2025年06月05日
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アルコールチェック義務化とは? 対象事業所や必要な対応などを解説

アルコールチェック義務化とは? 対象事業所や必要な対応などを解説

乗車定員10人以下の自動車を5台以上、乗車定員11人以上の自動車を1台以上保有している事業所では、アルコールチェックが義務化されています。以前は、目視でのアルコールチェックで足りましたが、令和5年12月1日からは、目視でのアルコールチェックに加えて、アルコール検知器によるチェックも義務付けらました。

アルコールチェックを怠ると、是正措置命令の対象になったり、刑事罰の対象になることもありますので、対象事業者は、適正に対応していかなければなりません。

今回は、アルコールチェックの義務化の内容、アルコールチェックを行った場合の罰則、アルコールチェック義務化に関して企業がすべきことなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、アルコールチェック義務化とは

アルコールチェックはどのような事業所で義務付けられているのでしょうか。以下では、アルコールチェック義務化の変遷と対象となる事業所について説明します。

  1. (1)アルコールチェック義務化の変遷

    アルコールチェックの義務化は、平成23年5月1日から運送業や旅客運送業などの緑ナンバー事業者を対象に開始されました。

    しかし、令和3年6月28日、千葉県八街市で飲酒運転のトラックが下校中の小学生の列に突っ込み、5人が死傷するという悲痛な事故が発生しました。加害者のトラックは、白ナンバーで、アルコールチェック義務化の対象外となっていました。
    この事故をきっかけに白ナンバーの運転者にもアルコールチェックの必要性が認識されるようになり、令和4年4月施行の改正道路交通法施行規則により営業用自動車(緑ナンバー)だけでなく、自家用自動車(白ナンバー)を一定数以上保有する事業者にもアルコールチェックが義務化されるようになしました。

    さらに、令和5年12月1日からは、アルコール検知器によるアルコールチェックが義務付けられるようになりました。

  2. (2)アルコールチェック義務化の対象となる事業所

    アルコールチェック義務化の対象となる事業所は、以下のいずれかに該当する事業所になります。

    • 乗車定員が10人以下の自動車を5台以上使用している事業者
    • 乗車定員が11人以上の自動車を1台以上使用している事業者

    運送業やタクシー事業者だけではなく、営業などで使用する社用車を5台以上保有している場合もアルコールチェックの義務化の対象です。このような条件に該当する事業所では、アルコールチェックを行う「安全運転管理者」の設置が義務付けられます。

    また、自動車の台数が20台以上40台未満の場合は、「副安全運転管理者」を1人選任しなければなりません。さらに、自動車の台数が40台以上だと20台ごとに1人の副安全運転管理者を追加する必要があります。

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2、アルコールチェックのやり方と注意点

アルコールチェック義務化の対象事業者では、どのような方法でアルコールチェックを実施すればよいのでしょうか。以下では、アルコールチェックのやり方と注意点を説明します。

  1. (1)業務開始前後に実施

    アルコールチェックは、業務の開始前と業務の終了後の2回行う必要があります。

    ただし、運転者が直行直帰するような場合は、安全運転管理者による直接的なアルコールチェックが困難ですので、以下のような方法でアルコールチェックをすることも認められています。

    • カメラやモニターで運転者の顔色を目視し、アルコール検知器による測定結果の確認をする方法(IT点呼型)
    • 業務無線や携帯電話など運転者と直接対話できる方法で声の調子を確認し、アルコール検知器による測定結果の確認をする方法(電話点呼型)
  2. (2)目視およびアルコール検知器でのアルコールチェック

    アルコールチェックは、目視およびアルコール検知器による方法で行います。

    目視による方法では、安全運転管理者が運転者の顔色、呼気のにおい、身体の動き、声の調子などを直接観察し、運転者が酒気を帯びていないか確認します。

    なお、安全運転管理者が不在などの理由で、安全運転管理者によるアルコールチェックが難しい場合は、副安全運転管理者またはその補助者によりアルコールチェックを行わせることができます。

  3. (3)アルコールチェックの内容を記録

    アルコールチェックを実施したときは、以下の8つの項目について記録する必要があります。

    • ① 認者名
    • ② 運転者名
    • ③ 運転者の業務に係る自動車登録番号または識別できる記号、番号等
    • ④ 確認の日時
    • ⑤ 確認の方法
      ・アルコール検知器の使用を記載
      ・対面でない場合はビデオ通話などの具体的な確認方法を記載
    • ⑥ 酒気帯びの有無
    • ⑦ 指示事項
    • ⑧ その他必要な事項
  4. (4)アルコールチェックの記録内容を一定期間保存

