2025年05月07日
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スクイーズアウトとは? 目的・活用例・方法・注意点などを弁護士が解説

スクイーズアウトとは? 目的・活用例・方法・注意点などを弁護士が解説

スクイーズアウトとは少数株主が持つ株式を強制的に取得する手法です。MBOや企業買収などの場面で活用されます。

スクイーズアウトの進め方が不適切だと、少数株主との間でトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。弁護士のアドバイスを受けながら、適切な形でスクイーズアウトを進めましょう。

本記事ではスクイーズアウトについて、概要・方法・手続き・注意点などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、スクイーズアウトとは

「スクイーズアウト」とは、100%の株式取得を実現するため、少数株主が保有する株式を強制的に取得する手続きです。

たとえば、上場会社の株式を100%取得し、完全子会社化したいとします。この場合、まずTOB(株式公開買付)を行い、対象会社の株式を既存株主から買い集めるのが一般的です。

しかし、すべての株主がTOBに応じることは事実上あり得ません。どんなに好条件を提示しても、ある程度の割合の株式は取得できずに残ってしまいます。

このとき、取得できずに残った株式を強制的に取得する手続きがスクイーズアウトです。スクイーズアウトを行うことで、残りの株式をすべて強制的に取得し、完全子会社化が実現します

スクイーズアウトによる完全子会社化が実現すると、少数株主への対応が不要となるため、経営の安定化・効率化につながります。

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2、スクイーズアウトの方法と手続き

スクイーズアウトの具体的な方法としては、主に以下の4つが活用されています。


  1. (1)特別支配株主の株式等売渡請求

    特別支配株主は、株式会社および特別支配株主以外の株主全員に対し、保有する株式全部を売り渡すよう請求できます(会社法第179条第1項)。

    また、新株予約権者全員に対しても、新株予約権全部の売渡を請求可能です(同条第2項)。

    「特別支配株主」とは、総株主の議決権の10分の9以上(これを上回る割合を定款で定めた場合は、その割合以上)を保有する者です。また、完全子会社などを通じて保有する株式も、特別支配株主としての株式保有割合に合算できます。

    株式等売渡請求を行う場合、特別支配株主は会社に対して売渡の条件などを通知し、その承認を受けなければなりません(会社法第179条の3)。会社が承認をしたときは、特別支配株主による株式取得日の20日前までに、株式等売渡請求に関する事項を既存株主などへ通知します(会社法第179条の4)。

    取得日が到来すると、特別支配株主は株式全部を取得し、100%の株式取得が完了します(会社法第179条の9)。

  2. (2)株式併合

    「株式併合」とは、数個の株式を1株に統合し、発行済株式総数を減らす手続きです。

    スクイーズアウトの方法として株式併合を行う場合は、既存株主が保有する株式数がいずれも1株未満となるように併合の割合を調整します。

    1株未満の端数株は金銭によって精算できるため、結果的に多数株主だけが株式を保有した状態となり、100%の株式取得が実現します。

    株式併合を行うためには、併合の割合や効力発生日などを、株主総会の特別決議によって定めなければなりません(会社法第180条第2項、第309条第2項第4号)。

    株主総会の特別決議には、行使可能議決権の過半数(定款で3分の1以上まで緩和可能)を有する株主が出席し、かつ出席株主が保有する議決権の3分の2以上(定款で加重可能)の賛成が必要です(会社法第309条第2項)。

  3. (3)株式交換

    「株式交換」とは、2つの会社を完全親子会社とする手続きです。

    完全子会社となる会社(=株式交換完全子会社)は、その発行済株式の全部を、完全親会社となる会社(=株式交換完全親会社)に取得させます。

    株式交換完全親会社は、株式交換完全子会社の既存株主に対して、自社株式または現金の交付と引き換えに、株式交換完全子会社の発行済株式の全部を取得します。

    自社株式を交付した場合は、その後さらに株式併合などによるスクイーズアウトを行うのが一般的です。

    株式交換を行う際には、株式交換完全親会社と株式交換完全子会社の間で株式交換契約を締結した上で、それぞれにおいて株主総会の特別決議による承認を受けなければなりません(会社法第767条、第783条第1項、第795条第1項、第309条第2項第11号)。

