2025年12月01日
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本人訴訟とは? やり方・メリットやデメリット・注意点などを解説

本人訴訟とは? やり方・メリットやデメリット・注意点などを解説

契約トラブルや損害賠償請求など、裁判を検討したいと思っても「弁護士費用が高くて依頼できない」と悩んでいる方もいるでしょう。そのようなときに選択肢となるのが「本人訴訟」です。本人訴訟とは、弁護士に依頼せず、自分自身で裁判所に訴訟を提起して手続きを進める方法です。

弁護士費用を節約できる反面、手続きを行ううえでいくつかの注意点があるため、慎重な判断が求められます。

今回は、本人訴訟をどのようなときに検討すべきか、メリット・デメリット、実際の手続きの流れ、注意点などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、本人訴訟とは? メリット・デメリットを解説

まずは本人訴訟がどのような手続きなのか、詳しく解説しましょう。また、弁護士費用を抑えられるなどのメリットのほか、デメリットも紹介します。

  1. (1)本人訴訟とは

    本人訴訟とは、弁護士に依頼せず、当事者本人が自ら裁判所に訴えを起こして訴訟を進める方法です。法律上、民事裁判は弁護士に依頼しなければならないという決まりはありません。そのため、希望すれば誰でも本人訴訟を行うことができます。
    ただし、訴状の作成や証拠の提出、口頭弁論での主張などさまざまな法律的対応が必要となるため、正しい知識と慎重な準備が求められます

  2. (2)本人訴訟のメリット

    本人訴訟は、弁護士費用がかからないことがメリットです。

    訴訟手続きを弁護士に依頼した場合、弁護士費用がかかります。弁護士費用は、トラブルの内容や請求額などに応じて変動しますが、訴訟で必要になる費用のなかで、もっとも高額であることは確かでしょう。
    本人訴訟では、弁護士費用が不要になるため、経済的負担を抑えることができます

  3. (3)本人訴訟のデメリット

    一方で、本人訴訟には以下のようなデメリットもあります。

    ① 証拠集めや主張の整理に労力がかかる
    本人訴訟では、訴えを認めてもらうための証拠を集め、法的根拠を明確にした主張を構築する必要があります。書類の作成や証拠の整理に多くの時間と労力を要するため、慣れていない方にとっては大きな負担となるでしょう。さらに、不備があれば、判決で不利な結果になるリスクが高まります

    ② 精神的な負担が大きい
    訴訟では、裁判所での発言、相手方との対立、書面でのやり取りなど、強い精神的負担がかかります。訴訟が長期化すればするほど、緊張や不安が続き、日常生活に支障をきたすこともあるでしょう。精神的な余裕がないと、冷静な対応が難しくなるおそれがあります。

    ③ 不適切な主張・手続きにより不利になるリスクがある
    法律の知識が乏しいまま裁判を進めると、重要な主張や反論を見落としたり、手続きでミスをしたりするリスクがあります。訴訟では一度の判断ミスが結果を左右するため、小さなミスが大きな不利益に直結するおそれがあることを理解しておく必要があります
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2、本人訴訟はどんなときに検討すると良い?

本人訴訟はすべてのケースに適しているわけではありません。ここでは、本人訴訟が向いているケースと弁護士に依頼した方がよいケースについて説明します。

  1. (1)本人訴訟が適しているケース

    ① 請求額が小さい
    請求額が小さく、弁護士費用を払うと赤字が確定してしまうような事案である場合、それでも相手に対して責任を認めさせることを重視して弁護士を雇う選択肢もありますが、経済的観点からは、本人訴訟を選ばざるを得ない場合もあります。

    ② トラブル内容が入り組んでいない
    内容が明確で、主張や反論のポイントが少ないトラブルであれば、複雑な法的判断が求められる場面も少なく、本人訴訟でも対応しやすいといえます。たとえば、自ら作成した借用書に基づいて、貸金の返還を請求する場合、その主張内容はシンプルで、あまり請求に苦労はしないかもしれません。もっとも、訴訟である以上、裁判所が定める様式に従って、訴状を作成し、証拠を提出する必要はあります。
  2. (2)本人訴訟ではなく弁護士に依頼すべきケース

    以下のようなケースは、本人訴訟で対応するのが困難です。そのため、専門家である弁護士に依頼したほうがよいでしょう。

    ① 法的な争点が複雑な場合
    契約の解釈や、損害賠償の範囲が問題となるような事案では、専門的な法解釈や裁判例の検討が欠かせません。法律の知識が乏しいと、適切な主張や立証が難しく、不利になるリスクが高まります

