2026年03月04日
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クライシスマネジメントとは? 事前準備や対処方法について弁護士が解説

クライシスマネジメントとは? 事前準備や対処方法について弁護士が解説

企業が直面し得る重大な危機に備え、危機発生時の対応や事後の立て直しまで含めて管理することを「クライシスマネジメント」といいます。

突発的な危機に適切な形で対処し、事業への深刻な悪影響を防ぐためには、クライシスマネジメントが重要な意味を持ちます。弁護士のサポートを受けながら、事業の特性に合わせたクライシスマネジメントを行いましょう。

本コラムでは、クライシスマネジメントの基本概要や準備、危機が生じたときの対処の流れなどについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、クライシスマネジメントとは?

クライシスマネジメント(危機管理)とは、企業が予期せぬ危機(=クライシス)に対する備えを行い、事業への影響を最小限に抑える取り組みをいいます。

  1. (1)クライシスマネジメントの目的

    クライシスマネジメントの目的は、予期せぬ危機が発生した際の影響を最小限に抑えつつ、できる限り早期にオペレーションを元通りに復旧することです。

    まったく備えのない状態では、迅速かつ適切な危機対応をすることは難しいでしょう。
    対応が遅れている間に事業への影響が拡大すれば、立て直しも遅れてしまいます。状況によっては、二度と元の状態に戻れなくなるかもしれません。

    適切な形でクライシスマネジメントを行っていれば、危機が発生しても事前の想定どおりに対応することが可能です。

    たとえば、自然災害などの外部要因による危機が発生した際には、適切なクライシスマネジメントが従業員の安全の確保やシステムの早期復旧などにつながります。
    従業員の違法行為などの内部要因による危機が発生した際にも、クライシスマネジメントを行っていることで調査・処分・情報共有などを迅速かつ適切に進めることができ、ステークホルダーの信頼を早期に回復できる可能性が高まります。

  2. (2)クライシスマネジメントとリスクマネジメントの違い

    クライシスマネジメントに類似した用語として、リスクマネジメントがあります。

    リスクマネジメント(リスク管理)とは、事業活動に伴うリスクを特定・把握したうえで、そのリスクを回避・軽減するための備えをすることです。

    クライシスマネジメントは、リスクマネジメントの一環として位置づけられることが多く、特に重大な危機が顕在化した場面での対応を担う概念をいいます。
    クライシスマネジメントは自然災害や不祥事などの「危機」のリスクをカバーしますが、リスクマネジメントではさらに幅広いリスクをカバーするのが違いです。

    リスクマネジメントによってカバーされるものの例
    • 自然災害
    • 企業不祥事
    • 経営者や従業員の死亡
    • 業務上の事故
    • 取引先とのトラブル
    • 競合他社の台頭
    • 消費者の動向の変化
    • 金利の変動
    • 法規制の変化
    など
  3. (3)クライシスマネジメントに役立つBCP(事業継続計画)

    クライシスマネジメントに役立つもののひとつとして、BCP(事業継続計画)が挙げられます。

    BCP(事業継続計画)とは、不測の事態が発生した際にも重要な事業を継続させ、仮に中断しても迅速に復旧させるための対応手順などを定めた計画です。
    主に、以下のような危機のうち、事業を中断に追い込む可能性がある重大な外部要因への対応を想定しています。

    • 自然災害
    • テロ
    • システム障害
    • 情報漏えい
    • 感染症の流行

    BCPを適切に定めておけば、特に緊急性が高い危機への対応を適切に行うことができ、事業の中断や破綻のリスクを抑えることが可能です。

    なお、BCPを含めて、外部要因による危機への対応計画は、CMP(クライシスマネジメントプラン)と呼ばれることがあります。

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2、外部要因によるクライシスマネジメント①|事前準備

企業にとっての危機は、自然災害などの外部要因によって発生するケースと、従業員の違法行為などの内部要因によって発生するケースが想定されます。
2章では、外部要因によるクライシスマネジメントとしての事前準備を解説します。