    株式交換契約で定められた効力発生日が到来すると、株式交換完全親会社は株式交換完全子会社の発行済株式全部を取得します(会社法第769条第1項)。

  4. (4)全部取得条項付種類株式の取得

    「全部取得条項付種類株式」とは、株主総会の特別決議によって、その全部を取得できる種類株式です。

    全部取得条項付種類株式を用いたスクイーズアウトを行う際には、まず会社の発行済株式のうち3分の2以上を取得します。

    その後、株主総会の特別決議によって定款変更を行い、すべての発行済株式を全部取得条項付種類株式に変更します。さらに株主総会の特別決議を行い、全部取得条項付種類株式を取得します。

    全部取得条項付種類株式の取得に当たっては、その対価を普通株式とする一方で、少数株主が保有する株式数がいずれも1株未満となるように交付比率を調整します。多数株主には普通株式が交付される一方で、少数株主が有する1株未満の端株は金銭によって精算され、多数株主による100%の株式保有が実現するという流れです。

3、スクイーズアウトを行う際の注意点

少数株主のスクイーズアウトを行う際には、以下の各点に注意しましょう。


  1. (1)状況に応じた適切な手続きを選択する

    スクイーズアウトの各方法は、それぞれ利用するための要件が異なります。

    特別支配株主の株式等売渡請求は、比較的簡単な手続きで行うことができますが、実行するためには発行済株式を90%以上保有していなければなりません。

    90%以上の取得が難しい場合には、株式併合や株式交換などを選択することになります。取得できる見込みの株式割合などを踏まえて、状況に応じた適切なスクイーズアウトの手続きを選択しましょう

  2. (2)株式を適切な方法で評価する必要がある

    スクイーズアウトによって排除する少数株主に対しては、株式と引き換えに金銭による対価を交付することになります。

    その際、適切な方法で株式の価値を評価しなければ、少数株主との間でトラブルに発展するリスクが高まるので注意が必要です。

    株式の評価方法には複数のパターンが存在し、会社の財務状況などに応じて使い分ける必要があります。弁護士や公認会計士のサポートを受けながら、適切な方法で株式評価を行いましょう

  3. (3)反対株主による対抗手段に注意する

    スクイーズアウトに反対する少数株主は、以下の対抗手段を講じることが認められています。

    ① 差止請求
    法令違反等に当たるスクイーズアウトによって不利益を受けるおそれがある少数株主は、スクイーズアウトをやめることを請求できます(=差止請求)。
    差止請求は、特別支配株主の株式等売渡請求・株式併合・株式交換・全部取得条項付種類株式の取得のいずれについても認められています(会社法第179条の7、第182条の3、第784条の2、第171条の3)。

    ② 株式買取請求
    一定の要件を満たす反対株主(=スクイーズアウトにつき、事前に会社に対して反対する旨を通知した上で、株主総会において反対の議決権を行使した株主)は、会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求できます。
    株式買取請求は、株式併合・株式交換について認められているほか、全部取得条項付種類株式に関する定款変更についても認められています(会社法第182条の4、第785条、第116条第1項第2号)。

    ③ 価格決定の申立て
    株式等売渡請求と全部取得条項付株式の取得については、少数株主は裁判所に対し、売渡(取得)の価格の決定の申立てを行って、より高額な価格で買い取るよう求めることができます(会社法第179条の8、第172条)。

4、MBOや企業買収などに関するご相談は弁護士へ

スクイーズアウトを含むMBOや企業買収の手続きについては、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は、会社の状況に応じたスクイーズアウトの適切な進め方についてアドバイスいたします。また、公認会計士などと連携して適切に株式の評価を行い、少数株主との間でトラブルに発展するリスクを抑えます。

スムーズにスクイーズアウトその他の手続きを完了するためには、弁護士のサポートを受けるのが安心です。MBOや企業買収をご検討中の経営者の方は、お早めに弁護士へご相談ください

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5、まとめ

会社株式を100%取得するに当たり、少数株主を排除するスクイーズアウトの手続きについては、トラブルを避けるために慎重な対応が求められます。弁護士のサポートを受けながら、滞りなくスクイーズアウトが完了することを目指して対応しましょう。

ベリーベスト法律事務所は、MBOや企業買収に関するご相談を随時受け付けております。スクイーズアウトの手続きについても、ご状況に合わせた適切な進め方をアドバイスいたします。

スクイーズアウトの進め方をご検討中の企業・経営者の方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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