2025年01月20日
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フランチャイズ契約における違約金|払わないと裁判になる?

フランチャイズ契約における違約金|払わないと裁判になる?

違約金とは、契約に違反した当事者が、事前の合意に従って相手方に支払う金銭のことです。契約書に違約金条項が定められているときは、原則としてその内容に従う必要があります。

フランチャイズ契約に関しても、違約金請求を巡る契約トラブルがしばしば発生しています。契約締結時や解約を検討する際には、違約金の取り扱いについて弁護士のアドバイスを受けましょう。

本記事では、違約金とは何か、払わない場合は裁判になるのかなどをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、違約金とは?

「違約金」とは、契約違反をした当事者が、あらかじめ合意したところに従い、相手方に対して支払う金銭です。「損害賠償額の予定」と「違約罰」の2つに分類されます。

  1. (1)違約金の種類|損害賠償額の予定・違約罰

    違約金には、「損害賠償額の予定」と「違約罰」の2種類があります。両者の大きな違いは、違約金と別に、損害賠償を請求できるかどうかです。

    ① 損害賠償額の予定
    債務不履行に基づく損害賠償の額を、違約金の名目であらかじめ合意したものです。
    損害賠償額の予定である違約金が定められている場合は、別途損害賠償を請求することはできません。

    ② 違約罰
    債務不履行に基づく損害賠償とは別に、ペナルティーとして相手方に支払う違約金です。
    違約罰である違約金が定められている場合は、それとは別に、損害賠償を請求することもできます。

    民法上、違約金は損害賠償額の予定であるものと推定されます(民法第420条第3項)。したがって、契約において違約罰である旨の明記がなければ、違約金は基本的に損害賠償額の予定として取り扱われます

  2. (2)違約金の具体例

    違約金は、さまざまなパターンの契約違反について定められることがあります。たとえば、以下のような違約金がよく定められています。

    (例)
    • 加盟店の都合でフランチャイズ契約を期間途中で解約した場合は、加盟店は本部事業者に対して○万円の違約金を支払う。
    • 不動産売買契約を自らの都合で解除した場合は、解除者は相手方に対して○万円の違約金を支払う。
    • 賃借人の債務不履行が原因で賃貸人が賃貸借契約を解除した場合は、賃借人は賃貸人に対して賃料○か月分の違約金を支払う。
    • 工事着工前の段階で、注文者の都合によって請負契約を解除した場合は、注文者は請負人に対して○万円の違約金を支払う。
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2、フランチャイズ契約を解約したら、違約金を請求できる? 払わないと裁判になる?

フランチャイズ契約における違約金に関しては、加盟店の都合による中途解約について定められているケースが多いです。

違約金条項は、原則、法的に有効なものとして取り扱われます。
したがって、違約金の発生事由に該当するにもかかわらず、違約金を支払わないことは認められません。違約金の滞納が続くと、本部事業者に訴訟を提起されるおそれもあります。

ただし、金額があまりにも高すぎるなどの公序良俗に反する事情があれば、違約金条項の全部または一部が無効となる可能性があります。
フランチャイズ契約の解約に関して、違約金が発生するかどうかの判断が難しい場合には、弁護士にご相談ください

3、フランチャイズ契約の違約金に関する過去の裁判例

フランチャイズ契約において違約金条項の有効性が争われた裁判例を3つ紹介します。

  1. (1)契約どおりの違約金の支払いが命じられた事例

    東京地裁令和2年2月27日判決では、デンタルエステサービスのフランチャイズ・チェーンを運営する本部事業者が、加盟店を運営していた歯科医師に対して、フランチャイズ契約を期間途中で解約したことによる違約金を請求した事案が問題となりました。

    加盟店側は、定められていた違約金条項は公序良俗に違反しているとして、無効であることを主張しました。

    しかし東京地裁は、以下の事情などを指摘したうえで、違約金条項を有効であると判断し、加盟店側に対して満額の違約金(=固定ロイヤルティー月額20万円の2年分)の支払いを命じました。

    • 加盟店側は独立している事業者として、契約時に違約金の定めについても承知したうえで、自己の判断と責任においてフランチャイズシステムに加入したこと
    • 違約金の額は、本部事業者から中途解約する場合も同額とされていたこと
    • 中途解約による契約終了日から、本来定められていた契約期間の満了まで4年程度の期間が残っていたこと
    • 本部の誤った情報提供により、加盟店側が損害を被ったとはいえないこと
    など
  2. (2)加盟店が支払うべき違約金の額が減額された事例

