企業法務コラム

2020年09月18日
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事業承継は弁護士に依頼するべき! 事業承継で弁護士ができる9つのこと

事業承継は弁護士に依頼するべき! 事業承継で弁護士ができる9つのこと

経営者にとって、後継者に会社を継がせる「事業承継」は非常に重要な課題です。

最近では事業承継がスムーズに進まず廃業に追い込まれる優良な中小企業も多く、社会内でも問題視されています。

事業承継は非常に時間もかかり複雑な手続きが必要なので、弁護士に依頼してスムーズに進めましょう。今回は事業承継を考えている方へ、事業承継において弁護士ができることをご紹介します。

1、事業承継とは?

事業承継とは、会社などの事業経営を後継者へ継がせることです。
株式会社だけではなく、病院や歯科医院や動物病院、飲食店や小売業、個人商店などでも経営者が高齢化すると、事業承継を検討することは避けられません。
事業承継にはいくつかの手法があります。具体的には子どもなどの親族に継がせる親族内承継と、従業員や役員に継がせる従業員承継他社へ事業を売却するM&Aの3種類です。

● 親族内承継
子どもなどの親族に継がせる場合には、株式や事業用資産を贈与したり相続させたりします。

● 従業員承継
従業員や役員に継がせる場合には、後継者から現在の経営者へ事業や株式を買い取らせるのが通常です。

● M&A
M&Aの場合、株式譲渡や事業譲渡などの方法で会社を別会社へ売却します。

事業承継を成功させるには、まずは状況に応じた適切な手法を選択する必要があります。

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2、なぜ事業承継が大切なのか?

  1. (1)事業承継に失敗すると廃業のおそれが高まる

    事業承継をしないと、せっかくの優良な事業が廃業に追い込まれる可能性が高まります。廃業すると、会社の物理的な資産はもちろんのこと、特許などの知的財産や研究開発の結果や過程、これまで培ってきた会社への信頼などの見えない資産もすべて失われます。

  2. (2)事業承継には時間がかかるので準備をしておく必要がある

    事業承継には、手続きなどに相当の時間がかかります。そのため、事業承継を進めている最中に経営者が倒れてしまったり、認知症にかかったりするなどの不意の事態が生じてしまい、事業の継続に大きな支障が生じてしまうことがあります。これらのリスクを考えると、準備は早めにしておいたほうがよいでしょう。

    事業承継の準備には、以下のようなものがあります。

    ● 現状把握
    会社のキャッシュフローや知的財産、物理的な資産や負債の状況、現状や将来の見込みについて把握する必要があります。また株式の保有状況や経営者の個人資産の状況も把握しなければなりません。

    ● 承継方法や後継者の選定
    親族内承継をするのか従業員承継をするのかM&Aを利用するのかを決めて、具体的に誰に承継させるのかも決定する必要があります。

    ● 事業承継計画の作成
    具体的にいつどのようなことを行って事業承継を進めていくのか、事業承継計画を策定する必要があります。

    以上のように事業承継には綿密な準備と計画が必要なので、できるだけ早めに対応を開始すべきです。

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3、事業承継において弁護士ができる9つのこと

事業承継の際、弁護士は以下のようなサポートを行います。

  1. (1)会社の現状調査と事業承継計画の立案

    事業承継を行う際には、はじめに、会社の現状把握を行い、事業承継計画の策定をすることになります。弁護士が会社資産、負債の状況や株式の保有状況、相続人の関係などの調査を行ったうえ、状況に応じた事業承継計画を作成します。

  2. (2)株式の承継をサポート

    株式会社においては、多くの株を保有する株主が様々な決定権を持つことになります。そのため、事業承継では、株式の承継が非常に重要です。その際、後継者以外の相続人による遺留分対策も行いながらなるべく後継者へ株式を集中させることを策定します。このとき、贈与税や相続税に対する配慮もすることになります。
    弁護士は、中小企業の株式贈与や相続に認められる納税猶予制度を利用したり、遺言書を活用したりして、最適な方法で後継者候補に会社株式を集中させることを検討することをサポートします。

  3. (3)遺産相続トラブルを発生させない

    事業承継の際には、現在の経営者の相続人たちが遺産相続トラブルを起こしてしまうことが多くみられます。後継者へ遺産を集中させると、他の相続人が遺産の分割方法に納得しないとして、相続人同士でトラブルが生じたり、遺留分の請求がされるなどのトラブルが生じかねません。
    このようなトラブルが生じないように、弁護士は、「遺留分特例」を用いて「株式については遺留分請求をしない合意」をとりつけたり、遺言書作成をサポートして弁護士自ら遺言執行者となったり、生前贈与についてのアドバイスを行ったりして、遺産相続トラブルを最小限に食い止めます。

  4. (4)金融機関との交渉

    事業承継を行うとき、現在の経営者が会社借入を個人保証しているケースがあります。その場合、金融機関は後継者にも個人保証の引継ぎを求める可能性があります。しかしそうなると後継者候補が承継を躊躇し、事業承継が困難となってしまう可能性があります。
    弁護士は金融機関との間で、承継者には個人保証をつけないように交渉します。

  5. (5)取引先との契約書の整備

    中小企業は通常たくさんの取引先と継続的に取引をしているものですから、事業承継の際には契約関係の引継ぎも必要です。
    契約関係があいまいな場合には、事業の承継に伴って突然に契約が解除されたり、契約内容がいつのまにか都合よく改変されてしまったりするおそれもあります。そのため、契約書が整備されていない場合には、弁護士が事業承継を機会にきっちり整理して後継者がスムーズに事業経営に入っていけるようにサポートします。

