります。
    一方で、労働者保護のため、解雇には厳格なルールが定められています。たとえば、1日無断欠勤したからといって解雇すると、不当解雇と判断されるおそれがあるため注意が必要です。解雇のルールについては、2章で詳しく解説します。

  2. (2)何日以上、無断欠勤が続いたら解雇できる?

    何日以上無断欠勤をすれば従業員を解雇できる、といった明確な定めは、法律上ありません。

    一方、過去には、14日以上の無断欠勤が続いた従業員に対する懲戒解雇を有効と判断した裁判例があります。そのため、14日以上の無断欠勤が、解雇をするひとつの目安となるでしょう。
    実際、多くの企業が就業規則に「14日以上の無断欠勤が続いた場合、自然退職とみなす」といった規定を設けています。14日という期間は、従業員の状況確認や連絡を試みるための期間として十分な時間と判断されます。

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2、無断欠勤で従業員を解雇するには、事前準備が必要

無断欠勤が続く従業員を解雇にするためには、事前準備が欠かせません。不当解雇と判断されないための注意点についても解説します。

  1. (1)解雇は最終的な手段! まずほかの手段を検討する

    解雇は、雇用契約上の処分ではもっとも重い処分であり、従業員に重大な不利益を及ぼすため、あくまでも最終手段として行うべきです。そのため、解雇をする前に、まずは以下のような手段を検討するようにしてください。

    ① 本人に連絡をとって出勤を促す
    まずは電話やメールなどで、無断欠勤をする従業員本人に連絡を試みましょう。
    本人と連絡が取れたら、無断欠勤している理由を確認し、その理由に正当な理由がないようであれば出勤を促すようにしましょう。他方、従業員が無断欠勤の理由として、職場でのパワハラやセクハラ、長時間労働を原因としたうつ病などを挙げることもあるかもしれません。その場合は、無断欠勤をすることに正当な理由があるとして、解雇すると不当解雇と判断されるリスクが高くなります。
    このように、理由によって今後の対応が変わるため、従業員が無断欠勤をした場合、なるべく早く本人への連絡を行ってください

    ② 解雇よりも軽い処分を検討する
    無断欠勤に正当な理由がないときは、懲戒処分を含めた何らかの対応を検討しましょう。しかし、処分の中でももっとも重い解雇をいきなり命じると、不当解雇と判断されるリスクがあります。
    そのため、処分をする場合は、まずは指導改善の努力をするなど段階的に行うようにしましょう。

    ③ 退職勧奨を行う
    退職勧奨とは、従業員に対して退職を促す行為のことです。退職に応じるかどうかは従業員の意思に委ねられているため、退職勧奨だけでは退職を強制することができません。しかし、従業員が退職に応じてくれれば、合意退職として処理できるため、不当解雇として争われるリスクを減らすことが可能です。
    そのため、たとえ解雇がやむを得ない場合であっても、まずは退職勧奨による合意退職を目指すべきでしょう。
  2. (2)無断欠勤の従業員を解雇する際の注意点

    無断欠勤を続ける従業員を解雇したい場合、先述のとおり、いきなり解雇を命じるとリスクがあります。また、不当解雇と判断されないよう、以下の点にも注意すべきです。

    ① 本人への連絡や改善指導を記録に残しておく
    解雇を進める前に、従業員に対して出社を命じたり、態度を改めるよう注意・指導を行ったりする必要があります。
    これらの対応をしたことは、解雇の有効性の判断にあたって重要な要素となります。もしも後日、従業員から不当解雇として争われたとしても、会社側の正当性を立証できるように、本人へ連絡した日付や、改善指導の内容を記録として残しておくようにしましょう。

    ② 解雇を決定したら解雇予告または解雇予告手当の支払いが必要
    解雇を決定したら、解雇日の30日前までに本人への解雇予告が必要になります。また、解雇予告期間が30日に満たない場合は、不足する日数分の平均賃金に相当する解雇予告手当の支払いが必要です。

    ③ 従業員が反省の態度を示したときは解雇ではなくしばらく様子をみる
    従業員が反省の態度を示して会社に出社してきたときは、解雇を行わず、対応方法を再検討してください。反省の態度を示している状況にもかかわらず解雇をすると、不当解雇と判断されるリスクが高まるため、注意が必要です。
    ただし、その後も無断欠勤を繰り返すようであれば、懲戒解雇を検討してみてもよいでしょう。