    ② 相手方が弁護士をつけている場合
    相手方が弁護士をつけて対応してくると、本人訴訟で納得いく結果を出すのが困難になるでしょう。相手が有利になるような主張をされてしまうため、対等に争うにはこちらも弁護士を立てるのが得策です。

    ③ 請求額が高額な場合や敗訴のリスクが大きい場合
    損害賠償請求や不動産トラブルなど、争う金額が大きいと、判断ミスによる損失も大きくなります。失敗が許されないケースでは、最初から弁護士に依頼するのがおすすめです。

3、訴訟のやり方|手続きの流れを解説

以下では、訴訟の基本的な流れについて説明します。

  1. (1)訴訟の提起

    まずは「訴状」を作成し、管轄の裁判所に提出して訴訟を開始します。訴状には、当事者の情報、請求の趣旨と原因、証拠の概要などを記載します。すべての訴訟において訴訟物と言われる判断対象となる請求権ごとに、その存在が認められることで請求権の存在が肯定される要件事実と言われているものが存在しているため、その要件事実を過不足なくすべて記載する必要があります。
    訴状の提出時には、収入印紙(請求額に応じて数百円~数万円)や予納郵券(郵便切手)などの費用も必要です。

  2. (2)訴訟期日(口頭弁論・弁論準備手続・和解期日など)

    裁判所から送付された呼出状に従い、口頭弁論期日に出廷します。
    期日では、書面や口頭で主張や反論を行い、証拠を提出します。
    なお、事件の内容によっては、主張を整理して裁判の進行をスムーズにするための「弁論準備手続」や、当事者間の話し合いで解決を目指す「和解期日」が設けられることもあります。

  3. (3)和解または判決

    訴訟の途中で、双方の歩み寄りによって合意が成立すれば、「和解」によって訴訟は終結します。和解は当事者の合意によって内容を柔軟に決めることができ、判決よりも早期解決につながるメリットがあります。
    合意に至らない場合は、裁判所が証拠と主張を踏まえて「判決」を言い渡します。

  4. (4)控訴・上告

    判決に納得がいかない場合は、控訴(地方裁判所または高等裁判所への不服申立て)や、最高裁判所への上告が可能です。
    たとえば、第一審で証拠が適切に評価されず事実認定が誤っていると考えた場合、それを控訴理由として主張することができます。

    ただし、控訴・上告には厳格な期限が定められており、原則として控訴は判決送達から2週間以内に行う必要があります。控訴審も本人訴訟が可能ですが、控訴理由書の作成に専門知識が欠かせないことや、新たな証拠の提出に制限があり、第一審の証拠が不十分であれば逆転も難しくなることなどから、不利になるおそれがあるでしょう。

4、本人訴訟を行う際の注意点

本人訴訟を行う際には、以下のような点に注意する必要があります。

  1. (1)法的知識がなければ対応が難しい

    裁判では、主張・立証・手続きのすべてに法律の知識が求められます。正しい知識に基づいて対応しなければ、訴えが認められない可能性があります。法的根拠が不明確だったり、必要な書類が不足していたりすると、それだけで主張が退けられることもあるため、十分に注意が必要です。

  2. (2)時効が存在するため早めに行動することが大切

    民事上の請求には時効があり、一定期間が経過すると請求権が消滅してしまいます。たとえば契約トラブルの場合、通常は5年で時効が成立します。時効を過ぎると請求そのものができなくなるため、早めの訴訟提起が重要です。
    時効が迫っているような事案では、訴訟提起前に内容証明郵便の送付などで時効の完成を阻止することも検討しましょう。

  3. (3)不安があるときは弁護士に任せるのがおすすめ

    本人訴訟は自分のペースで準備できる反面、自分ひとりで対処しなければならず負担に感じやすくなります。もし少しでも不安や疑問がある場合には、無理に自力で進めるのではなく、弁護士への相談を検討しましょう。

    本人訴訟の途中から支援を行うことができる弁護士もいますが、対応できる事務所は限られています。そのため、複雑な案件や精神的負担が大きい場合には、本人訴訟の支援相談ではなく、最初から弁護士に任せることをおすすめします

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5、まとめ

本人訴訟は、弁護士費用をかけずに自ら裁判を行う選択肢として有効です。特に、請求額が少額でトラブルの内容がシンプルな場合には、選択肢となる方法といえるでしょう。

しかし一方で、法的知識の不足や手続きミスなどにより、訴訟で不利になるリスクも伴います。
訴訟の途中から対応を引き受けるのは、弁護士であっても非常に困難が伴うため、不安があるのであれば訴訟提起前に弁護士に相談し、本人訴訟で行うかどうか慎重な判断をすることをおすすめします。裁判を起こしたいとお考えの方は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

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