    アルコールチェックの結果を記録したものについては、1年間保存をする必要があります
    保存の方法は、紙媒体とデータのどちらでも構いません。

3、アルコールチェックを怠った場合の罰則

アルコールチェックを怠った場合、以下のような罰則を科されるリスクがありますので注意が必要です。

  1. (1)安全運転管理者の選任を怠った場合の罰則

    安全運転管理者および副安全運転管理者の選任義務を負う事業者が安全運転管理者および副安全運転管理者の選任を怠った場合、違反者と法人の双方に50万円以下の罰金が科されます。

  2. (2)適切にアルコールチェックを行わなかった場合は是正措置命令の対象

    アルコールチェックを怠ったことに対する直接的な罰則はありませんが、適切にアルコールチェックをしていないことが公安委員会に判明すると、是正措置命令が出され、是正措置命令にも従わなかったときは、50万円以下の罰金が科されることがあります。

  3. (3)従業員が飲酒運転をした場合の罰則

    アルコールチェックを怠り、従業員が飲酒運転をした場合には、飲酒運転をした従業員個人に以下のような刑罰が科されます。

    • 酒酔い運転をした場合:5年以下の懲役または100万円以下の罰金
    • 酒気帯び運転をした場合:3年以下の懲役または50万円以下の罰金

    なお、飲酒運転をするおそれがあるものに車両を提供する行為についても刑事罰が科されています。アルコールチェックが義務化されている現在、飲酒状態だとわかって提供したと評価されると事業者も責任を問われかねません。

4、アルコールチェック義務化に関して企業がすべきこと

アルコールチェック義務化に関して、対象となる企業は、以下のような対応が求められます。

  1. (1)安全運転管理者の選任

    以下のいずれかの条件を満たす事業者は、安全運転管理者の選任が必要です。

    • 乗車定員が10人以下の自動車を5台以上使用している事業者
    • 乗車定員が11人以上の自動車を1台以上使用している事業者

    また、自動車の台数が20台以上の場合は、副安全運転管理者の選任も必要になります。
    安全運転管理者および副安全運転管理者を選任したときは、15日以内に都道府県公安委員会に届出を行うようにしましょう。

  2. (2)アルコール検知器を準備

    令和5年12月1日からは、目視でのアルコールチェックに加えて、アルコール検知器によるチェックも義務化されました。そのため、対象事業者は、呼気中のアルコールの有無および濃度を警告音・警告灯・数値などで表示する機能を有するアルコール検知器(アルコールチェッカー)を準備しなければなりません。

  3. (3)計測結果の記録と保存

    アルコールチェックの結果は書面またはデータで記録し、1年間保存しなければなりません。
    従業員が多くなると記録も膨大になりますので、事業所内で計測結果の作成・保管マニュアルを整備して、適切に管理していくようにしましょう。

  4. (4)検知器をいつでも使用可能な状態にしておく

    アルコール検知器は、正常に作動する状態を常に維持しておかなければなりません。
    定期的に故障や不具合の有無を確認する、耐用年数を経過している場合には買い替えを検討するなどの対応が必要になります。

  5. (5)適法な会社体制にするためには顧問弁護士の利用がおすすめ

    令和6年(2024年)4月から運送業の時間外労働の上限が年960時間に制限されています。これにより、運送業では「2024年問題」といわれる売上の減少、ドライバーの収入減少、ドライバー不足などの問題が発生しています。また、長時間労働が常態化している運送業では、ドライバーから未払い残業代請求をされるリスクも潜んでいます。

    法改正は随時行われているため、適法な会社体制にするためには、常に弁護士に相談できる環境にしておくことが必要です。それには日常的に気軽に相談できる顧問弁護士の利用がおすすめです。運送業が抱える法的なトラブルの顕在化を回避するためにも、顧問弁護士の利用を検討するようにしましょう。

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5、まとめ

令和5年12月1日から目視でのアルコールチェックに加えて、アルコール検知器によるチェックも義務化されました。対象となる事業所は、営業用自動車(緑ナンバー)だけでなく、自家用自動車(白ナンバー)を一定数以上保有する事業者も含まれますので、対象に含まれる企業は、適切に対応していかなければなりません。

法改正を踏まえた体制の整備を検討中の事業者の方は、顧問弁護士による法的サポートが有効になりますので、まずはベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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