  6. (6)後継者育成についてのサポート

    これまで経営経験のない相続人などが後継者となるときには、後継者の育成が必要です。しかしながら、現在の経営者が毎日忙しくしながら個別に教育指導を行うことは現実的ではありません。
    弁護士は、研修を開いたり、個別指導を行ったりして後継者の育成を計画することもあります。たとえば「従業員への指導の方法」「労務関係の法律解説」「問題社員やクレームへの対処方法」などをお伝えして、後継者がスムーズに経営に算入していけるよう準備を整えます。

  7. (7)労務管理体制の整備

    後継者が事業承継後にスムーズに会社経営を行うには、社内の労務管理体制が確立されている必要があります。
    労使関係については法改正なども頻繁に行われており中小企業などでは現状の体制が不十分なケースも多いので、弁護士が体制作りからサポートします。
    たとえば、就業規則や退職金規程、雇用契約書などを整備したり、セクハラパワハラ対策、労災防止対策などについて助言、実行したりします。このことで後継者がスムーズに事業承継しやすくなります。

  8. (8)M&Aに関するサポート

    事業承継の手法として「M&A」を利用するケースがあります。M&Aとは、株式譲渡や事業譲渡などの方法で会社を売却し、別会社に事業を引き継いでもらう方法です。

    事業承継M&Aを利用する場合には一般的にM&A仲介会社にサポートを求めるものですが、弁護士も法務デューデリジェンスを行ったり、M&A仲介会社との契約内容や相手企業との契約内容などについてアドバイスを行ったりしてサポートします。

  9. (9)民事信託の活用

    事業承継の際「民事信託」を活用する方法があります。民事信託とは、ある特定の人に資産を預けて管理を任せる契約です。
    事業承継で民事信託を活用する場合には、会社株式を後継者に託します。このように財産を託される人を「受託者」といいます。そして株式の配当金などを受け取る「受益者」を後継者とした上で、現在の経営者が死亡したときには株式が確定的に後継者に帰属するよう設定します。
    現在の経営者の生前は、現在の経営者に「指図権」を残します。指図権を残すことにより、議決権行使の具体的な指示権は現在の経営者に残るので、現在の経営者は会社経営への関与を続けることが可能となります。
    このように、現在の経営者が会社経営に関与しながらも実質的に株式を後継者に譲り、後継者を確定できるのが民事信託のメリットです。

    民事信託契約の設定は非常に複雑です。弁護士は、複雑な契約について誤りがなく、経営者の意図どおりの事業承継ができるように、適切な契約内容の策定や確認を行うことになります。

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4、事業承継を行うタイミングは?

毎日忙しくされている中小企業経営者は、「事業承継を行わねば」と思いつつもなかなか着手できずに放置してしまうケースが多々あります。しかし事業承継は、なるべく早いタイミングで行うべきです。

  1. (1)最低でも3年はかかる

    事業承継にはさまざまな準備と検討が必要です。これまでに説明をした方法のうち、どのような方法をとるのが適切か(事業承継のスキームの検討)を考えたのちに、実際の後継者の選定をすることになります。そして、適切な後継者がいない場合には、後継者を育成から始めなければなりません。取引先や従業員などの会社関係者へ説明をして理解を求めることに時間を要する場合もあるでしょう。
    もしも、当初に定めた計画がうまくいかずに頓挫してしまった場合には、別のスキームを検討しなければなりません。たとえば子どもに承継させようとしていたけれど、子どもに経営者としての特性がないと分かって、M&Aに切り替える場合、従業員に承継させようとしたけれど資金不足で株式買取が困難となったためにM&Aに切り替える場合などです。
    こうした可能性を考えると、事業承継には最低でも3年はかかると考えましょう。

  2. (2)親族内承継なら10年かかることも

    親族内承継で子どもに経営の経験がない場合では、後継者育成の時間も足して事業承継計画を検討せねばなりません。社内や取引先に周知したり金融機関と交渉をしたりする必要もあります。一般的には10年はみておくべきといわれています。

  3. (3)気になるならすぐにでも開始すべき

    このように、事業承継には非常に長い時間がかかります。それにもかかわらず、途中で現在の経営者が倒れてしまうと、事業承継が頓挫して混乱が生じてしまいます。事業承継ができないときには、経営を継続すること自体、困難になる場合もあり、倒産をしなければならない場合も生じます。「事業承継した方が良いのではないか?」と少しでも気になっているなら、「そのときに対応を開始すべき」と言えるでしょう。
    年齢的には「現在の経営者が60歳に差し掛かった」なら、早急に開始するのが良いと考えられます。もちろんそれ以前に準備を進めても全く問題はありません。

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5、まとめ

事業承継で会社の経営権をスムーズに移譲するには、弁護士の力が必要です。特に株式の贈与、相続、遺留分対策、労務管理や契約関係の整備など、法務対策は弁護士に依頼するのが最善です。ベリーベストには弁護士だけではなく税理士や司法書士も所属しているので、税金関係は税理士、商業登記関係は司法書士に任せることができ、ワンストップでの対応が可能です。
適切なタイミングで事業承継のご相談をいただくことで、意図しない形で廃業になったり、ご尽力をされ育った優良な事業が今後も発展を続けさせることが可能になります。事業承継についてご検討される際には、ぜひ弁護士をご活用ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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