企業法務コラム

2024年11月06日
  • 集団訴訟
  • アメリカ

海外ECサイトを利用するネット販売業者に対する、アメリカでの集団訴訟

海外ECサイトを利用するネット販売業者に対する、アメリカでの集団訴訟

2024年に入って、海外ECサイト(AmazonやeBay等)で商品を販売している会社に対し、アメリカの会社から、販売している商品の商品名が商標権を侵害している(平たく言うと、商品名を「パクっている」)こと等を理由として損害賠償を請求する裁判(集団訴訟)が、毎月少なくとも100件は起こされています。

ただ、裁判の内容を見てみると、必ずしも「パクっている」とはいえないようなケースでも裁判が起こされており、きちんと対応すればECサイトのアカウントやアカウント内の資産を凍結されなくて済んだのではないかというケースも見られます。

この記事では、海外ECサイトで商品を販売している日本の会社に対してアメリカで起こされた集団訴訟への対応経験のある弁護士が、集団訴訟とはそもそもどのようなものなのか、アメリカで集団訴訟を起こされてしまった場合にはどのように対応すれば良いのかを、解説します。

1、海外ECサイト出品者への訴訟提起|その背景と注意点

  1. (1)現在、アメリカで起きているアジア人セラーへの集団訴訟

    この記事で解説する集団訴訟(class action)とは、紛争を1回の裁判でまとめて解決するために、複数の人や会社に対する訴訟をひとつの裁判手続きの中でまとめて行う、アメリカの法律上の裁判のやり方をいいます。
    実際に行われている集団訴訟の例としては、AmazonやeBayといったプラットホームで模造品を販売している数百の出品者を、アメリカの法律事務所が代理人となって、アメリカの裁判所で同時に訴えています。

    元々、このような集団訴訟は、アメリカの会社の商標権を守るために考案されました。
    商標権を守りたい会社としては、多くの模造品販売業者をひとまとめに被告とすることで、訴訟をする際の時間と費用を節約できるため、結果として訴訟がしやすくなるのです。

    しかし、このような集団訴訟の件数が増えていくにつれて、商標権を本当に侵害しているのか疑わしい場合でも、とりあえず集団訴訟を提起しておくことで、AmazonやeBay等のECプラットホームサイト運営会社に、模造品販売業者のアカウントや売上金口座の凍結を求めたり販売業者と和解して高額な和解金を支払わせる手段として、集団訴訟が使われているのではないかと思われる例も出てきているようです。

  2. (2)集団訴訟を起こされた場合、対応が必須

    集団訴訟が起こされた後、裁判所は、裁判の終了までの間に模造品販売業者が新たな模造品を販売できないよう、ECサイトのアカウントを仮で凍結したり、販売業者がECサイトの売上金口座からお金を逃がしてしまわないように売上金口座を仮で凍結するケースが大半です。

    また、集団訴訟が起こされた後、何もしないでいると、アメリカの裁判制度にも日本と同じように欠席判決、つまり、何もしない当事者は反論がないものとして敗訴させられる制度がありますから、凍結されたアカウントが永久に凍結されたままになったり、売上金口座に入っていた売上金が没収されることとなります

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2、訴えられる基準はあるのか

まだ訴えられていない人は訴えられてしまうのか、すでに訴えられた人はどんな基準に引っ掛かったのか、気になる方が多いと思われます。

それでは、何かしらの基準があるのでしょうか。

訴えられている事例を見ると、訴えている会社も訴えられている会社も、業種も規模も販売している商品もさまざまで、訴えられている理由も商標権侵害に限らず、著作権侵害や特許権侵害といった他の知的財産権のケースもあり、多種多様です。
このため、どんな会社様であっても、集団訴訟の対象とはなりうると思います

3、訴えられたら、すぐに行動を

  1. (1)和解を目指し、すぐに弁護士へ相談

    海外ECサイトを利用するネット販売業者が訴えられた場合の解決方法は大きく3つで、判決、和解、相手方の取り下げです。

    訴えられたのに和解?と思われるかもしれませんが、裁判になった後でも訴えられた側の弁護士から連絡することで、和解できることが多くあります。
    訴えた側からすると、裁判がまだ初期段階で、有利な決定等も出ていない状況ですと、早期に和解できると比較的和解金も安く済み、時間が経過して訴えた側に有利な決定等が出るほど相手方の求める和解金が増大する傾向があります。
    このため、ECサイトで販売する商品について商標権侵害を理由とする集団訴訟を起こされた場合、できるだけ早く弁護士への相談をしたほうが良いと思います。

    また、そもそも模造品なんて販売していないのに集団訴訟をされた場合、きちんと反論しないと敗訴してしまいアカウントの永久凍結や口座の中に入っているお金を没収されてしまいますから、弁護士へご相談いただく必要があると思います

  2. (2)どこの州の裁判所なのか確認を

    海外ECサイトを利用するネット販売業者に対する裁判は、ほとんどがアメリカの連邦裁判所で行われています。日本の弁護士は日本全国のどこの裁判所でも弁護活動をすることができますが、アメリカの弁護士の場合は連邦裁判所ごとに登録している必要があるため、依頼する弁護士が裁判を起こされている連邦裁判所に登録しているかが重要です。

    たとえば、ほとんどの海外ECサイトを利用するネット販売業者に対する裁判は、北イリノイ州連邦地方裁判所(United States District Court for the Northern District of Illinois)で起こされているため、依頼している弁護士が北イリノイ州連邦地方裁判所に登録していなければ、裁判所での弁護士活動を行うことができず、訴訟戦略上取れる選択肢が限られてしまいます。そのため、訴訟戦略の幅も広がるため、同裁判所に登録していることが、望ましいです。

    このため、海外ECサイトを利用するネット販売業者に対して起こされた訴訟に関して弁護士に相談をされるときは、相談する弁護士が訴訟を起こされている裁判所に登録しているかを、事前に確認する必要があります

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4、ベリーベストの国際チームへ相談

裁判はただでさえ、たくさんのルールの下で行われるため、日本の裁判であっても本人での対応は困難です。
まして、アメリカの裁判で、しかも集団訴訟という特殊な訴訟ですと、本人での対応は現実的ではありませんし、対応可能な弁護士もそう多くはおりません。

このため、もし貴社が海外ECサイトで出品されている商品につきアメリカの集団訴訟の当事者となってしまった場合は、出品者への集団訴訟に詳しい弁護士にご相談いただくと良いと思います。

ベリーベスト法律事務所ではアメリカの訴訟について、北イリノイ州連邦地方裁判所で登録している、日本語堪能な国際チームのアメリカ法弁護士が担当いたします。
担当弁護士は、海外ECサイトへ出品している日本のセラーに対し、アメリカにおいて提起された集団訴訟について、和解、訴訟取り下げ実績を有しています

このような訴訟はケースによって費用が大きく異なります。費用等の案内をお聞きいただいたうえで、ご相談者さまご自身でご依頼するか否かご判断いただけますので、まずはベリーベスト法律事務所までお問合せください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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