違約金とは、契約に違反した当事者が、事前の合意に従って相手方に支払う金銭のことです。契約書に違約金条項が定められているときは、原則としてその内容に従う必要があります。
フランチャイズ契約に関しても、違約金請求を巡る契約トラブルがしばしば発生しています。契約締結時や解約を検討する際には、違約金の取り扱いについて弁護士のアドバイスを受けましょう。
本記事では、違約金とは何か、払わない場合は裁判になるのかなどをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
「違約金」とは、契約違反をした当事者が、あらかじめ合意したところに従い、相手方に対して支払う金銭です。「損害賠償額の予定」と「違約罰」の2つに分類されます。
違約金には、「損害賠償額の予定」と「違約罰」の2種類があります。両者の大きな違いは、違約金と別に、損害賠償を請求できるかどうかです。
民法上、違約金は損害賠償額の予定であるものと推定されます(民法第420条第3項)。したがって、契約において違約罰である旨の明記がなければ、違約金は基本的に損害賠償額の予定として取り扱われます。
違約金は、さまざまなパターンの契約違反について定められることがあります。たとえば、以下のような違約金がよく定められています。
フランチャイズ契約における違約金に関しては、加盟店の都合による中途解約について定められているケースが多いです。
違約金条項は、原則、法的に有効なものとして取り扱われます。
したがって、違約金の発生事由に該当するにもかかわらず、違約金を支払わないことは認められません。違約金の滞納が続くと、本部事業者に訴訟を提起されるおそれもあります。
ただし、金額があまりにも高すぎるなどの公序良俗に反する事情があれば、違約金条項の全部または一部が無効となる可能性があります。
フランチャイズ契約の解約に関して、違約金が発生するかどうかの判断が難しい場合には、弁護士にご相談ください。
フランチャイズ契約において違約金条項の有効性が争われた裁判例を3つ紹介します。
東京地裁令和2年2月27日判決では、デンタルエステサービスのフランチャイズ・チェーンを運営する本部事業者が、加盟店を運営していた歯科医師に対して、フランチャイズ契約を期間途中で解約したことによる違約金を請求した事案が問題となりました。
加盟店側は、定められていた違約金条項は公序良俗に違反しているとして、無効であることを主張しました。
しかし東京地裁は、以下の事情などを指摘したうえで、違約金条項を有効であると判断し、加盟店側に対して満額の違約金(=固定ロイヤルティー月額20万円の2年分)の支払いを命じました。
東京高裁平成8年3月28日判決では、コンビニエンスストアのフランチャイズ・チェーンを運営する本部事業者が、加盟店側に対して、フランチャイズ契約を期間途中で解約したことによる違約金を請求した事案が問題となりました。
本事案における中途解約の違約金は、ロイヤルティーの120か月分(10年分)と定められていました。
東京高裁は、損害賠償の予定額が社会的に相当な額を超えて著しく高額となり、損害賠償額の予定の趣旨を逸脱して著しく不公正であるような場合には、社会的に相当な額を超える部分は公序良俗に反しているとして無効だとしました。
そして、本事案における適正な損害賠償の予定額として、30か月分のロイヤルティー相当額に限り、加盟店側に違約金の支払いを命じました。
東京高裁平成7年2月27日判決では、クリーニング店のフランチャイズ・チェーンを運営する本部事業者が、加盟店側に対して、フランチャイズ契約を解約したことによる違約金500万円を請求した事案が問題となりました。
本事案のフランチャイズ契約を締結した当初、加盟店は違約金などの負担なく、自由に契約関係を終了できるものとされていました。違約金条項はその後にフランチャイズ契約へ追加されましたが、その際、本部事業者から加盟店に対する説明は行われませんでした。
さらに、東京高裁は以下の事情などを指摘したうえで、違約金500万円の支払いを強制することは著しく正義に反すると判断しました。
結論、東京高裁は、違約金条項は公序良俗に反しているため無効だと判断し、本部事業者側の請求を棄却しました。
フランチャイズ契約の違約金に関するトラブルを防ぐには、以下の各点に注意して対応しましょう。
フランチャイズ契約のフォーマットを用意する際には、違約金条項の有無や内容を必ず確認しましょう。
違約金の額が高すぎる場合や、違約金の発生条件や発生額が曖昧な場合がないかなど、その有効性も確認すべきです。
フランチャイズ契約の解約という話が出たら、違約金条項の有無や内容を改めて確認しましょう。
違約金条項が公序良俗に反しているなどの事情がない限り、契約の定めに従って違約金が発生します。
もっとも違約金条項の内容が、加盟店側にとって著しく不利である場合は、公序良俗違反による無効が認められる可能性もあります。弁護士のアドバイスを受けながら、違約金の支払いに関する法的な主張方法を検討しましょう。
事業者が契約トラブルを予防したい場合や、実際に契約トラブルが発生して困っている場合には、速やかに弁護士へ相談することをおすすめします。
弁護士は、契約書のリーガルチェックから実際の契約トラブルへの対応まで、クライアント事業者を幅広くサポートいたします。
高額の違約金を巡る裁判になる場合にも、法律上の評価によって引き直したルールを解釈し、解決策を真摯(しんし)に検討します。
違約金などの契約トラブルにお悩みの事業者は、お早めに弁護士へご相談ください。
フランチャイズ契約において、中途解約の違約金が定められている場合には、原則として契約の定めに従い、中途解約時に違約金を支払う必要があります。
ただし、違約金条項の内容が加盟店側にとって著しく不利な場合には、公序良俗違反によって無効または減額が認められることがあります。違約金条項の有効性が争いになりそうな場合には、速やかに弁護士へ相談しましょう。
ベリーベスト法律事務所は、契約トラブルに関する事業者のご相談を随時受け付けております。経験豊富な弁護士が親身になって対応しますので、フランチャイズ契約の違約金や、その他の契約トラブルにお悩みの事業者の方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。
違約金とは、契約に違反した当事者が、事前の合意に従って相手方に支払う金銭のことです。契約書に違約金条項が定められているときは、原則としてその内容に従う必要があります。フランチャイズ契約に関しても、違…
「法定開示書面」とは、フランチャイズ契約を締結する前に、本部事業者が加盟店に対して開示すべき事項を記載した書面です。法定開示書面には、中小小売商業振興法の規定に基づき、本部事業者の概要やフランチャイ…
フランチャイズシステムは、非常に複雑な仕組みになっていますので、フランチャイズ本部と加盟店との間でトラブルが生じることも少なくありません。日本にはフランチャイズを直接定義づけた法律は存在しませんが、…
お問い合わせ・資料請求