  1. (1)CMP(クライシスマネジメントプラン)の策定

    まずは、外部要因による危機が発生した際の対応手順などを定めたCMP(クライシスマネジメントプラン)の作成から始めましょう。

    CMPの中でもっとも重要なものに当たるのが、BCP(事業継続計画)です。BCPを策定する際には、以下の手順で検討を行いましょう。

    ① 基本方針の策定:BCP全体に通じる基本的な考え方を明確化します。
    (例)人命をもっとも優先する、顧客に対する商品の供給を止めないなど

    ② 実施体制の構築:BCPを適切に実施するための体制を構築します。
    (例)責任者と担当者の指名、プロジェクトチームの立ち上げ、経営者の責任の明確化など

    ③ 事業影響度分析:事業が停止した場合の影響の大きさや、時間の経過による変化を評価します。
    (例)売り上げ、市場シェア、資金繰り、顧客との取引維持、従業員の雇用維持、社会的な信用など

    ④ リスク分析:想定される危機の内容に応じて、発生し得るリスクの内容や大きさを詳細に分析します。

    ⑤ 対応策の決定:事業影響度分析とリスク分析の結果を踏まえつつ、実施する対応策の内容を決定します。

    BCPに加えて、平時から実施すべき対策に関する計画や、役員・従業員向けの訓練に関する計画も定めておくことが望ましいです。

  2. (2)危機を想定した訓練の実施

    実際に外部要因による危機が発生したとき適切に対応できるように、役員や従業員を対象とする訓練(研修)を定期的に実施しましょう。訓練の対象者は、その内容に従って適宜設定します。

    たとえば、自然災害発生時に備えた避難訓練には全役員・従業員が参加することが望ましいです。そのほか、BCPで定められた責任者や担当者には、BCPに基づく対応に関する訓練を追加で行うのがよいでしょう。

3、外部要因によるクライシスマネジメント②|危機発生時の対処方法

自然災害などの外部要因による危機が実際に発生した際には、以下の対応を行うことが求められます。事前に策定したCMPに依拠しつつ、状況に合わせて臨機応変に対応しましょう。3章では、外部要因による危機発生時の対処方法を解説します。

  1. (1)事実関係の確認・把握

    まずは、事実関係の迅速な確認と把握に努めましょう。CMPにおいて定めた責任者や担当者が調査を担当します。

    調査に当たっては、さまざまな方法で情報を収集することが求められます。社内システムのチェック、従業員からの報告、報道などから幅広く情報を収集しましょう。

  2. (2)事業復旧への取り組み

    自然災害などによって事業の中断を余儀なくされた場合は、できる限り迅速な復旧に努めます。BCPで定めた手順に従った対応を基本線としつつ、迅速な復旧につながり得るあらゆる方法を試みましょう。

  3. (3)ステークホルダーへの情報共有

    危機への対応状況は、株主や取引先などのステークホルダーに対して適時に共有することが大切です。

    プレスリリースなどを活用してタイムリーに情報共有を行えば、株主や取引先などに安心感を与えることができます。信頼をつなぎ留められれば、危機が去った後の迅速な復旧につながるでしょう。

4、内部要因によるクライシスマネジメント①|事前準備

従業員の違法行為など、内部要因による危機への事前準備として、企業が取り組むべき主な事項は以下のとおりです。

  1. (1)不祥事対応に関する社内規程の整備

    外部要因による危機と同様に、内部要因による危機についても、対応手順などを事前に定めておくことが望ましいです。

    不祥事対応に関する社内規程を作成し、以下の事項などを定めておきましょう。

    • 初期対応や調査を行う部署、責任者、担当者
    • 調査の方法
    • 違法行為をした者に対する処分の基準、手続き
    • 外部に対する発信の方法、基準
    など
  2. (2)内部通報制度の導入・周知

