企業法務コラム

2014年02月04日
  • 離婚 財産分与
  • 弁護士

経営者のための離婚に伴う財産分与について

経営者のための離婚に伴う財産分与について

離婚では様々なことが問題になりますが、今回は特に財産関係の清算である、財産分与についてお話したいと思います。

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が共同して築いた財産を清算するというものです。このように分与の対象は、夫婦の共同財産ですが、名義のいかんは問いません。
すなわち、たとえどちらか一方の名義になっていても、共同財産と言えれば分与の対象です。この「夫婦共同して築いた財産」の範囲は非常に広く、特有財産以外はすべてこれにあたります。

特有財産とは、

  1. ①姻前から所有していた財産や、
  2. ②(婚姻中であっても)相手方の協力とは関係なしに取得した財産
をいいます。

そして、分与の割合は、財産形成の寄与の度合いに応じてというのが原則です。
しかし、裁判所で争っている場合、裁判所は具体的な寄与の割合を認定せず、単純に2分の1にしてしまうことが多いです。
これは、「寄与」とは実際に金銭的な負担をしなくても、例えば専業主婦が夫が外で気兼ねなく働けるようにしたということも「寄与」と評価するためです。
よって、実際は「婚姻後増えた財産は基本的にすべて財産分与の対象であり、分与の割合は2分の1」(2分の1ルールといいます。)ということになるケースがほとんどです。

具体例として、一方の配偶者が経営されている会社の株と投資用不動産について考えたいと思います。
まず株式ですが、これも共有財産か否かで分与の対象となるか否かが決まります。

原則として、

  1. ①婚姻前から株式を所有していた場合は、他方配偶者の寄与はないので分与の対象とはなりません。
    しかし、
  2. ②婚姻後に取得した場合、他方配偶者が会社の経営に関与していなくても、分与の対象となることが多いといえます。これは先ほど申し上げたように、家事等への貢献も財産形成の寄与と考えられることから、基本的に婚姻後の財産形成についてはすべて他方配偶者の寄与があったと考えられるためです。

そして、分与の割合は、2分の1ルールに従い2分の1ずつということが多いです。
しかし、原則的には、寄与の割合に応じて清算すべきものですから、調停や訴訟になった場合、私どもでは、その点を主張し、実際の寄与の割合に即したものになるようお手伝いしております。

投資用不動産の場合も同様です。
すなわち、原則として、

  1. ①婚姻前から有している場合は分与の対象になりませんが、
  2. ②婚姻後に購入した場合は共有財産ということになり、2分の1ルールにしたがった分与がなされるということになります。

もっとも、財産分与は、必ずしも対象となったものそれ自体を分ける必要はなく、それに対応する金銭を相手方に引き渡すということで足ります。
したがって、上記の株式や投資用不動産など分与したくないものに関しては金銭での解決を図ることとなります。

このように分与にあたっては割合、方法等でさまざまな問題が生じますから、そのような際はぜひ弁護士にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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