    東京高裁平成8年3月28日判決では、コンビニエンスストアのフランチャイズ・チェーンを運営する本部事業者が、加盟店側に対して、フランチャイズ契約を期間途中で解約したことによる違約金を請求した事案が問題となりました。

    本事案における中途解約の違約金は、ロイヤルティーの120か月分(10年分)と定められていました。

    東京高裁は、損害賠償の予定額が社会的に相当な額を超えて著しく高額となり、損害賠償額の予定の趣旨を逸脱して著しく不公正であるような場合には、社会的に相当な額を超える部分は公序良俗に反しているとして無効だとしました。
    そして、本事案における適正な損害賠償の予定額として、30か月分のロイヤルティー相当額に限り、加盟店側に違約金の支払いを命じました。

  3. (3)違約金条項が無効とされた事例

    東京高裁平成7年2月27日判決では、クリーニング店のフランチャイズ・チェーンを運営する本部事業者が、加盟店側に対して、フランチャイズ契約を解約したことによる違約金500万円を請求した事案が問題となりました。

    本事案のフランチャイズ契約を締結した当初、加盟店は違約金などの負担なく、自由に契約関係を終了できるものとされていました。違約金条項はその後にフランチャイズ契約へ追加されましたが、その際、本部事業者から加盟店に対する説明は行われませんでした。

    さらに、東京高裁は以下の事情などを指摘したうえで、違約金500万円の支払いを強制することは著しく正義に反すると判断しました。

    • 契約締結当時において、加盟店はフランチャイズに参加するため多額の投資を行ったばかりで、契約を拒むことは事実上困難だった
    • 違約金の額は下限のみ500万円と定められていて、上限に関しては定めがなかったため、加盟店に対して契約継続を相当程度強制する結果となっていたこと
    • 違約金は特段の事情がない限り免除される通例となっていたのに、業務上の非違とは直接関係のない理由で免除しないものとされたこと

    結論、東京高裁は、違約金条項は公序良俗に反しているため無効だと判断し、本部事業者側の請求を棄却しました。

4、違約金に関するトラブルを防ぐためのポイント

フランチャイズ契約の違約金に関するトラブルを防ぐには、以下の各点に注意して対応しましょう。

  1. (1)違約金条項の内容をチェックする

    フランチャイズ契約のフォーマットを用意する際には、違約金条項の有無や内容を必ず確認しましょう
    違約金の額が高すぎる場合や、違約金の発生条件や発生額が曖昧な場合がないかなど、その有効性も確認すべきです。

  2. (2)解約が問題になった際の、違約金条項の有無や内容を再確認する

    フランチャイズ契約の解約という話が出たら、違約金条項の有無や内容を改めて確認しましょう。

    違約金条項が公序良俗に反しているなどの事情がない限り、契約の定めに従って違約金が発生します。

    もっとも違約金条項の内容が、加盟店側にとって著しく不利である場合は、公序良俗違反による無効が認められる可能性もあります。弁護士のアドバイスを受けながら、違約金の支払いに関する法的な主張方法を検討しましょう。

5、契約トラブルに関するご相談は弁護士へ

事業者が契約トラブルを予防したい場合や、実際に契約トラブルが発生して困っている場合には、速やかに弁護士へ相談することをおすすめします

弁護士は、契約書のリーガルチェックから実際の契約トラブルへの対応まで、クライアント事業者を幅広くサポートいたします。
高額の違約金を巡る裁判になる場合にも、法律上の評価によって引き直したルールを解釈し、解決策を真摯(しんし)に検討します。

違約金などの契約トラブルにお悩みの事業者は、お早めに弁護士へご相談ください。

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6、まとめ

フランチャイズ契約において、中途解約の違約金が定められている場合には、原則として契約の定めに従い、中途解約時に違約金を支払う必要があります。

ただし、違約金条項の内容が加盟店側にとって著しく不利な場合には、公序良俗違反によって無効または減額が認められることがあります。違約金条項の有効性が争いになりそうな場合には、速やかに弁護士へ相談しましょう

ベリーベスト法律事務所は、契約トラブルに関する事業者のご相談を随時受け付けております。経験豊富な弁護士が親身になって対応しますので、フランチャイズ契約の違約金や、その他の契約トラブルにお悩みの事業者の方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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