更新日:2026年07月22日 公開日:2026年07月22日
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危機管理とは? リスク管理との違いや企業不祥事の予防策を解説

危機管理とは? リスク管理との違いや企業不祥事の予防策を解説

「危機管理」とは、社内で発生した不祥事(=危機)について、その影響の拡大を食い止めるための一連の対応を意味します。平常時から不祥事などの発生に備える「リスク管理」とは異なるものです。

企業不祥事のリスクを軽減するためには、リスク管理と危機管理の両方が大切になります。弁護士のサポートを受けながら、自社において発生し得る企業不祥事のリスクを分析し、適切な対策を講じてください。

本記事では、企業におけるリスク管理と危機管理について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、【これが基本】危機管理とは? リスク管理との違いは?

「危機管理」とは、企業において不祥事などが発生した際に、その事態を迅速に収拾し、損害の拡大防止や信頼の回復を目指すための一連の対応です。「クライシスマネジメント」とも呼ばれます。

危機管理対応の具体例としては、事実関係や原因の調査、違法状態の是正措置、関係者への処分などが挙げられます。また、ステークホルダーの不安を解消するために説明を尽くすことや、マスメディアへの対応なども欠かせません。
さらに、再発防止策を検討して適切に実施することも、信頼回復に向けた危機管理対応のひとつです。

これに対して「リスク管理」は、まだ不祥事などが発生していない段階において、不祥事などを想定した対策を講じることをいいます。「リスクマネジメント」とも呼ばれます。

実際に不祥事などが発生した際、事前に準備しておいた対応を行うことで、ネガティブな影響を最小限に食い止めること、また不祥事などの発生を未然に防ぐことがリスク管理の目的です。
具体的には、コンプライアンス研修や組織体制(ガバナンス)・内部通報制度の整備、不祥事などの発生時における対応体制の構築、監査、情報管理などがリスク管理に含まれます。

危機管理とリスク管理の違いについては、下表のとおりです。

リスク管理(リスクマネジメント) 危機管理(クライシスマネジメント)
対応段階 平常時(まだ不祥事などが発生していない段階) 不祥事などの発生時
目的 不祥事などを想定した対策を行い、実際に発生した際の影響を最小限に食い止める・未然に防ぐ 発生した不祥事などを迅速に収拾し、損害の拡大防止や信頼の回復を目指す
主な対応
  • コンプライアンス研修
  • 組織体制(ガバナンス)の整備
  • 内部通報制度の整備
  • 不祥事などの発生時における対応体制の構築
  • 監査
  • 情報管理
など
  • 事実関係や原因の調査
  • 違法状態の是正措置
  • 関係者の処分
  • ステークホルダーに対する説明
  • マスメディアへの対応
  • 再発防止策の検討、実施
など

なお、近年では「BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)」の重要性が注目されています。

BCPは、自然災害・テロ・システム障害・情報漏洩・感染症の流行といった深刻かつ不測の事態が生じたときに、重要な事業を中断させず、または中断後短期間で復旧させるための計画です。

BCPを策定することはリスク管理に当たりますが、実際に不測の事態が生じた際にBCPに沿った対応をすることは危機管理に当たります。

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2、企業を脅かす企業不祥事の主なリスクと実例

企業が活動する中では、さまざまな不祥事のリスクが潜んでいます。大きな問題になり得る企業不祥事のパターンを理解し、その発生を予防するための対策を講じてください。

  1. (1)大きな問題になり得る企業不祥事のパターン

    以下のような企業不祥事が発生すると、大幅な評判の失墜や収益の低下などにつながりかねません。これらの企業不祥事が発生しないように、コンプライアンスの強化に努めましょう。

    ① 横領
    役員や従業員が会社の資金を横領した場合、会社は経済的に損害を被ります。
    特に金融機関などにおいては、顧客から預かっている資金の横領が発覚すると、企業としての信頼も大きく揺らいでしまうでしょう。

    ② 情報漏洩
    従業員の人為的ミスやサイバー攻撃などにより、顧客の個人情報や取引先の営業秘密などが漏洩すると、企業としての信頼が失墜する可能性があります。特に個人情報の漏洩が起こった場合は、個人情報保護法に基づく事後対応に大きな労力とコストを要します。

    ③ 役員や従業員による重大犯罪
    役員や従業員による性犯罪やインサイダー取引などの重大犯罪が判明すると、企業の管理体制やコンプライアンス意識が問われ、業績の低下につながるおそれがあります。

    ④ 知的財産権の侵害
    他社の特許技術・登録商標・著作物などを盗用すると、差止請求や損害賠償請求を受けるおそれがあります。また、悪質なケースでは刑事責任が問題となることもあり、企業の信用を大きく損なう可能性があります。

    ⑤ 労働法令違反
    残業代の未払い・違法な長時間労働の指示・不当解雇など、労働法令に違反する不適切な労務管理が判明すると、「ブラック企業」などのイメージが付いてしまい、人材の確保などに支障を来すおそれがあります。

    ⑥ 食品衛生管理の不備
    飲食店や食品製造業者において、食品衛生管理の不備が判明すると、取引先や顧客の信頼を一挙に失い、業績が大幅に傾く可能性があります。

    ⑦ 粉飾決算
    自社の業績を良く見せかけようとして不正な会計処理をすると、関与した者と会社が刑事罰を科されることに加えて、取引先に契約を打ち切られたり、上場企業であれば株価が暴落するおそれがあり、株主から役員等に対して株価下落分の損害賠償請求がなされるおそれもあります。

