墓地を新設または拡張する際には、都道府県知事の経営許可を受ける必要があります。
経営許可を受けた後も、法律のルールに従って墓地を経営しなければなりません。弁護士のサポートを受けながら、適切に墓地経営を行いましょう。
本記事では、墓地の経営許可を受けるまでの手続きの流れや、墓地経営に関する注意点などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
墓地経営に関するルールは「墓地、埋葬等に関する法律(通称:墓埋法)」によって定められています。
「墓地」とは、墳墓(死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設)を設けるために、墓地として都道府県知事の許可を受けた区域のことです(墓埋法第2条第4項)。
埋葬(=死体を土中に葬ること)または焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に行ってはならないものとされています(同法第4条第1項)。
墓地経営には、都道府県知事の許可が必要です(同法第10条第1項)。墓地の区域を変更し、または墓地を廃止しようとする場合も、同様に都道府県知事の許可が必要です(同条第2項)。
したがって、宗教法人が墓地を新設・拡張する際には、都道府県知事にその許可を申請する必要があります。
墓地の経営許可に関する手続きや審査基準は、各都道府県の条例によって定められています。設置を予定している都道府県の条例をふまえて準備を進め、墓地の経営許可を申請しましょう。
本章では、東京都の条例を基に、墓地の経営許可を受けるまでの流れを解説します。条例の内容は、都道府県によって異なる点にご留意ください。
まずは、墓地の設置場所や運営方法を検討する必要があります。検討に当たっては、適用される都道府県の条例を踏まえなければなりません。
東京都の条例では、墓地の設置場所および構造設備基準について、以下の事項が定められています。
「墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例」(東京都)第6条、第7条より抜粋
墓地の経営許可に関しては、さまざまな側面から審査が行われます。
スムーズに審査を行ってもらうためには、都道府県の担当者へ事前相談をすることが望ましいです(事前相談を必須としている地域もあります)。設置を予定している地域の窓口へ事前相談を申し込みましょう。
東京都の場合は、以下の窓口が墓地の経営許可を管轄しています。
東京都の条例では、墓地の経営許可を申請する前に、以下の手続きを行うことを義務付けています。
経営許可申請にせんだって必要な手続きは都道府県によって異なるので、条例の規定をよく確認しましょう。
墓地の経営許可を申請する際には、都道府県の窓口へ申請書と添付書類を提出する必要があります。必要に応じて弁護士のサポートを受けながら、漏れのないように必要書類を準備しましょう。
東京都の場合は、以下の書類の提出が必要です。
墓地の経営許可申請が受理された後、墓地の工事を始めます。工事が完了したら、保健所に工事完了届を提出します。
工事の完了後、保健所の担当者によって施設検査が行われます。施設検査では、申請書類と工事完了後の墓地に相違がないかどうかがチェックされます。
設置場所や構造設備基準の要件を満たしていて、問題ないと判断された場合には、墓地の経営許可が行われます。許可を受けると、埋葬や焼骨の埋蔵を受け入れられるようになります。
宗教法人が墓地を経営する際には、特に以下に挙げるポイントに注意を要します。
墓地経営の主体は、市町村等の地方公共団体・宗教法人・公益法人などに限られています。
したがって、株式会社などの営利企業は墓地経営の許可を受けられませんが、大規模な墓地を設置したうえで区画販売を行おうとする営利企業もあるようです。
営利企業は、墓地経営を行うために宗教法人へ名義貸しを依頼するケースがあります。
しかし、墓地経営の名義貸しは行政指針で禁止されており、発覚すれば許可取り消しの対象になり得ます。営利企業から墓地経営の名義貸しを依頼されても、絶対に応じてはなりません。
墓地の管理者は、埋葬や焼骨の埋蔵(=埋葬等)の求めを受けたときは、正当の理由がなければ拒むことができません(墓埋法第13条)。
正当の理由がないのに埋葬や焼骨の埋蔵を拒否すると、行為者は「2万円以下の罰金または拘留もしくは科料」、管理者である法人は「2万円以下の罰金」に処されます(同法第21条第1号、第22条)。
埋葬等を拒否する正当な理由としては、以下の例が挙げられます。
なお墓地によっては、使用者が改宗した際には使用権を失う旨を定めているケースがあるようですが、裁判になれば他の宗教の信者であることは、埋葬等を拒否する正当の理由に当たらないとされる可能性もあります。
ただし、埋葬等に関する典礼の方式まで、使用者の一方的な要求に応じる義務はありません。あくまでも宗教法人のルールや慣例に従って埋葬等を行えば足ります。
墓地の管理者は、以下の図面・帳簿・書類を備える必要があります(墓埋法第15条、墓埋法施行規則第6条・第7条)。
宗教法人が墓地を経営するに当たっては、経営許可の申請や、許可を受けた後の経営方法に関して多くの注意点が存在します。法律の規定を守りながら適切に墓地経営を行うためには、弁護士のサポートが欠かせません。
弁護士と顧問契約を締結すれば、墓地経営に関するルールや手続きなどについて、いつでも相談することができます。墓地の新規経営や拡大を検討している宗教法人は、弁護士との顧問契約をご検討ください。
宗教法人が墓地を設置または拡大する際には、都道府県知事の許可を受けなければなりません。また、許可を受けた後にも、墓地経営に関して法律上の規定を順守する必要があります。弁護士のサポートを受けながら、適切な形で墓地経営を行いましょう。
ベリーベスト法律事務所は、宗教法人の運営に関するご相談を随時受け付けております。墓地経営に関する悩みを抱えている宗教法人は、当事務所へご相談ください。
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