企業法務コラム
現在、法務省では民法の改正について活発な議論がされています。民法は、不動産取引のもっとも基本になる法律ですから、不動産業務に携わる方にとって重要な関心事となるところです。
しかしながら、議論されている膨大な資料やニュースにいちいち目を通して確認をしている時間が少ないのではないかと思います。
今回は、民法改正のうち、不動産業務に関係がある「不動産の売買契約」と「不動産の請負契約」にスポットをあてて、重要な部分を解説していきたいと思います(以下は現在議論をされている内容をもとに解説を加えたものなので、今後修正がされる可能性があることをご了承ください)。
みなさんにおなじみの「瑕疵」という文言はなくなります。その代わりに、「目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない」という文言に置き換えられることとなります。
また、現行民法上の売買契約においては、瑕疵は「隠れている」ことが要件になっていますが、改正民法では、この「隠れた」という要件もなくなります。もっとも、住宅品質確保法と住宅瑕疵担保履行法においては、「瑕疵」という用語が残ることになります。
現行民法では、建物の請負契約については、合意解約は除いて、瑕疵を原因とした解除は、原則として認められていません。しかし、改正民法においては、瑕疵を原因とした解除も認められることになります。
現行民法においては、売買の目的物に瑕疵があった場合、買主は、損害賠償の請求か契約の解除しか選択することができません。しかしながら、改正民法においては、売買の目的物の修補を求めることなども可能になります。また、売買代金の減額請求も可能になります。
また、現行民法において、請負の目的物に瑕疵があった場合、注文者は代金の減額を請求することはできませんが、改正民法ではこれが可能になります。
現行民法では、売買については、買主が瑕疵の存在を知った時から1年、請負については、土地及び非堅固建物については引渡しから5年、堅固建物については引渡しから10年とされています。
この規定が、改正民法においては、買主、注文者が瑕疵の存在を知った時から、1年となります。
皆さまご存じのとおり、宅地建物取引業法等の一部の強行規制を除いて、当事者間で特約を定めれば、民法に優先して適用されます。したがって、民法がストレートに適用される場面は少ないかもしれません。
しかしながら、例えば、契約書に記載を漏らした場合や、契約書を取り交わしていない場合(簡易なリフォームを依頼された場合)などは、原則に戻って民法が適用されることになります。そのような場面に備えて、改正民法がどのような規定になるかは、頭に片隅に入れていただきたいところです。
当事務所の弁護士は、このような民法改正を踏まえて、契約を今後どのように進めていくべきか?などのご相談にも応じておりますので、これから不動産取引や契約書の作成をされるにあたって不安なことがある場合は、当事務所の弁護士にご相談ください。
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