    企業不祥事を予防、早期発見、自浄するめには、内部通報制度の導入が効果的といえます。

    内部通報制度とは、社内または社外に設けた窓口において、社内で発生した違法行為の通報を受け付ける制度です。

    公益通報の要件を満たしていれば、通報者は保護され、会社による解雇などの不利益な取り扱いが禁止されます。通報者の保護を徹底することにより、違法行為の積極的な通報が促されるでしょう。

    内部通報制度の実効性を確保するため、窓口担当者は経営者から独立していなければなりません。たとえば、顧問弁護士とは別の弁護士に社外窓口を依頼すると、経営者からの独立性が保たれた実効的な内部通報制度を確立することができます。

5、内部要因によるクライシスマネジメント②|危機発生時の対処方法

内部要因による危機が実際に発生した際には、以下の対応を行うことが求められます。

  1. (1)事実関係の調査・証拠の確保

    まずは事実関係の調査を行い、違法行為の証拠を確保します。

    事前に社内規程で定めている場合は、その内容に従って調査チームを組織し、そのうえで、社内サーバーに残っている情報などをくまなく調べ、事実関係の正確な把握に努めましょう。調査すべき資料が多い場合や危機の内容によっては、弁護士への依頼も検討しましょう。外部目線で、的確な調査が期待できます。

  2. (2)関係者に対するヒアリング

    事実関係の調査と証拠の確保が一段落したら、違法行為が疑われる本人やその上司・同僚などに対してヒアリングを行います。

    ヒアリングの主な目的は、すでに行った調査の結果が正しいかどうかを確認することと、追加調査を行うべき新しい事情を把握することです。
    また、本人に対するヒアリングについては、違法行為に関する弁解を聞くという目的もあります。後に懲戒処分を行う可能性がある場合は、その判断や手続きを適正なものにするため、きちんと本人の弁解を聞いておきましょう。

    ヒアリングに当たっては、対象者が萎縮しないように配慮することが大切です。圧迫面談にならないように、一対一で面談するなどの形を検討してください。

  3. (3)懲戒処分などの検討・実施

    違法行為の事実が認定できる場合には、従業員に対しては懲戒処分、役員に対しては解任や損害賠償請求などを検討しましょう。

    従業員に対する懲戒処分の重さは、違法行為の内容に見合ったものでなければなりません。重すぎる懲戒処分は無効となるので、弁護士のアドバイスを受けることがおすすめです。

    役員の解任は、株主総会決議によっていつでも行うことができます。また、違法行為をしたことについて任務懈怠(けたい)責任を追及することも可能です。
    ただし、役員が反発して、役員側から不当解任に基づく損害賠償請求訴訟などに発展することも想定されるため、弁護士と協力して対応しましょう。

  4. (4)再発防止策の検討・実施

    同様の不祥事が再び発生しないように、再発防止策を講じましょう。

    再発防止策の検討に当たっては、外部の第三者から客観的な意見を聞くことが有益です。特に大規模な不祥事の場合には、経営陣から独立した弁護士などによる第三者委員会を組織して再発防止策を検討することが推奨されます。

  5. (5)プレスリリースなどによる情報発信

    不祥事に関する調査や関係者の処分、再発防止策などについては、その検討や実施の状況をプレスリリースなどで適宜発信しましょう。企業としての信頼を回復するためには、株主や取引先に対する透明性を確保することが重要です。

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6、まとめ

企業が予期せぬ危機に備えるためには、さまざまなリスクを想定した検討と準備が必要不可欠です。また、実際に危機が発生した場合には、事前に決めておいた手順に従いつつも、臨機応変な対応が必要になります。

企業が適切にクライシスマネジメントを行うためには、弁護士のサポートが大いに役立ちます。ベリーベスト法律事務所は、企業のクライシスマネジメントに関するご相談を随時受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

当事務所が編成する危機管理チームでは、東京地方検察庁特別捜査部出身の元検事、公認不正検査士資格を有する元検事を含む複数の元検事や企業勤務経験を有する弁護士、裁判所書記官出身の弁護士、税理士などが所属しております。そのため、さまざまな状況に対応した弁護、アドバイスをさせていただくことが可能です。

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