    ⑧ 反社会的勢力との交際
    役員や従業員が暴力団員などの反社会的勢力と交際していることが判明すると、取引先から契約解除を求められたり、新規取引を停止されたりするおそれがあります。特に、契約書に暴力団排除条項が定められている場合には、契約上の重大な問題に発展する可能性があります。
  2. (2)実際に発生した企業不祥事3例

    実際に大企業において発生し、大きな問題となった企業不祥事を3つ紹介します。

    ① グレイステクノロジー株式会社の粉飾決算事件
    東証第一部(当時)の上場企業であった、マニュアル制作事業などを行うグレイステクノロジー株式会社において、6事業年度にわたり架空の売り上げや外注費などを計上する粉飾決算が行われていたことが判明しました。

    同社は上場廃止となり、株主230名が同社に対して6億2454万7097円の損害賠償を求める集団証券訴訟が提起されたほか、ベリーベスト法律事務所もその他一部の株主を代理して損害賠償請求を求める訴訟を提起して、最終的に解決に至っています。

    ② 株式会社ビッグモーターの保険金不正請求事件
    自動車の販売や修理などの事業を営む株式会社ビッグモーターが、修理費用を水増しして損害保険会社に請求し、不当に多額の保険金の支払いを受けていたことが判明しました。不祥事を受けて、創業者である代表取締役社長と副社長は辞任しました。

    その後ビッグモーター社は、従前の事業を新設の「株式会社WECARS」に承継したうえで、商号を「株式会社BALM」に変更し、被害を受けた損害保険会社などに対する債務の弁済に専念することになりました。

    ③ 損害保険大手4社のカルテル・入札談合事件
    三井住友海上火災保険・損害保険ジャパン・東京海上日動火災保険・あいおいニッセイ同和損害保険の4社がカルテルおよび入札談合に関与した独占禁止法違反事案です。

    4社は、民間事業者が発注した災害用などの共同保険について、各社が独立して提案すべき保険料の見積もりを事前に調整しました。また、都立病院が損害賠償請求に備える保険の入札についても、4社が談合して落札額を調整していたことが判明しました。

    公正取引委員会は損害保険会社らに対し、独占禁止法違反の状態を解消するよう排除措置命令を行うとともに、計約20億7000万円の課徴金の納付を命じました。

3、企業不祥事の予防・解決のため、準備しておくべきリスク管理と危機管理

企業が不祥事によるリスクを軽減するためには、平常時におけるリスク管理と、実際に不祥事が発生した際の危機管理をいずれも適切に行うことが大切です。

  1. (1)平常時からのリスク管理策

    企業が平常時から行うべきリスク管理としては、以下の例が挙げられます。

    ① コンプライアンス研修
    従業員に対して研修を行い、業務に当たって遵守すべき規制の内容や、日々留意すべきポイントなどを伝えます。

    ② 組織体制(ガバナンス)の整備
    社外取締役を招いて役員同士の監視を実効化する、部署内や部署間におけるチェックを強化するなどして、不祥事を未然に防げる体制を整備します。

    ③ 内部通報制度の整備
    企業不祥事に関する通報を受け付ける社内窓口や社外窓口を設置します。なお、従業員
    301人以上の企業等は内部通報制度の整備が義務づけられています。

    ④ 不祥事などの発生時における対応体制の構築
    実際に不祥事などが発生した際の対応チームの設置方法や、対応のフローなどをあらかじめ定めます。危機管理マニュアルを整備して、従業員に周知しておくことも効果的です。

    ⑤ 監査
    企業内で違法行為や不適切な事務処理が行われていないかどうかをチェックします。社内の監査部署が行う内部監査と、外部の監査法人が行う外部監査の2通りに分かれます。

    ⑥ 情報管理
    秘密情報の取り扱いに関するポリシーを定める、従業員に秘密保持誓約書を提出させる、システム上の情報セキュリティーを強化するなどの対策により、外部への情報漏洩の予防を図ります。
  2. (2)不祥事発生時の危機管理対応

    実際に不祥事が発生した際に、企業が行うべき危機管理の対応としては、以下の例が挙げられます。

    ① 事実関係や原因の調査
    不祥事に関する事実関係や発生した原因を詳しく調査するために、社内にある資料の確認・関係者へのヒアリングなどを行います。

    ② 違法状態の是正措置
    不祥事によって生じた違法状態を速やかに是正します。

    ③ 関係者の処分
    不祥事に関与した者に対して、役員であれば解任や損害賠償請求、従業員であれば懲戒処分などを検討します。

    ④ ステークホルダーに対する説明
    株主・債権者・取引先・顧客などの信頼を回復するため、不祥事の発生経緯や対応状況などを適時かつ適切に説明します。

    ⑤ マスメディアへの対応
    不祥事が大々的に報道されている場合は、マスメディア向けにも広報対応を行い、事態の沈静化を図ります。

    ⑥ 再発防止策の検討、実施
    同様の不祥事が再び発生することを防ぐため、原因を踏まえた再発防止策を検討・実施します。
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4、まとめ

企業不祥事による深刻なダメージを回避するには、平常時からのリスク管理と不祥事発生時の適切な危機管理対応が不可欠です。リスク管理と危機管理の具体的な方法については、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所は、東京地方検察庁特別捜査部出身の元検事や、公認不正検査士資格を有する元検事を含む複数の元検事や企業勤務経験を有する弁護士、裁判所書記官出身の弁護士などが所属しており、企業不祥事についてさまざまな状況に対応した弁護、アドバイスをしております。

全国にオフィスを構える大規模事務所として、多くのお客さまからご信頼いただいておりますので、「不祥事に備えたリスク対策を講じたい」「企業不祥事が生じて対応に困っている」などの場合は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。

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