3、訴えられるおそれも! 不当解雇とされた場合に企業が負うリスク

従業員から解雇について訴えられてしまい、無断欠勤を理由とする懲戒解雇が不当解雇であると判断された場合、企業には以下のようなリスクが生じます。

  1. (1)復職を認めなければならない

    不当解雇と判断されると解雇は無効になるため、企業は解雇した従業員が職場復帰を希望すれば、復職を認めなければなりません
    不当解雇のトラブルがあった従業員が復職すると、その従業員に気を遣い、ほかの従業員がコミュニケーションを避ける可能性もあります。これにより従業員間で協力しにくくなると、職場の雰囲気が悪化し、ほかの従業員のモチベーションが低下するなどのリスクが生じてしまいます。

  2. (2)解雇期間中の賃金の支払いを要する

    不当解雇と判断されると、解雇が無効になり、解雇日以降の賃金が未払いの状態になります。そのため、解雇した従業員に対して、未払い賃金の支払いをしなければなりません
    不当解雇のトラブルが裁判にまで発展した場合、解決までに1年以上の期間を要することもあります。そのようなケースでは、未払い賃金の額も高額になるため、企業の負担も大きくなってしまいます。

  3. (3)多額の解決金の支払いを求められる

    不当解雇として訴えられた際、従業員は復職を希望しないこともあるでしょう。そのような場合は、復職しない代わりに、多額の解決金の支払いを求められる可能性があります

    企業としても、対象の従業員の復職を認めるより、金銭的解決を図ったほうが、職場の雰囲気の悪化を防げるなどのメリットがあるため、十分検討の余地があるでしょう。しかし、提示される解決金の金額によっては、大きな負担を感じるかもしれません。

    解雇した従業員から訴えられ、不当解雇と判断された場合、企業には上記のようなリスクが生じます。そのため、懲戒解雇の判断は慎重に行うようにしてください。

4、従業員を解雇したいときは、事前に弁護士へ相談を

従業員を解雇する場合、不当解雇として訴えられるリスクがあるため、事前に弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)解雇が適切かどうか法的視点から判断できる

    無断欠勤を理由とする懲戒解雇は、無断欠勤の日数だけでなく、無断欠勤の頻度・回数、無断欠勤理由、無断欠勤後の態度などを総合的に考慮して判断しなければなりません。
    また、解雇の有効性は法的観点からの検討が不可欠です。不当解雇のリスクを最小限に抑えるためにも、事前に弁護士に相談するようにしましょう。

    弁護士に相談をすれば、解雇の有効性や、リスクを回避しながら懲戒解雇を進める手順などについてアドバイスを受けることができます

  2. (2)万が一従業員から不当解雇として訴えられた場合、法的手続きを任せられる

    従業員が、無断欠勤を理由に解雇されたことに対して納得できないときは、会社を相手に不当解雇の訴えを起こすおそれがあります。

    先述のとおり、適切に対応するためには弁護士に依頼することをおすすめしますが、より迅速かつ適切に解雇を進めるためには、顧問弁護士の利用を検討しましょう。顧問弁護士は、企業の日常的な相談に対応するため、企業が抱える問題や実情をよく把握しています。そのため、不当解雇のトラブルが生じたときでも、企業の実情を踏まえた対応が可能です。
    無断欠勤を続ける従業員の解雇を検討する場合、この機会に顧問弁護士の利用を検討してみるとよいでしょう

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5、まとめ

従業員の無断欠勤が14日以上続くようであれば、解雇も選択肢のひとつとなります。ただし、解雇には厳格なルールが設けられているため、安易な解雇は不当解雇として争われるリスクがある点に注意が必要です。
解雇の有効性を判断するには、専門家である弁護士のアドバイスやサポートが欠かせません。問題社員の対応でお悩みの場合は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
この記事の監修者
杉山 大介
杉山 大介  弁護士
ベリーベスト法律事務所
所属 : 第二東京弁護士会
弁護士会登録番号 : 59418
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